劇場公開日 2023年4月21日

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「大阪から届いたちょっと変わったクセになる味わい」凪の憂鬱 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0大阪から届いたちょっと変わったクセになる味わい

2023年3月30日
PCから投稿

主に大阪を舞台に柔らかくゆったりとした空気感でユニークな人間模様を紡ぎ続ける磯部監督。その最新長編となる本作は、これまで短編「高校生編」、中編「大学生編」と展開してきた「凪シリーズ」の最新作である。主演の辻凪子が体現するこの役柄もついに立派な社会人となり・・・とは言いつつ、今回もユルユルと心地よいペースなのは相変わらずで、怪談ナイト、ゲートボール、銭湯、映画館などで巻き起こるクスッと笑ってしまうエピソードの数々が「何気ないけれど忘れ難い一瞬」をまたひとつ更新していく。これがなんだかとても愛おしい。一度ハマってしまうとまた通いたくなる店の味、とでも言おうか。凪が七転八倒しながら笑って悩んで眉をしかめて試練を乗り越えるたびに、親戚のおじさんのように応援してしまう自分がいた。磯部監督の巧みな映像表現と辻の唯一無二の演技力が深く調和した一作。今後も歳を重ねる凪の姿を見届けたいと思わずにいられない。

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牛津厚信