ザ・メニューのレビュー・感想・評価
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衝撃の逆カスハラバトル
アニャ・テイラー=ジョイ
マイアミ出身の
イングランド系・スペイン系
の両親から生まれ6人兄弟の末っ子
14歳でNYでモデルにスカウトされ
20歳でドラマに進出
演技力を評価され「絶叫クイーン」
の異名を誇り活躍の場を広げる
いま最も旬な存在である
「ミッドナイト・イン・ソーホー」
での印象的な演技が記憶に新しく
個人的にもお気に入りの女優さん
主役も脇役もこなす起用さ
今度マッドマックスの
スピンオフのフュリオサも
やるとか
そんな彼女と
不穏おやじ演じさせたら
天下一品のレイフ・ファインズの
共演作の今作
どうだったか
久々にサイコなサイコーの一作
でありながらよくよく考えると
料理人ならではのカタルシスや
ジレンマをこれでもかと感じる
印象深い一作でした
伝説的な名シェフ
ジュリアン・スローヴィクの手がける
孤島のレストラン「ホーソン」
近海で取れた魚介類から山の幸
まで自然を余すところなく
ジュリアンを慕う弟子たちに
よって手がけられた絶品フルコース
それでいてコミコミで1250ドルと
予約が取れない割には
不気味なほどリーズナブル(かな?)
そんなひと時をを味わいに
美食ブロガー気取りのタイラーは
憧れのジュリアンに会うために
あんまりそういうのに
興味なさそうなマーゴを
付き合わせてホーソンへの
船を待ちます
するとそこに現れたのは
・ホーソンの出資者たち
・そこそこ有名な俳優と愛人
・料理評論家と記者
・常連っぽい老夫婦
などなど
マーゴはどうも老夫婦の
旦那のほうと面識があった模様…
船がホーソンにつくと
出迎えた従業員のエルサに
尋ねられマーゴは当初の予約と
違う名前だったと知ります
まぁ別に予約と違う人が来るのは
レストランの予約くらい別に
いいだろと思いますが
別の女と行くつもりだったのか
とマーゴはタイラーに嫌悪感を
まず覚えます
ホーソンに訪れると
ガラス越しの海から内部は
厨房を好きに覗ける自信に
満ち溢れた構造
しかし客たちは皆
自分たちの事情の話ばかり
しておりあまり料理じたいに
関心はなさそうに見えますが
そこで奥からジュリアンが
現れると手を一発大きく
パーーーーーーーーーン
と叩きその都度料理人が皆
整列しメニューが出てくる
流れになります
この手を打つ音がほんと毎度
スクリーンに響き渡ります
「食べないで味わってください」
など奇妙な言い回しで客に
料理の説明をするジュリアン
実際料理は創作っぽい
ポツポツした小粒料理
「パンは庶民のものだから
パンはありません」という
ソースのみのパン皿など
奇妙なものも出てきて
だんだん客たちは
ざわつき出します
料理評論家はソースを
一応味わいますがしっかり
混ざっていない点を指摘
しようとするとそのソースを
大量に持ってきたり対応も
おかしい
マーゴは全く手を付けず
トイレでこっそりタバコを
吸おうとするとジュリアンが
おもむろにトイレに入ってきて
「なぜ手を付けない」と
尋ねてきますが
おなかが減っていないからだと
かわしますが
予約と違う人間であることを
ジュリアンは見抜き
「君はマーゴではない」とも
言い出します
さて料理が進むと次は
「タコス」
ようやくマトモな料理が…
と思うと肉には幼少期両親が
もめたときに私が父親に突き刺した
という小ハサミが上に刺さっており
しかもタコスの包む生地には
レーザー刻印で様々な…
出資者たちには「不正会計の内容」
映画俳優らには「大コケした主演映画」
評論家らには「酷評記事」
老夫婦には「旦那のパパ活中の写真」
など見られるとマズイ事ばかり
マーゴが気まずくしていたのは
そのパパ活の相手が自分だったからです
そしてタイラーのは
「料理を撮るなと言われていたのに
こっそり撮っていた瞬間の写真」
いつ撮ったんだろうw
ここで客たちは激高
ふざけているのか!帰る!と
詰めますが帰るには船を待たないと
いけませんし出入口は屈強な男達が
塞いでいます
パパ活写真で居心地が悪くなった
老夫婦の旦那は無理やり帰ろうとすると
取り押さえられて指をちょん切られて
しまいます
ただごとではないのに
客によってはトリックだとか
信じようとせずタイラーは
黙々料理を食べてます
いよいよおかしくなってきます
その次の料理は
ジュリアンに憧れてホーソンに
来た若い副料理長が担当しますが
どうも憧れに届くことなく挫折気味
だったようで料理を紹介した後に
皆の前で拳銃を口に入れて発砲し自殺
その後に料理が出てくるなどいよいよ
狂ってきます
ジュリアンは表情一つ変えず
「代金に含まれているサプライズ」
だと言い張ります
出資者たちはコロナ禍でも店を
潰さなかったのにとか時事ネタを
ぶっこんで怒ります
レストランのオーナーにも
掛け合ってこんな店潰してやると
息まくとジュリアンは
それってあれですかと
窓の外を指すと天使の羽を
付けられたオーナーがクレーンで
吊るされ水面に沈んでいきます
このシーンはちょっと
笑ってしまいました
「ソナチネ」思い出しちゃった
むらかわさーーーん
やめてくださいよーーー
マーゴはすっかり
呆れているとジュリアンに
奥に呼ばれ
このディナーの最後は
全員の死で終わるが
君は関係ないから
「あちらの側」にいるか
「我々の側」につくか
選べと言われます
もううんざりですが次の料理は・・
ジュリアンが女料理人を紹介します
その彼女はずっとジュリアンに
言い寄られていた事を明かし
それでも憧れだったのでしょう
ホーソンに残り続けました
料理名「男の過ち」
彼女はジュリアンの体に
小ハサミを突き刺し抱き合います
なんかもう慣れてきた
ついでに男は45秒後に捕まえにいくけど
逃げてもいいよと言われるので
みんな逃げます
あっタイラーだけ逃げてませんが
「お前もだよ」と言われて逃げます
ここも笑いました
捕まるまで女性陣は店内で
待ちますがそこでマーゴは
さっきのどっちにつくかの
決断を迫られますがそこで
捕まった男たちが戻ってきます
(鳥小屋に最後まで
捕まらなかった記者には
ポーチドエッグのサービスが
あってここも笑った)
またここでタイラーが
このディナーの最後が
死で終わることを知っていながら
(マーゴ)を誘ったことを知り
マーゴはとうとうブチ切れ
さて次の料理は…
次はなんと隠し味などを
言い当ててきたタイラーが突然
料理着を着せられ作らされます
タイラーは不器用に野菜を切り
肉を焼きそれをジュリアンとその弟子
全員が見つめる中でやらされます
出来上がった料理を食べた
ジュリアンはハッキリ「マズい」
と告げ何か耳打ちすると
タイラーは料理着を脱いで
奥に消えていき
首をつって死にますw
何を言ったのかw
マーゴはそんな
タイラーを横目にジュリアンに
言われて樽をとってきてと
指示されカギをもらって
ジュリアンの私邸に行きます
そこで見たものは
ジュリアンの料理人になってから
これまでのキャリア
素朴な家庭料理を作っていた
時代から名声とともに様々な
出資者の要求や評論家の評価
心血を注いだ料理に
全然関心を示さないくせに
名前だけで食べにくる客
プレッシャーにさらされ
とうとう壊れてしまったのだと
知ることになります
自分は料理人じゃないけど
これは確かに料理人の
葛藤であるのかもと
思ってしまいました
高級料理店なんて会食や
パパ活のスケベおやじと
金目当てのクソガキしか
来ないのに腕を振るわなければ
ならないのなら・・
つまり今回のディナー
ジュリアンは復讐として
これまでの人生で自分に苦痛を
与えてきた出資者や評論家
料理もできないのに好き放題
ネットで書くブロガー
・・あれ?映画俳優は?
彼が疲れた時にふと見た
映画があまりにクソで
その主演が彼だった
からだそうですw
でもでも彼の彼女のは関係ない
んじゃないのと思っていると
大学の学費を自分で出してないから
「じゃあ死ね」とw
ブラックなんだけどどこか
笑えるあたり
アダム・マッケイ関わってる
感じがありありですね
さて結末に向かっていくディナー
ですがマーゴはついに手を叩き
ジュリアンに言い放ちます
「私が満足する食事が
まだ出てきていない
それでも料理人か」
するとジュリアンは
何が食べたいかと聞くと
マーゴは「チーズバーガー」
を要求します
するとジュリアンはまるで
憑き物が取れたかのように
「シェフの顔」に戻り
ポテトはおつけしますか
波型カットでいいですか
など細かく注文を聞き
一心不乱にハンバーグを焼き
ハンバーグとチェダーチーズを
重ねただけの素朴な
チーズバーガーを出してきます
マーゴはそれを頬張って
「持って帰りたい」と言うと
ジュリアンは持ち帰り箱と
お土産を持ってきて
アッサリマーゴを船着き場へ
帰してしまいます
マーゴの素朴な要求が
かつて楽しく客のために
料理していた自分を
一瞬よみがえらせたのかも
しれません
他の客にも土産を渡し始め
あれっこれここでみんな帰す?
と思ったらそんなことはなくw
ディナーのフィナーレは
キャンプよろしく「スモア」
(マシュマロとチョコレートを
あぶってクラッカーに挟むアメリカの
キャンプの〆の定番のようです)
客たちにチョコレートの帽子と
マシュマロのマントをかぶせ・・
激しく燃え上がるホーソンを
逃げ延びたマーゴはおみやげの
チーズバーガーを頬張りながら
呆然と見つめるのでした
いやー面白かった
ミッドサマー以来
なんかサイコなんだけど
気持ちのいいイカれ感
割と客もしっかり入ってて
それなりに注目してる人
多そうです
シェフ怒り大爆発
孤島のレストランで催される至高のフルコースのはずが…
批評家、グルメ気取り、料理をシェフを蔑ろにする勘違いどもにシェフの怒りが大爆発。
芸術と呼べる狂気のフルコースが始まる。
中にはとばっちりに近い人もいて同情してしまう。
レイフファインズの狂気の中の悲しさは流石。
アニャテイラージョイの気骨のある役は似合ってる。
そして、ニコラスホルトの真っ直ぐすぎるイカれっぷりは最高で最悪。
なんだか楽しかった。
チーズバーガーが食べたい
想像以上に違う展開だった。怖い。どんどん怖くなっていく。怖いのだけれど、チーズバーガーが猛烈に食べたくなった。美味しいワインも飲みたくなった。解釈が色々ありそう。感想を語り合い。
私には合わなかった😌
期待し過ぎだったのかも知れないが途中で退散したくなる映画だった。
傲慢な客へのメッセージなのか分からないが見ていて気分が良いものではなかった。
カップルで見るのはやめた方がいい。
後味の悪いデザートを食べた感じ😱
アメリカ的なオチ
調子に乗った昨今のグルメブームをブラック・コメディに仕上げた佳作。レイフ・ファレンズの落ち着いたジェントルマン然とした狂気は素晴らしい。アニヤ・テイラージョイも魅せる演技で準主役としては申し分ない。役者たちの和やかで寛いだ良い雰囲気で撮れた作品だと思う。密室劇とも言える演出は中々面白い。最後の「チーズバーガー」までブラック・ジョークだと捉えたら面白味が増す。まぁ、行き過ぎたグルメを強烈に風刺した作品だ。
レストラン側が支配する、五感で食す狂気の逸品
5組のお客さんを孤島に店を構える噂の高級レストランがもてなす。このレストランは前々から予約する必要があるが、それも客を知り尽くし、過去のネガティブな事象を調べ、料理という形で提供するのが狙い。今回急遽マーゴという女性が代理で参加した、そのためかレストラン側も困惑。代表シェフはマーゴに不可解な質問を投げかけると共に料理を提供していき、次第にレストラン内は狂気の空間となっていく。
料理を提供される以上に○を雑談されたり、自○を目の前で見せられたり、はたまた鬼ごっこをさせたりと心身共にご堪能できるレストランです。
怖さはあまりなく、モラル崩壊型ホラー。最後はミッドサマーを少し感じさせる演出でした。本来料理は提供されるサービスであるがそれを今回望まない形で提供される点は新しいと思った。
おネイちゃんは良かったが・・・
料理に興味がないのに、なんとなく観に行った。
R15の意味はこれだったのかと・・・
新スタートレックの「ホテル ロイヤル」を猟奇的に構築したような展開。
実際、ホログラム映像の話と思いたい・・・
心臓に悪いので注意を要する。
とっても美味しい DIE ニング!!
金持ちだけが行ける超高級レストランにいった主人公が、段々と明らかになるレストランの素性の中でヤバい事に巻き込まれていく物語。
物語の殆どは水上レストランの中で巻き起こる、ワンシチュエーションモノとも言える展開。
視聴前は、先日公開されたボイリングポイント的な作品かと思っていたけど、思いの外ガッツリとしたスリラー作品だった。
結論から言うと、得も言われぬ不気味さに包まれた序盤は期待値があがったものの、副料理長(でしたっけ?)の男がいきなりバンしてからは、何というか豪華キャストに似つかわしくない如何にもB級な展開だなぁ~と言った印象。
B級映画は好きですが、本作に期待したものとはちょっと・・・かなぁ。。
それでも、レスキュー隊のビックリ展開はかなり良かったし、あの絶望感はなかなかでしたね。
そして、高級料理ばかりが出てくる中、シェフが最後に作ったものとは・・・。
一瞬でも、純粋にお客さんが食べたいものを作り、美味しく食べてくれる喜びを思い出してくれたのかな?まぁでも結局は・・・w
つっても、みーんな悪い奴っぽいですからね。
ちょっとコミカルな場面もあったり、料理人とは何ぞやと考えさせられる作品ではあったけど、総じてガッツリ刺さるような作品とはちょっと違かった。
R15でいいよね?
簡単に言えば、ひとりの料理人を崇拝するカルト教団(料理人集団)が、集団無理心中するような話。
はじめは、孤島の高級レストランで次々とメニューが出されていくが、次第に不穏になっていく様が不気味です。料理人をレイフ・ファインズが怪演。バンと手を叩く時とか、いちいち不穏。客の秘密をあからさまでなく、徐々に明かしていくミステリ要素も面白い。特に主人公の秘密がなかなか明かされない。なお、主人公の恋人がなかなかイカれてて怖い。
また、一貫してコースメニューに見立てる演出が斬新!料理人は上流階級などに、キレて事件を起こすけど、主人公の行動で少し救われる演出は好きです。料理人も完全にイカれてなくて、人間なんだなあと思わせる。
猟奇性は寸止め、やや消化不良。
プロットや道具立ては面白いが、満点は付けられない。主人公の猟奇性はハンニバル・レクターのように徹底していないので、寸止めに思えてしまう。途中で客たちの運命が分かってくると、急速に恐怖感が落ちる。メニューになかった特別料理は良かったが、デザートはやや陳腐にさえ思えた。その意味でやや消化不良の映画である。
おもしろいが、スッキリしない部分も…
予告のアニヤ・テイラー=ジョイの魅力に惹かれ、それだけの理由で鑑賞してきました。ただ、彼女の魅力は期待通りでしたが、内容はよくわからなかったというのが正直なところです。
ストーリーは、孤島にあるなかなか予約の取れない有名シェフのジュリアン・スローヴィクのレストランに、運よく招かれた客たちが、極上の料理を楽しみながらも、しだいに不穏な空気に包まれる店内で、予想もしない恐ろしい体験を味わうことになるというもの。
運ばれる料理の一品ごとにシェフが、料理の解説やそこにまつわる思いを語るのですが、それがしだいに奇異なものになっていき、シェフの真意が読めません。あたかも宮沢賢治の「注文の多い料理店」のような雰囲気で、作中の紳士の姿が、シェフの料理を自分流に解釈しようとするタイラーの姿と重なります。
料理が一品、また一品と出される中でしだいに露わになるこの店の異様性とシェフの狂気。客たちの運命はどうなるのか、シェフの狙いは何なのか、というところに観客の興味は集中します。コースメニューにしたがって粛々と料理が提供されるように、物語の展開にたいしたひねりはないのですが、得体の知れない緊張感のおかげでぐいぐいと引き込まれます。
それなのに!ラストのオチがよくわからず、モヤモヤしたまま終幕を迎えたのは致命的でした。結局は、自分の料理の本質もわからず、肩書きや世間の評判をありがたがるような輩を許せなかったということなのでしょうか。逆に、歯にきぬを着せぬマーゴの言葉は本質を突いていたので、彼女を楽しませるために渾身のチーズバーガーを提供し、退店を許したのではないかと思いました。いずれにせよ、客たちの背景や人物相関を捉えきれなかった自分のせいかもしれませんが、もう少しわかりやすく観せてほしかったところです。
他にも、なぜ料理人たちはシェフにあそこまで忠誠を誓っているのか、男性客だけをいったん逃したのはなぜか、タイラーにささやいた言葉は何だったのか、給仕のエルサはなぜマーゴを襲ったのか、シェフの母の存在は何を意味していたのか、もう整理がつかないことが多すぎてモヤってしまいました。あとで他の方のレビューを読んで補完しようと思います。
主演はレイフ・ファインズで、異様な雰囲気を纏った圧倒的なカリスマシェフを怪演しています。共演はアニヤ・テイラー=ジョイで、シェフに対して一歩も退かないマーゴを好演。脇を固めるニコラス・ホルト、ホン・チャウらも、いい仕事をしています。
不完全なメニュー
これ絶対面白いやつ~♪、と予告編観てからわくわくで臨んだのだが、期待値が高すぎて、「思ってたのと違う…」となってしまった。
間違いなく世界観とかコンセプトは面白いのだが、ストーリーが舞台設定を活かしきれてないように思った。
シェフはフルコース料理のストーリーの完成に異常な執着を持っている、という設定だけど、実際の映画のコース料理にそこまでのストーリー性を感じなかったのが残念だった。
罪、貧富の差、社会の矛盾、男性の醜さなど、それぞれの料理のテーマは面白いのだけど、それがストーリーになっているわけではない。「最後に全員死ぬことでストーリーが完全になる」、というのはどういう理屈なのか、その謎が明かされるのを期待していたが、とくに理由(オチ)があるわけではなかった。
「シェフの家にどんな秘密があるのか?」というのも期待していたのだが、単にシェフの過去と無線装置があるだけだった。
たとえば、「セブン」みたいな展開だったら「すごく面白い!」と言い切れたと思う。「セブン」の犯人の計画で秀逸なのが、自分自身の「嫉妬」と、刑事の「怒り」も「人類の7つの大罪を罰する」という目的を完成させるストーリーの中に組み込んでいたことだ。
この映画でも、主人公が逃走することや、その逃走が失敗することなども、シェフの完成したいストーリーに不可欠な要素として組み込まれているのであれば面白かったのに。
根本的には、シェフや料理人たちがなぜこんな大それた大量殺人計画を実行しなければならなかったのか、とか、なぜお客たちはもっと本気で抵抗しないのか、といったことに十分納得がいかない、というところが大きいように思う。
シェフが料理に異常な執着をもっていて、料理人たちがある種の洗脳状態におかれていることは分かるのだけど、それだけだと説得力が…。
映画観てて、これって監督が普段思ってることなのかなあ…、などとも思った。映画をどんなにこだわってがんばってつくっても、ファスト映画とかで雑に消費される。「俺は金払ってる側だぞ」と無茶な要求をされる。分かってる風の映画オタクに分かってる風な評論をされる。消費者の低レベルさ、傲慢さが糾弾されてる感じ。
最後のオチは良かった。シェフの料理へのこだわりを逆手にとった逆転。見事な短編小説みたい。昔話的でもあるかな。
アーニャ姫が問答無用に好きなので
モーガンの頃から大好きなので★4つ。大好きでも映画自体はバッド・テイスト。有名料理人の妄想につきあわされている感じで★一つマイナス。姫が薄着でチョロチョロしてくれたのか眼福。
【美食を求めて集った選ばれし裕福な人々に、天才シェフが振舞ったメニュー。人はいつから美食に耽溺する生き物に成り下がったのか。今作は美食を追求する愚かしき人々の姿を、強烈に痛罵した映画である。】
ー 19世紀の、サヴァランの著書「美味礼賛」が発行されたころから、人は美食を追求するようになった。但し、それは貴族など極、限られた人たちであった。
今作は、昨今の美食を求める人々の姿をブラックダークに揶揄、痛罵した映画だと思う。
ミシュランガイド、食べログの評価に振り回される人々と、世間の評価を気にしながら、必死に美食を提供しようとする店。
一方では、食の廃棄、餓えに苦しむ国もある。
今の世界は、オカシイのではないかという制作陣の声が聞こえてきそうである。-
■天才シェフ、スローヴィク(レイフ・ファインズ)の店、「ホーソン」に集った人々。
1.美食家を気取るタイラー(ニコラス・ホルト)とその”恋人”マーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)
2.リッチな熟年夫婦。11回も「ホーソン」を訪れながら、スローヴィクから、”以前何を食べましたか”と問われても答えられない。メニューが進む途中で夫の浮気も発覚する。
ー 典型的な、似非美食家である。夫婦の表情は入店時から暗い。-
3.落ち目の映画スター(ジョン・レグイアモ)と、愛人アシスタント。
ー 愛人のアシスタントと、店で揉める映画スター。味覚は大したことが無い。-
4.不正により大金を獲得した、IT長者トリオ。
ー 彼らも、”「ホーソン」で食事をした”というステイタスを求めるためだけに店に来ている。-
5.スローヴィクの才能を見出した、女性料理評論家と編集者。
ー メニューの途中で、女性評論家に”これでもか!”と供される大量の料理。
私は、料理評論家と言われる人が嫌いである。”自分で作ってみろ!”-
◆感想
・絶対的権力を持つと思われる、天才シェフ、スローヴィクとシェフたちの”あと、5分で作れ!”と言う指示に対し、”イエス!シェフ!”と一糸乱れずに答える姿が、異様である。
給仕長のエルサ(ホン・チャウ)の、笑顔一つ見せずにスローヴィクの指示に従う姿も。
ー 洗脳ですか?と思ってしまった程である。少し笑えるが、異様な風景には変わりはない。-
・牡蠣のアペタイザーから始まり、料理は進む。
だが、マーゴのみが、”牡蠣はそのまま食べたいわ”と言ったり、率直な感想を述べる。
一方、タイラーは禁止されている料理の写真を撮って、燥いでいる。
ー 序盤でのマーゴの言葉と、スローヴィクの”貴方はここに相応しくない・・。”と言う言葉の意味。
マーゴは、実は娼婦で貧しい育ちをしてきた事が、さり気無く、会話の中に盛り込まれている。
この会話が、後半に効いてくる。巧い演出である。-
・三皿目にメニューについて来た、トルティーヤに客たちが行って来た悪事がプリントされている事を客たちが知るシーン。
ー IT長者トリオの不正や、リッチな熟年夫婦の夫の浮気が明らかになり、店に漂う不穏さは増して行く。-
■驚きの四皿目。スーシェフのジェレミーが作った料理が供されるが、スローヴィクはジェレミーの料理のセンスがない事を皆の前で彼に認めさせ、ジェレミーは口中に銃口の先を向け、自殺するシーン。
ここは、驚いたなあ・・。そんな中、独り、料理を美味そうに食べるタイラーの姿がブラックである。
・五皿目では、リッチな熟年夫婦の夫の指が切り落とされる。
ー ココにきて、このレストランで行われている事は、スローヴィクが美食を求めて集った選ばれし愚かしき客を罰する場である事が、明確になる。-
■スローヴィクがタイラーを厨房に呼び、”何か作れ!”と命令し、出来た羊肉のバター炒めの味を皆の前で酷評する。
そして、タイラーの耳元で何かを囁く・・。動揺した彼は、厨房を出て首を吊る・・。
ー 生半可な食通気取りの男タイラーを罵倒するスローヴィクの姿には、共感する。-
<マーゴを自分の部屋に呼び出した、スローヴィクに対し、マーゴは”全然、満足できない”と言い放ち、昔食べた味の、チーズバーガーをオーダーする。
スローヴィクは、その要求を呑み、彼女にチーズバーガーを作り、”彼女だけ”店から解放する。
その後、彼は店全体を綺麗にデザートとして彩り、自ら店に火を放つ。
舟の上から、その光景をチーズバーガーを頬張りながら、見るマーゴの表情が印象的である。
今作は、現代の美食を追求する選ばれし人々の姿を痛烈に揶揄、痛罵、批判した、ブラックダークな、美食映画なのである。>
そんなわけあるか
2022年劇場鑑賞270本目。
予告の時点でイカれサイコパスシェフにつきあわされる被害者たちというのが分かってしまっていたので、そこにサプライズはなし。知らなかったらさぞ驚いたと思うですけどね・・・。
料理長のやりたいこととか、動機は分かるのですが、それを実行するために関わる人々の動機が全く分からない。そこの説明を諦めて進めるものだから全く共感できませんでした。こんな状況で食べる料理なんか絶対おいしくないし。
自称美食家の皆様へ。スパイシーな挑戦状。
全ての自称美食家の皆様に味わって頂きたい怪作。
孤島のレストランという
限られたシチュエーションで
飽きさせない仕掛けの数々。
サイコパスなのに共感もさせられる
伝説のシェフ、スローヴィクの料理愛。
アニャ・テイラー=ジョイ演じるマーゴの発言が
一つ一つ芯を食っていて(と思いたい)
美食とは全く縁のない貧乏舌の自分は
心の中でずっと頷いていました。
超高級レストランを舞台に届けられる
自称美食家&自称グルメマニアの皆様への
スパイシーな挑戦状。
庶民の自分はとても美味しいく頂けました。
アニャのボディラインでニヤニヤするだけの映画
離島になるリッチなレストランがなんかおかしい…
簡単なあらすじはこんな感じ
なんかおかしいと言うよりもう異常者
行動の全てになんの意味があるのかわからないし
出てくる人間に誰一人感情移入できなかった
ほぼ全員脛にキズがありそうだけどそれでも
あんな扱い受ける理由にはならんでしょ
レストランってより怪しい宗教の集団◯◯を見た気分
言動の全てに意味なんてないのさ
もう途中からアニャのボディラインと背中しか見てませんでした。そんな映画でございます
おっと!料理は美味しそうでしたよ😃
アニャ・テイラー=ジョイさんの魅力が全開の極上サスペンス
レイフ・ファインズさんのサイコなシェフの怪演ぶりとサスペンスフルな映像・音楽でピンと張った息をのむ緊張感が続き、グイグイ引き込まれました
そして怪物シェフに毅然と対峙する女性を力強く演じるのはアニャ・テイラー=ジョイさん、眼力が強いクールビューティな雰囲気と全身からにじみ出るゴージャスな雰囲気が完璧に合わさりすごく綺麗でした
作品自体の評価は☆3つですが、最高に魅力的なアニャにプラス☆1つ
心をこめて作った料理に対する世間の軽薄な侮辱・冒涜は天才料理人をサイコなシェフに変貌させ、絶界・孤島のレストランに一人10万円を超える人数限定の超高級料理と銘打ち復讐のターゲットである客を集める
フルコース料理をサーブしながら徐々に客を精神的に痛めつけていき、最後は皆殺し、その後 自分やレストランの従業員も含め全員自決するという衝撃のエンディングへ向かって突き進むぶっ飛んだ内容
シェフ個人の怨みと行動なら解るが、従業員達も含めこれを組織だってやる/やれる理由が不明だし、フルコースが進むにつれて異常に気づき出す客達だけど、力ずくで応戦せず、なすがままになったのはなぜ?といった根本的な突っ込みどこはありますが、総じてとても面白かったです
全員死ぬ中でたった一人生き残ってレストラン/島から脱出できるのは、アニャ・テイラー=ジョイさん演じるマーゴだけ
彼女はシェフの復讐心に気づき、シェフのキャリアの原点になったチーズバーガーを特別にオーダーし「旨い」と賞賛することでシェフの傷んだ心を救い、店と島からの脱出に成功する
結局、傲慢な連中は全員死に、洒落た料理になんか全く興味がないマーゴだけが生き残るという皮肉な顛末
最後、マーゴが脱出したボートを停め、ほお張るチーズバーガーがすごく美味しそうでした
注文の多い料理店…❓
船でしか渡ることができない孤島にある、最上級レストランを舞台にした、息詰まるブラック・ミステリー。冒頭は、曰く付きの上流階級の登場人物達に、アガサ・クリスティーの作品の様な印象を受けた。しかし、ストーリーが進むにつれて、それとは全く違う狂気に満ちた、猟奇的な展開に呑み込まれていく。
なかなか予約の取れない、高額なそのレストランに、グルメを気取る5組の客が訪れる所から物語は幕を開ける。題名通り、そのレストランで振舞われるコース・メニューは、美味しそうなだけでなく、見た目も彩も鮮やか。誰もが一度は、食してみたいと思う創作料理の数々が運ばれる。
そして、それらの料理には、シェフの拘りのテーマがあり、滔々とウンチクを述べて紹介されていくが、その意味するところは、なかなか難解。その辺りから、シェフに違和感を感じるようになる。そして、そこで働く者達にとって、絶対的な存在であるシェフに対しての献身的な態度にも、不穏な空気が漂い始める。そして、料理が進むにつれて、1人、また1人とシェフが仕掛けた罠の犠牲者が出てしまい、思いもよらない悪夢が、客に襲い掛かっていく。
ただ、このミステリーの中に込められた真のテーマは、愛情をこめて料理を作り、食卓を囲む人のお腹を満たすだけでなく、食べた時の「美味しい」という言葉や笑顔こそが『食』の素晴らしさ、ということなのだと思う。その点では、追加メニューとなった料理のシーンこそが、真の『食』として、描かれていたのだろう。
本作のヒロイン・マーゴを演じたアニヤ・テイラー=ジョイは、独特な顔立ちで、これまでも脇役として出演する作品は何本か観たが、本作では、他の登場人物とは異質な存在として、彼女の魅力を十分に引き出して描かれていた。そして、レストランのシェフには、『ハリーポッター』のヴォルデモートを演じたレイフ・ファインズが、ヴォルデモートさながらの、狂気に満ちた役柄を演じており、ある意味ハマリ役とも言える。
シェフの企みや意図が、なかなか見えない中、ジワジワと洗脳されていく客達のように、ハラハラ、ドキドキというよりは、心の内が浸食されていくような、恐怖を感じさせる作品である。
全276件中、201~220件目を表示