「老夫婦の妻」ザ・メニュー レクシーちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
老夫婦の妻
自分の夫といかがわしい関係を持った女を逃してやるなんて理知的だし、描かれていた部分だけ見るとこの作品では1番素敵なかたですね。
彼女の様な人間が世界から1人でも居なくなるのはこのシェフの悲念こもった残念な最終作品が台無しになる事よりも余程損失だと想うので生きて欲しかったな。
タラと答えたのは、ちょっと…あれ?って感じでしたが。笑
夫との食事って、悪い意味でも良い意味でも、料理に集中出来ずともしょうがなかったりしますよね。わかります。
理知的で、かつ乙女なのだろう、彼女が好きです。
シェフに心酔する彼が料理へっぽこなのは意外でした。
初めての慣れないキッチンだったから…?
緊張し手が震えていたから…?
手際よく速く終わらせなければいけないと思ったから…??
なんか、もし初めての料理だったとしても、
いくら初めての料理と言えども、料理のいろはを知っている人間の料理ならばあんな結果に普通はならないのでは…?
それとも彼自身、片面のみブルー焼きしたお肉がお好きなんでしょうか。
にしてもただバターの塊をぶち込んでバターソースですってなる??料理番組欠かさず見ているのではなかったの?
エシャロットとネギを使うぞ!って構想出来た時点でワインやら入れようとは思わなかったのかしら…???謎です。
彼の件もだし、シェフ自身もだし、他の従業員も皆、優秀な才能(技術だけでなく、もちろん味覚や感性を含みます)を持つ希少な人間なのだろうから、死んで未来に色々なモノを産みだすことが無くなってしまったというのはとても残念な気がします。
最後に、シェフの最終作品に難癖をつけた彼女に対して、
きちんとそこは1流料理店のシェフらしく
『ひとりひとりのお客に対応し満足して帰っていただこう』と、
自身が練り渾身を施した最終作品(死)を下げ、別メニューを出して満足させた所、1流料理店のシェフのプライドを感じて良かったです。安心しました。
★が1あるのは、
シェフもまた、シェフという職業の熱心な信者であり、
こんな計画をするに至った自身のこれまでの経緯や悲しみなど関係ないと言わんばかりに、彼女に予定していたコースを提供する事をやめてまで別メニューを出す、
そういった、彼の常人とは確かに違うプライドをきちんと描いたことへの★評価です。
天才らしい所が観れました。
バーガーのシーンでのシェフの笑顔に
ただただどうしてこの様な悲しい結末になってしまったのかと残念に想い、その背景を知りたくなりました。