劇場公開日 2022年11月18日

「シェフも製作陣も性格歪んじゃってもう」ザ・メニュー 今日は休館日さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5シェフも製作陣も性格歪んじゃってもう

2022年12月18日
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キューバサンド旨旨な超絶ハッピー映画『シェフ』の闇堕ちダークサイド版。

あっちはあんなに楽しそうなのに、こっちはもうストレス限界突破しちゃって大爆発。腰フリフリで肉を焼いてたジョン・レグイザモも、八つ当たりの巻き添えに。

サスペンスと見せかけておいて、『ミッドサマー』のカルト感、『パラサイト』のコメディホラー感の複合技で、さらに『ドント・ルック・アップ』みたいな人間への皮肉もたっぷり。そこにクリエイティブを取り巻く環境への製作者の憤りも添えて。とても複雑な味わい。
色んなものをバカにしているのだけど、斜に見るだけでなく、製作側の自分達もその中に置いているのが、真摯で偉い。

編集とか撮影とかの出来の良さに対して、一休さんみたいなとんち脱出とか、突然の「逃走中」とか、ストーリーはなかなかにカオス。一筋縄ではいかないっす。

物語性とか演出とか、装飾過多で料理自体が訳わかんなくなってる「前衛的な高級料理店あるある」もよく出来ていて、そこがわかるとより味わいが増す。
パンがないパン皿とか、もう全然ありそう。ザコシショウの誇張モノマネを彷彿とさせる、ディフォルメの効いた皮肉といじり。

全編を通して、製作者の性格の悪さが溢れ出ている映画です。バーホーベンを思い出す。大好物です。

今日は休館日