「緊張感のある晩餐!」ザ・メニュー ドラゴンミズホさんの映画レビュー(感想・評価)
緊張感のある晩餐!
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晩餐に呼ばれたら、一人また一人と殺される。ありがちな設定だが描き方によって緊張感が途切れない。
●料理の描写が素晴らしい。「ノーマ」や「エル・ブジ」みたいな芸術的な料理をちゃんと映像化している。
三ツ星レストランどころか本当のトップレベルの料理を一般人は見たこともなければ味や内容なんかさっぱりわからない。そこを逆手に取った演出がいい。
知ったかぶりのセレブが異変をあくまでレストランの演出だと言って気づかず、異常事態に気づくのが一般人の常識というアイデアが面白い。
●殺人者の動機も意外性があって良かった。この辺は見る人によって意見が分かれるかもしれない。もっと明確な動機を示して欲しいと思う人もいるだろうから。
でも、異常に才能がある者が道を極めていった先に、現実世界に失望し憎み、己が作品のために殺人にいたるという設定は、理解はできなくても想像はできる。明確には表現しにくい動機ゆえに、明確に描かず想像させる演出だと思う。
●その動機ゆえにヒロインが生き延びるラストにつながったのがいいアイデアだ。
武器を取ったアクションで殺人鬼を撃退するような安易な解決にしなかった。殺人鬼の動機の根源である料理の出発点と、心の奥底に残された人間性に訴えた逆転劇に関心した。
レイフ・ファインズが素晴らしい仕事をした。理解し難い殺人鬼の人間性を見事に表現している。
ヒロインのアニャも存在感があって良かった。
●惜しむらくはスタッフの動機をもう少し描いてほしかった。狂信的な宗教よろしくシェフに従うスタッフの背景が知りたい。
極上エンターテイメントであるのは間違いない。
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