「衝撃の逆カスハラバトル」ザ・メニュー ますぞーさんの映画レビュー(感想・評価)
衝撃の逆カスハラバトル
アニャ・テイラー=ジョイ
マイアミ出身の
イングランド系・スペイン系
の両親から生まれ6人兄弟の末っ子
14歳でNYでモデルにスカウトされ
20歳でドラマに進出
演技力を評価され「絶叫クイーン」
の異名を誇り活躍の場を広げる
いま最も旬な存在である
「ミッドナイト・イン・ソーホー」
での印象的な演技が記憶に新しく
個人的にもお気に入りの女優さん
主役も脇役もこなす起用さ
今度マッドマックスの
スピンオフのフュリオサも
やるとか
そんな彼女と
不穏おやじ演じさせたら
天下一品のレイフ・ファインズの
共演作の今作
どうだったか
久々にサイコなサイコーの一作
でありながらよくよく考えると
料理人ならではのカタルシスや
ジレンマをこれでもかと感じる
印象深い一作でした
伝説的な名シェフ
ジュリアン・スローヴィクの手がける
孤島のレストラン「ホーソン」
近海で取れた魚介類から山の幸
まで自然を余すところなく
ジュリアンを慕う弟子たちに
よって手がけられた絶品フルコース
それでいてコミコミで1250ドルと
予約が取れない割には
不気味なほどリーズナブル(かな?)
そんなひと時をを味わいに
美食ブロガー気取りのタイラーは
憧れのジュリアンに会うために
あんまりそういうのに
興味なさそうなマーゴを
付き合わせてホーソンへの
船を待ちます
するとそこに現れたのは
・ホーソンの出資者たち
・そこそこ有名な俳優と愛人
・料理評論家と記者
・常連っぽい老夫婦
などなど
マーゴはどうも老夫婦の
旦那のほうと面識があった模様…
船がホーソンにつくと
出迎えた従業員のエルサに
尋ねられマーゴは当初の予約と
違う名前だったと知ります
まぁ別に予約と違う人が来るのは
レストランの予約くらい別に
いいだろと思いますが
別の女と行くつもりだったのか
とマーゴはタイラーに嫌悪感を
まず覚えます
ホーソンに訪れると
ガラス越しの海から内部は
厨房を好きに覗ける自信に
満ち溢れた構造
しかし客たちは皆
自分たちの事情の話ばかり
しておりあまり料理じたいに
関心はなさそうに見えますが
そこで奥からジュリアンが
現れると手を一発大きく
パーーーーーーーーーン
と叩きその都度料理人が皆
整列しメニューが出てくる
流れになります
この手を打つ音がほんと毎度
スクリーンに響き渡ります
「食べないで味わってください」
など奇妙な言い回しで客に
料理の説明をするジュリアン
実際料理は創作っぽい
ポツポツした小粒料理
「パンは庶民のものだから
パンはありません」という
ソースのみのパン皿など
奇妙なものも出てきて
だんだん客たちは
ざわつき出します
料理評論家はソースを
一応味わいますがしっかり
混ざっていない点を指摘
しようとするとそのソースを
大量に持ってきたり対応も
おかしい
マーゴは全く手を付けず
トイレでこっそりタバコを
吸おうとするとジュリアンが
おもむろにトイレに入ってきて
「なぜ手を付けない」と
尋ねてきますが
おなかが減っていないからだと
かわしますが
予約と違う人間であることを
ジュリアンは見抜き
「君はマーゴではない」とも
言い出します
さて料理が進むと次は
「タコス」
ようやくマトモな料理が…
と思うと肉には幼少期両親が
もめたときに私が父親に突き刺した
という小ハサミが上に刺さっており
しかもタコスの包む生地には
レーザー刻印で様々な…
出資者たちには「不正会計の内容」
映画俳優らには「大コケした主演映画」
評論家らには「酷評記事」
老夫婦には「旦那のパパ活中の写真」
など見られるとマズイ事ばかり
マーゴが気まずくしていたのは
そのパパ活の相手が自分だったからです
そしてタイラーのは
「料理を撮るなと言われていたのに
こっそり撮っていた瞬間の写真」
いつ撮ったんだろうw
ここで客たちは激高
ふざけているのか!帰る!と
詰めますが帰るには船を待たないと
いけませんし出入口は屈強な男達が
塞いでいます
パパ活写真で居心地が悪くなった
老夫婦の旦那は無理やり帰ろうとすると
取り押さえられて指をちょん切られて
しまいます
ただごとではないのに
客によってはトリックだとか
信じようとせずタイラーは
黙々料理を食べてます
いよいよおかしくなってきます
その次の料理は
ジュリアンに憧れてホーソンに
来た若い副料理長が担当しますが
どうも憧れに届くことなく挫折気味
だったようで料理を紹介した後に
皆の前で拳銃を口に入れて発砲し自殺
その後に料理が出てくるなどいよいよ
狂ってきます
ジュリアンは表情一つ変えず
「代金に含まれているサプライズ」
だと言い張ります
出資者たちはコロナ禍でも店を
潰さなかったのにとか時事ネタを
ぶっこんで怒ります
レストランのオーナーにも
掛け合ってこんな店潰してやると
息まくとジュリアンは
それってあれですかと
窓の外を指すと天使の羽を
付けられたオーナーがクレーンで
吊るされ水面に沈んでいきます
このシーンはちょっと
笑ってしまいました
「ソナチネ」思い出しちゃった
むらかわさーーーん
やめてくださいよーーー
マーゴはすっかり
呆れているとジュリアンに
奥に呼ばれ
このディナーの最後は
全員の死で終わるが
君は関係ないから
「あちらの側」にいるか
「我々の側」につくか
選べと言われます
もううんざりですが次の料理は・・
ジュリアンが女料理人を紹介します
その彼女はずっとジュリアンに
言い寄られていた事を明かし
それでも憧れだったのでしょう
ホーソンに残り続けました
料理名「男の過ち」
彼女はジュリアンの体に
小ハサミを突き刺し抱き合います
なんかもう慣れてきた
ついでに男は45秒後に捕まえにいくけど
逃げてもいいよと言われるので
みんな逃げます
あっタイラーだけ逃げてませんが
「お前もだよ」と言われて逃げます
ここも笑いました
捕まるまで女性陣は店内で
待ちますがそこでマーゴは
さっきのどっちにつくかの
決断を迫られますがそこで
捕まった男たちが戻ってきます
(鳥小屋に最後まで
捕まらなかった記者には
ポーチドエッグのサービスが
あってここも笑った)
またここでタイラーが
このディナーの最後が
死で終わることを知っていながら
(マーゴ)を誘ったことを知り
マーゴはとうとうブチ切れ
さて次の料理は…
次はなんと隠し味などを
言い当ててきたタイラーが突然
料理着を着せられ作らされます
タイラーは不器用に野菜を切り
肉を焼きそれをジュリアンとその弟子
全員が見つめる中でやらされます
出来上がった料理を食べた
ジュリアンはハッキリ「マズい」
と告げ何か耳打ちすると
タイラーは料理着を脱いで
奥に消えていき
首をつって死にますw
何を言ったのかw
マーゴはそんな
タイラーを横目にジュリアンに
言われて樽をとってきてと
指示されカギをもらって
ジュリアンの私邸に行きます
そこで見たものは
ジュリアンの料理人になってから
これまでのキャリア
素朴な家庭料理を作っていた
時代から名声とともに様々な
出資者の要求や評論家の評価
心血を注いだ料理に
全然関心を示さないくせに
名前だけで食べにくる客
プレッシャーにさらされ
とうとう壊れてしまったのだと
知ることになります
自分は料理人じゃないけど
これは確かに料理人の
葛藤であるのかもと
思ってしまいました
高級料理店なんて会食や
パパ活のスケベおやじと
金目当てのクソガキしか
来ないのに腕を振るわなければ
ならないのなら・・
つまり今回のディナー
ジュリアンは復讐として
これまでの人生で自分に苦痛を
与えてきた出資者や評論家
料理もできないのに好き放題
ネットで書くブロガー
・・あれ?映画俳優は?
彼が疲れた時にふと見た
映画があまりにクソで
その主演が彼だった
からだそうですw
でもでも彼の彼女のは関係ない
んじゃないのと思っていると
大学の学費を自分で出してないから
「じゃあ死ね」とw
ブラックなんだけどどこか
笑えるあたり
アダム・マッケイ関わってる
感じがありありですね
さて結末に向かっていくディナー
ですがマーゴはついに手を叩き
ジュリアンに言い放ちます
「私が満足する食事が
まだ出てきていない
それでも料理人か」
するとジュリアンは
何が食べたいかと聞くと
マーゴは「チーズバーガー」
を要求します
するとジュリアンはまるで
憑き物が取れたかのように
「シェフの顔」に戻り
ポテトはおつけしますか
波型カットでいいですか
など細かく注文を聞き
一心不乱にハンバーグを焼き
ハンバーグとチェダーチーズを
重ねただけの素朴な
チーズバーガーを出してきます
マーゴはそれを頬張って
「持って帰りたい」と言うと
ジュリアンは持ち帰り箱と
お土産を持ってきて
アッサリマーゴを船着き場へ
帰してしまいます
マーゴの素朴な要求が
かつて楽しく客のために
料理していた自分を
一瞬よみがえらせたのかも
しれません
他の客にも土産を渡し始め
あれっこれここでみんな帰す?
と思ったらそんなことはなくw
ディナーのフィナーレは
キャンプよろしく「スモア」
(マシュマロとチョコレートを
あぶってクラッカーに挟むアメリカの
キャンプの〆の定番のようです)
客たちにチョコレートの帽子と
マシュマロのマントをかぶせ・・
激しく燃え上がるホーソンを
逃げ延びたマーゴはおみやげの
チーズバーガーを頬張りながら
呆然と見つめるのでした
いやー面白かった
ミッドサマー以来
なんかサイコなんだけど
気持ちのいいイカれ感
割と客もしっかり入ってて
それなりに注目してる人
多そうです