劇場公開日 2022年8月5日

  • 予告編を見る

「将を射んとまずは馬を射たら返り討ち」マックスとリリー シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0将を射んとまずは馬を射たら返り討ち

2022年9月16日
iPhoneアプリから投稿

一匹狼の刑事が、人生崖っぷちの戦友を銀行強盗に仕立てようとするサスペンスだけど、変わった味わいが魅力です。始めは主人公の考えがイマイチ分かりにくいけど、戦友の情婦で娼婦(ダジャレではありません)のロミー・シュナイダーを利用するあたりから面白くなってきます。娼婦と客の関係で、お互いに腹の底では相手を利用しようとしているのに、いつの間にか惹かれ合う男女の心理の変化を描くクロード・ソーテ監督の微妙なタッチは巧く、さすがにフランス映画らしいところです。役者では、ミッシェル・ピッコリの抑制の効いた演技、ダークスーツの着こなしが素晴らしかったです。一方で、ロミー・シュナイダーの艶やかなファム・ファタル振りが対照的です。上品な色気と知的で芯のある彼女の演技に負うところ大ですね。

シネマディクト