「インド映画枠としてはおせるけど、若干謎な部分もちらほら。」ハーティー 森の神 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
インド映画枠としてはおせるけど、若干謎な部分もちらほら。
今年220本目(合計496本目/今月(2022年7月度)32本目)。
今週本命になるであろう「恐竜枠」に対してこちらは「象枠」といったところです。
物語の序盤こそ穏当に進みますが、なぜか謎の工事で所有地が勝手に塀で取り囲まれる…と思えば、それは実は裏で謎の開発工事が始まっていて、それに立ち向かう主人公と地元住民たち…というストーリーです。
まず、インド映画としてよくいわれる「ダンスシーンがあるか?」だと「一応あるが、3分あるかないか」で、一般にいうインド映画で「独立して」描かれるダンスシーンはないです(ストーリー的に踊るシーンが数か所ある程度)。逆に「ソングシーン」というのでしょうか、主人公が心の中かで歌っているシーンはそこそこ多いです(インドの宗教に関する知識があると有利ないし理解できるかも??)。また、インド映画といえば左下に出てくる謎の警告表示(飲酒はダメよとか何とか)は「まったくない」です。
…にしても、160分は長いなぁと思いつつも、あれもこれも削れないし、見どころは結構多いです。単に象と触れ合うだけの「自然枠」ではなく「謎の工事をする変な会社といかに戦うか」という意味でのアクションシーンもあるし、今週は「恐竜枠」vs「象枠」になるかなというところです。
採点対象としては下記が気になったところです。
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(減点0.3) この映画、インド映画といっても上記のように会社が開発を進めてうんぬんという話、さらにそれに付随して弁護士の方までいるので、そこそこ「法律ワード」が飛び交うのですが、「所有権」はまだしも「(環境)審判所」は何を指すかわかりにくく、かつここは知識を持っている方(日本でいう(講学上の)行政法を知っている人。要は、司法試験と行政書士の合格者)が見ると混乱する部分があり、さらに「日本の制度と同じように進む」上に(ネタバレ回避)、一方で明確に「日本のそれと違う」ため、何がただしいかわかりにくい点は確かにあります。
▼ 審判所って何?
・ 日本では裁判といえば「裁判所」というのが普通ですが(字幕でも「裁判所」「も」出る)、特に専門的な内容で一般の裁判所に適さない場合、第一審(日本では地裁相当)については専門色の強い、行政主導の「審判所」が第一審となることがあります。海難審判や電波審判(免許の取り消しを扱う)などがこれにあたります。
ただし、日本では行政が終審として裁判を行うことを禁止しているため(日本国憲法)、それに不服があるものは必ず裁判所に「接続して」訴えることができる仕組みになっています。このとき、「準司法制度」とも呼ばれるほど裁判所の制度が準用されるこうした仕組みで下された結果をまた覆して(裁判所でいう)地裁に接続するのは適切ではないので、不服があるときの申し立て時が高裁になることがあります(その意味で、「実質的な」三審制は保障されている)。
映画内では「審判所」とは別に「初級裁判所」という語が出るので、反対解釈すればインドにも「裁判所とは異なる別の裁判所「もどき」の場所がある」ことが導けますが、インドの司法制度を誰しも知っているわけではなく、ここは知識があると、日本と同じ制度なのかな…と類推して読まないとついていけなくなりますが、文化圏的に似る韓国や台湾ならまだしも、インドの司法制度を類推するのも限界があり、もう少し丁寧に描けなかったのかな…という気がします(なので、「環境審判所」に対して「裁判所で争う」といった字幕の意味が、一般の方でも???になってしまう)。
(減点なし/趣旨が理解しがたい)
インド映画の特徴なのか、最初に真っ黒な画面で超長文(ただし、英語)が見せられるのですが、5秒程度しかうつらず…。かなり量は多いです。結局「このストーリーは架空です」「勝手に撮影するな」「動物は虐待していません」「アルコールやたばこはほどほどにしましょう」といった内容ですが、速読大会になってしまっています。まぁどれも当たり前(インド映画のみ「アルコール~」は独特ですが)ですが、日本語の字幕を付ければよいのに…とは思えます(語彙的にも準1程度の語彙が飛びまくる上に5秒程度しか出ないので、最初の1分からきついです)。
(減点なし/謎のエンディングロール)
この映画、エンディングロールが左右で2つに分割されていて、左側は「このお話の後日譚」というもの、右側は普通のエンディングロールなのですが、恐ろしいほど流れる速度が速いです。日本でいえば、日本映画でも(日本人が読み切れないほど)超高速で流れる、といえばわかりやすいと思います。
もっとも、インド語(ここでは便宜的な名称。インドは多言語なので。タミル語か何か?)か何かで延々と「○○役 ××」と出てくるだけっぽいので、読めなくても関係ないのですが(そして、普通絶対に読めない…)、逆に長文関係(例の何とか権がどうこうは、上記に触れた通りオープニングに移っているので、法律的な内容は出ない)はないので、ただ単に「これ早すぎ…」といったところです。
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