窓辺にてのレビュー・感想・評価
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非日常なのに日常のふりをしている話
小説を書くのをやめてフリーライターになった主人公(稲垣吾郎)は、妻の浮気を知っても全く怒りが沸かない。そして妻の浮気ではなく、怒りが沸かないことを悩んでいる。
知り合い(訳あり)に相談しても、妻の浮気に怒らないことを指摘され逆に相談相手を怒らせてしまう。
人を本当に好きになったことがないという主人公だが、それは自分ではどうしようもないこと。
もう一組登場する夫婦は夫が浮気をしているのだが、男性二人の容姿が似ていて、奥さん二人と浮気してたの?と思ってしまった。ちなみに浮気相手の女性二人も少し似ている。
長回しのシーンが多くて何か起こるかもと思わせるけど何も起こらない。
浮気がテーマだけど、エロチックなシーンは全くない。
パフェの意味はパーフェクトって、香取慎吾さんの映画にも同じセリフがあったな。
今年は新しい地図の三人の映画が公開されたけど、この映画が一番私の好みかもしれない。
独特なリズムのセリフと言葉に惹きつけられました。 稲垣さんが本音を...
独特なリズムのセリフと言葉に惹きつけられました。
稲垣さんが本音を妻に語るシーンは泣けた、とても良くわかる。僕も妻が浮気してるとわかっても、ああいう行動をとるだろうなぁ〜 中村ゆりさんはとても魅力的でした。
自分の思いをちゃんとアウトプットする。どんなに変な思いでも。たとえ誤解されなくとも。最後の稲垣さんの表情、雰囲気はそういう感じだった。妻の本音が聞きたい聞きたかったと今、思う。
SF
「フィクション?」、否「SF」 なんていう噛み合っていない台詞回しも今泉節健在と言ったところだろう。
常に聞き返す受け答え台詞も同様で、心此処に在らずという配役をアテレコではないだろうかと勘ぐる程、稲垣吾郎の絶妙なオトボケ演技が冴える作品である。
沢山のパンチラインと暗喩、そしてその解釈や読み解きに映画ファンや評論家等にとって"腕が鳴る"内容なのではないだろうか
主題となるのは『自分探し』
感情の欠如を抱いている男が、妻の浮気に心情が動かないという自身に生き辛さを感じながら、その答えを近しい周りに求め回る事で自分の肯定感迄行着くのかという粗筋である
もし同じ境遇に陥ったら…自分ならば怒りに震える。但しそれは愛情や嫉妬ではなく、蔑ろにされたというプライド攻撃への反応なのであろうことは想像に難くない。そこには他者への想いなど微塵もなく、単に自己愛の現れというかなりの恥ずかしい内面なのだと思う。そんな自分がストーリーでの登場人物の新進気鋭の女子高生作家の天真爛漫さと繊細さの同居という極端な混交物さが発する『捨てることで他者に愛を表わす』という哲学的問い掛けに重要なヒントを得たような、そんな収穫であった。主人公は結局、最後迄自身の欠落?をみつけることはできない。でも代わりにその佇まいに周りは頼ってくる。あれだけ毛嫌いしていた女子高生の彼氏から相談を受けるのだから・・・
酒もたばこもやらない主人公は、迷える子羊にとって神聖化された存在なのだろう。但し本人はそれ以上に自分の自己評価の低さに苛まれているのだろうが・・・
バイクでタンデムする、パチンコをする、ラブホで女子高生と一夜を共にする(行為無)という、妻の浮気をきっかけに、初体験を積み重ねながらもそれでも変化に乏しい状況が却ってリアリティを醸し出していて、人間なんて早々変わるモノではないことを表現していて大変興味深く鑑賞出来た。
秀逸なのは、浮気相手の若手作家(この人とサッカー?選手の区別が分らなかったので当初戸惑った)の、現在の生活基盤故の小説を、代わりに作ってみたので読んで欲しい件のシーンが本作のキモであろう。そう、まるで主人公は響かないのである。但し、それは若手作家はその主人公を媒介にして執筆できた時点で、その貴さを確認してしまったのである。
何だか今話題の"カルト"の匂いに強引に結びつけてしまいがちだが、決してそうではなく、自覚せずとも引力、若しくは重力の強い人間というのは存在する、そんな1人の人間を題材とした作品である。
凪のようなイッチの秘められた愛情がしみる
窓辺にて観てきました
妻の不倫に気づいた夫はショックを受けない自分にショックを受ける。この面白そうな題材を吾郎ちゃん(稲垣吾郎)が演じるなんて!!発表とともに興味津々でした
しかしこの主人公全てが凪過ぎる。感情の起伏がありそうでないのである。
もし某掲示板に相談したら『妻の不倫に気づいたイッチがヘタレ過ぎィィィイwww』とまとめサイトにあがるのが容易に想像できた
以下
イッチ(市川茂巳)
汚嫁(紗衣)
間男(荒川)
ティナ(留亜)
金髪(水木)
青(マサ)
雪(なつ)
イッチがヘタレ過ぎてイライラするンゴ!汚嫁と間男に制裁キボンヌ!!とか煽りという名の叱咤激励を喰らいそうなシチュエーションだけど我らが吾郎ちゃんの演技は全く波打たない。凪である
イッチ的にはいろいろ葛藤があったと思うけど開始から終わりまでただの一度も声を荒げることなく穏やかに進んでいく。そんなイッチをみていると観ている側も穏やかになっていく
終盤間男との直接対決ですらイッチは穏やかだった
ワイ的には『勝手な事言ってんじゃねぇよ!!土下座&慰謝料〜😡』と思っていたけれど代わりに間男はイッチの心を読み解くヒントをくれたので良しとしよう
イッチは汚嫁を愛していたのか?
たぶん愛していたから筆を折ったのだろう
汚嫁はイッチの愛に気づかなかったのか?
気づいたからイッチの才能を潰したと負い目を感じたのだろう
たぶん言葉一つで伝わる事が文章に関わるイッチと汚嫁にはできなかったんだろうな。でもそれが2人の愛だったんですよ。きっと
最後のティナを追いかける金髪をみていると多少おバカな方が人生は生きやすい。捻りのないストレートな言葉(電話)がストライクゾーンど真ん中に決まったと信じています(笑)
ついでの一言
街の上でが大好きなんだけど
青と雪の関係に吹いた(笑)
【”様々な愛情の形・・。”二組の夫婦と一組の恋人達の、相手を気遣いながら、不倫を絡めた愛を模索する姿を描いた、静やかなる作品。今泉力哉監督のオリジナル脚本のレベルの高さに驚いた作品でもある。】
ー フリーライターで元作家の茂巳(稲垣吾郎)は、妻紗衣(中村ゆり)が、若い人気担当作家、荒川(佐々木詩音)と浮気している事に気付くが、怒りの感情が湧いてこない自分に困惑していた。
そんなある日、文学賞受賞式のインタビューを切っ掛けに、知り合いになった高校生作家留亜(玉木ティナ)に受賞作のモデルに会いたいと申し出るが・・。
又、茂巳の知り合いの正嗣(若葉竜也)と妻ゆきの(志田未来)との夫婦関係も、正嗣の不倫により、微妙になっていて・・。-
◆感想
・不倫は許されるものではないと思っているが、今作はその不倫そのものを”結婚していても、人を好きになる事はある。”と言う監督の想いで、物語は紡がれて行く。
・愛しているのに、切っ掛け(旅行など)が無いと、大切なことが聞けない二組の夫婦と、高校生作家のカップル。
ー 皆、自分が傷つく事よりも、相手を傷つける事を恐れている。ー
・茂巳は、紗衣の母(松金よね子)の家をケーキを持って、頻繁に訪れ、義理の母の写真を何枚も何枚も、撮る。
ー 彼の人柄を表しているシーンである。-
■映画の技法としては、夫婦が互いの想いをぶつけ合うシーンを長廻しのワンカットで撮影していることが、効果的である。
<人間とは、簡単に説明できる感情のみを持っている生き物ではない。
この作品は決して分かり易い物語ではないが、私は今泉監督が”愛情とは何か”を問い掛けてくる作品だと思った。
それと共に、2組の夫婦、カップルの愛情を求める姿を描いた今泉監督のオリジナル脚本のレベルの高さに驚いた作品でもある。>
村上春樹の
短編に出て来そうに、理路整然と会話を交わす人々を見栄えのいい役者さんたちが演じていて、大した事件も起こらないけれども楽しめた。玉城ティナ可愛いし。吾郎くんだけが文字通り「SF」で生身感が感じられなかった。
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