「あなた、必要ですか?」窓辺にて 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
あなた、必要ですか?
フリーライターの市川茂巳(45歳=稲垣吾郎)は
妻の紗衣(37歳=中村ゆり)が、担当作家の荒川円(佐々木詩音)と
浮気しているのを知っていた。
茂巳は妻の浮気に怒りを覚えない自分にショックを受けていた。
妻を愛していないのか?
自分は人を本気で愛することの出来ない人間なのか?
茂巳のアイデンティティを揺るがしていく。
妻の浮気?!?!
夫が埋めることの出来ない「心と身体の隙間」
それを埋め合わせる「行為」
その生々しさはこの映画には微塵もない。
市川茂巳は、見れば見るほど不思議な人だった。
昔風のレトロな喫茶店が好き。
コーヒーカップも高価なブランド品。
茂巳はブレンドを注文する。
氷の入ったグラス。
光(自然光というよりランプの灯り?)
を受けて、氷入りのグラスを通して、影が手の甲に
光の輪を作る。
じいっと見つめる。
多分、茂巳の心は満たされている。
喫茶店の窓辺に座り、光の反射を受けて、
ブレンドコーヒーを味合う。
自足しているのだ。
芳醇な時が流れる。
茂巳はこんな時間で心が満たされる。
一人で生きていける人間なのだろう。
純文学的な映画で、
それと「物語を書く人と女の関係」
恋愛と恋愛観、
浮気と本気と。
頭で考える恋愛?
うーん、
本当に人を愛するってどういうことなのだろう?
茂巳は考え続ける。
茂巳は悩む。
浮気している妻と別れることは、彼女のためになるのか?
優しさなのか?解放することになるか?
妻が浮気をする。
それは、夫に不満があるから・・・。
この簡単な理由では足らないのでしょうか?
私は非常に単純で下世話な考え方の人間なので、
妻の浮気!!
それって、夫のsexに満足してないからなのでは?
第一に茂巳と紗衣は寝室が別だ。
セックスレスを疑ってしまう。
子供が居ないのも、理由は分からないけれど、
夫婦にとっては大きな問題です。
この2つを避けて論じられても、さっぱりピンと来ないのです。
(もしかして稲垣吾郎はベッドシーンがNGなのかも?)
・・・とか、要らない心配までしてしまう。
経済的な問題も論じない。
妻の方が高給取りである・・・とか、
フリーライターって不安定な仕事で、高収入とも思えない。
更に性格の不一致という都合のいい理由もある。
(早く言えば、気持ちが通じ合わないこと)
なんか茂巳と紗衣をみてたら全部当てはまる。
高校生作家の久保留亜(玉城ティナ)は文学賞の授賞式で、
鋭い質問をした茂巳に興味を持つ。
留亜(るあ)に向き合い茂巳は、とてもリラックスしていて楽しそう。
ときどき瑠亜のナレーション(彼女の小説のフレーズ)に
落ち着いたBGMが重なる。
音楽はここしかない。
あとは雨音、パチンコ店の喧騒、そして生活音。
茂巳は瑠亜に呼ばれればどこまでも駆けつけて、
茂巳は珍しく、ある頼み事をする。
小説「ラ・フランス」のモデルに会いたい」
と、留亜に頼みます。
この映画、浮世離れしています。
稲垣吾郎に生活感は全くない。
(生々しくないのです)
女子高校生で瑠亜の書くものが純文学なら、芥川賞だろうし、
いくら可愛いからって、この出版不況。
授賞式にあんな沢山の記者が詰めかけたりしない。
まあ、クスッと笑える所も結構あります。
登場する人物は全員が優しい。
そりゃぁ、手練れの今泉力哉監督ですよ。
粘りに粘って最後には、
ちゃあんと感動してる。
稲垣吾郎と玉城ティナとの絡みは、特に面白い。
留亜の金髪の彼氏があまりにも頭悪そうで、
(頭悪い・・・というより考えるのが苦手なんだろう・・)
頭の良い面倒くさい女には、
こう言う頭空っぽで、心理なんて深読みしない彼氏がお似合いなのだ。
ともかく玉城ティナは可愛かった。
若葉竜也は今泉力哉作品の常連だけど、良いポジションに居る。
稲垣吾郎の優しさ!
無駄に優しい!!
これだけ妻に無関心で自分を主張しなければ、
そりゃあ浮気もされるわと、
妙に納得する映画でした。
最後に一言。
馬鹿でマジで本気の恋愛映画を観たい。
「愛がなんだ」の岸井ゆきのみたいな。
「街の上で」は青(若葉竜也)が彼女の雪(穂志もえか)に浮気されて、
一方的に非難される。
それでも雪を忘れられない青。
2人には、茂巳と紗衣にはない絆があったような・・・。
青と雪の10年後が、茂巳と紗衣・・・って事には絶対にならない。
馬鹿でマジで本気で愛を信じる2人の映画を観たい。
茂巳と紗衣が互いを必要としていないのならば、
やはり悲しいな。
(愛なんて、つまりは必要としてるか?されてるか?)
かも知れないんだ。
映画を観た終えたら、無性に、
「肉が食べたくなった!!」
琥珀糖さん、どちらかと言えば茂巳に近い方の私には、グサッとくるレビューです。でも、すごく面白いです。
稲垣さんは、smap時代にベッドシーンも全裸シーンもやってますが、今思い返すと、生々しさはあまり無かったかもしれません。
今泉力也の映画はやはり間ですね。独特の間に入り込める心地よさがあります。
稲垣吾郎は当て書きじゃないと演技は無理だとは思いますが、やはり持ち味を引き出しているし、玉城ティナが名女優に見えます。今泉マジックですね。
それでは、おじゃましました。
コメント、ありがとうございました。
> 静かな稲垣吾郎演じる茂巳の生活に動的な光を差す瑠亜。
離婚を選んでも不思議と心が静謐な茂巳。
琥珀糖さんのコメントが、芥川賞をとりそうです。流石。
この映画は、何なのだろう。
今泉監督作品として、明らかに異質。新境地なのだろうか。それともこの作品も今泉愛の世界の重要な一パーツなのだろうか。
俺は、主人公の温度感なき感情も(残念ながら)少しわかってしまう。だから、映画としてそれなりに面白かった。
でも、この観終わった感触は、期待していたものではない。観終わった時に感じる "希望" の方向が、他の今泉作品達と違う気がする。
訳のわからないコメント入れちゃって、すみません。この映画には、混乱してます。
夜分すみません。orおはようございます。見つかったです。パンフの山の中から 劇中の女子高生作家の 架空の小説です ラ・フランス🍐 たったの4ページです。 一応文庫サイズが真ん中に付加されてました。なにぶん毎週、有料パンフ クリアファイル等グッズも購入してるので、物置き場に山のようです。【不評】困るのは紙媒体全てにおいて言えるのですが、100年後も付加価値がでないことです。紙屑に同義。ただ その場限りの刹那 が良くて購入しています。結構たまーに何年も前の眺めるの【読みはしません】楽しいですよ。失礼します。エコノミーの人が一番クレバーは相違ないです。
ちょっと探してますが後日になります。マスゴミは後付けでくだらないですが、信ぴょう性は高い場合が多いですね。新聞は。テレビは全く当てにならない。新聞も何を今更 わかりきったことを・・ではありますが!
イイねコメントありがとうございました。rewriteかも知れません。今出先なので有料パンフは後日確認しますね。毒のない作品ですね。今マスコミ【芸能界に忖度不要の紙の新聞📰】ジャニーズ キタガワさん お亡くなりになってるのに 大変な騒ぎですね。真偽は知りませんが、各タレントさんのベッド🛌シーンは 許さなかったのかも【あくまで推測です。個人的推測です。違うかも知れません。】
イイねコメントありがとうございました😊毒のない作品ですね。有料パンフは今出先なのでまた後日確認してコメントしますね。稲垣さん特定では無く、ジャニーズ 今は亡きキタガワさん。今マスコミ【芸能界に忖度不要の紙の新聞】で大変な騒ぎですね。それと無関係でないかもですね。ちなみに イイ悪いではありません。
いつも共感ありがとうございます。
琥珀糖さんのレビューで笑える所が三つありました。
一つめは稲垣吾郎はSEX 撮影はNGなのかというところ。
二つ目は稲垣吾郎はムダに優しい。
三つ目は最後の肉が食べたくなったです。笑笑。
稲垣吾郎をあて書きしたとの事なのでマイペースなイメージ通りのゴロちゃんでしたね。
本当に!ムダに優しいが当てはまる役でした。