劇場公開日 2022年11月4日

「小説のような映画」窓辺にて ルカさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5小説のような映画

2022年11月6日
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鑑賞方法:映画館

劇中の途中途中で小説を読みながら進行しているが、淡々と人物たちの会話と表情を楽しむこの映画自体が、小説を読んでいるような感覚になる作品。こう言ったら相手はどういう反応をするのか、というのを傍観して見ている感じで引き込まれた。今まで稲垣さんの演技をあまり観たことが無かったのだが、今泉監督の世界観の中で、冴えない普通の(だけどちょっと変わっている)人物として、意外にも全く違和感なく存在しており、稲垣さんの底知れない力量を感じた。
今泉監督作品に出てくる「愛すべき冴えない人」は、不完全な人間が面白く見えてきて、自分の日常でも不完全な自分、もしくは他人を面白がれたり、許せる精神を培える効用があるんじゃないだろうか、と勝手に思っている。
今作で気になった点としては、ネタバレになるので名前は伏せるが、ある2人がそういう関係ではないのに話をするためにホテルで一晩明かすシーンについて、別にホテルではなくて公園とかじゃダメだったのだろうか?という点だ。そういう関係になろうと思ってない男女が、信頼しているとはいえホテルに泊まるというところは、ちょっと理解出来なかった。
苦言も書いたが、全体としてはいろんな人物の本音と表面的な言葉とが交錯していて、面白かった。

ルカ