「まあ目に悪い」拷問男 kekeさんの映画レビュー(感想・評価)
まあ目に悪い
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主人公の弟がレイプ魔で、自分の(元妻の)娘までターゲットにされ殺されてしまう。
そこから弟を閉じ込めて延々と拷問、という話。主人公一人の心理にスポットを当てている。感動は全く無くて、絶望と虚無感に浸れる。
ただ拷問描写がメインではないし、主人公が最後まで狂うわけでもないし、幻の娘に止められた形で無難に終わった。娘が親の板挟みになりかけていたので元妻との人間関係も描くのかと思ったら華麗にスルー。
娘および他の被害者たちが受けた凄惨さは文字(弟の書いた日記)で、加害者への拷問は映像で描くので途中からどうしてもギャップが出てくる。描写したくても大人の事情で無理だろうけど。つまり延々と拷問していると「さすがにやりすぎ」という心理に。
それもあって弟の演技が下手に見える。というのも喉が潰れて喋れなくされているので最後まで痙攣するか奇声を発することくらいしかできない。弟の悪事は主人公が読み上げる日記でしか伝わらず、ここは映画として残念に感じた。弟役のクリスチャン・ラドフォードが有名じゃなさそうなので本当に演技下手なだけかもしれない。
娘をやられた側からすれば殺すだけでも足りない。その足りなさを映画でどう表現するか、実際に自分が主人公ならどうなってしまうのかを探求したい気持ちはある。この映画では狂って終わりや殺して終わりにせず、死んだ娘が止めた。脳裏に映って最後の一撃の力を失ったに近い。
幻が差し伸べた救いは嘘か真か。
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