劇場公開日 2023年7月7日

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遠いところのレビュー・感想・評価

全38件中、21~38件目を表示

4.5遠いところへ、そして光の射す彼方へ

2023年7月29日
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鑑賞方法:映画館

印象に残る映画というのは、そのタイトル自体に深みがあると感じることが多い。そして、本作も例外に漏れず鑑賞後にタイトルの意味を噛みしめたくなる作品である。

沖縄に暮らす若年母子の視点から、貧困、家庭内暴力、未成年飲酒などの問題を描いた本作は決して軽い気持ちで見ることはできない内容だ。テーマだけで考えれば、ドキュメンタリー映画として描くことも可能であっただろう。しかし、本作はアオイという一人の女性の“物語”とすることで観客を彼女と同じ目線に合わせ、何気ない会話、殺伐とした部屋の様子などを通じ、過酷な日常を身近なトピックとして魅せてくる。

それでも、本作を嫌な気持ちにならず鑑賞できるのは、映像的な魅力で物語を牽引しているからであろう。夜の街を裸足で走り抜ける、おばあと海を見つめる、友人とファミレスで会話する、車の窓に映るネオン街の灯など、いずれも日常的なシーンでありながら、アオイのさりげない表情から彼女の気持ちを推察することで映画的な深みが徐々に増してくる。ラストカットに向かってアオイが走る場面は前半のキャバクラ店から裸足で駆け出す場面と対を成す名シーンだ。彼女がどこへ行くのか?どこへ向かうのか?と観る者の視点をスクリーンに集中させる。

劇中でアオイが言う“遠いところ”とはどこを指すのか?観客が見たアオイの日常は“遠いところ”の話なのか?その回答は観客に委ねられ、何通りもの解釈が生まれることだろう。ただ、私にはあのラストカットは未来に向けた希望の光が射し込む瞬間に思え、感情を揺さぶられるままにエンドロールを見つめていた。

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Ao-aO

3.5まー、ずっと重い作品だった。。。沖縄のリアルを描いているという事で...

2023年7月27日
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まー、ずっと重い作品だった。。。沖縄のリアルを描いているという事で本当に大変だなと。重すぎて、つらすぎたが、映画としては脚本含めでしっかりしていて、良い作品だったと思う。

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おれ

3.0観たい度○鑑賞後の満足度△ 「映画ではなく、現実」というキャッチコピー。現実なら自分の周りをよく目を凝らして観察したらよい。映画にするからには観た後に何かが欲しい。その何かが感じ取れなかった。

2023年7月24日
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鑑賞方法:映画館

①まず、大きな声で怒鳴り合うシーンはともかく何を喋っているのかよく聞き取れない。それはラストまで同じ。
それでも話の流れは掴めたのだから映像作家として監督はそれなりの力量はあるのかもしれない。
まあ、よくある話、ということもあるのだが。
②17歳で2歳の息子がいて、相手の男はどっしようもない奴。と来るとよく考えもせずにヤって孕んだとしか思われない。
若気の至りとはいえ自業自得じゃない?
と映画の中盤まではよくある話をさも意味のあるように見せられてもなぁ、と思いながら観ていた。
「次世代に残してはいけない問題」というキャッチコピーもあるが、どの時代でもどの国でもある話じゃない?とも。
沖縄に特有な話、という独自性も感じられなかったし。
③ただ、中盤くらいから、過ぎたことは仕方ないとしても、現実問題としてアオイが何もかも背負うことはないのではないか、という気がし出した。
回りの大人は誰一人頼りになりそうなものは確かにいないし(でも親族の集まりであれだけいるのだから一人くらいは頼れそうだが)、社会が悪いという意味でもないけど。
アオイも我を張らずに助けを求めればよいのに、とややじれったくもあった。
一番大事なのは子供の幸せなのに。
④“遠いところ”って結局あの世なん?みたいなラストも切ないようでありきたりな気もしたし。
こんな風にしか感じられないのは、私があまり後悔のない人生を送ってきたからかしらん(今は時間があれば好きなだけ映画を観られるし)

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もーさん

4.5籠の中の少女たち。

2023年7月19日
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鑑賞方法:映画館

沖縄。美しい海や大通りには観光客が溢れている。その一方で狭く暗い路地を抜けた先では今日も虚勢を張った少女が汚い大人たちから搾取され続けている。

キャバクラで働きながら幼い息子を育てる17才のアオイ。無職で暴力を振るう夫のマサヤ。身内からも疎まれ日々生きてゆくので精一杯。困窮した母親が行政からどんな支援を受けられるのか、私たちはそのいくつかを知っている。そう、知っているから選択できるのだ。アオイの育った環境を想像する。キャバ嬢なんて中学生でもやっていると笑って酒をあおる彼女たちの狭い世界の中にはきっと、知らない他者に救いを求めるなんて考えは初めからない。それでもふいに遠いところに行きたいと洩らすその姿に私は堪らず同情した。

次々と襲いかかる困難。もはや誰も信用できない。ただアオイの息子に対する愛情は嘘ではない。少女なりに、必死に母親になろうとしている。そしてこの衝撃的な終幕をどうとらえるか。水平線の向こうに日が昇る。私はきっとここから始まる物語なんだと信じたい。主演の花瀬琴音さんの熱量が素晴らしかった。

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はるたろう

1.5沖縄のリアル、ステレオタイプ強化の懸念

2023年7月18日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

「青い空、青い海、白い砂浜」と「基地問題」に集約されがちな沖縄。これらはイメージであり、リアルでもある。ただ、この映画は「それ以上のリアル」に迫ろうとしている。この「それ以上のリアル」は、貧困(特に、女性と子ども)、暴力、風俗、自死、酒、薬などなど、ウチナンチュたちもナイチャーたちも見たくないリアルでもあるだけに、劇場公開を通して直視するという社会的な意味は十分にあると思う。
気になるのは、「沖縄の男(人)は働かない」「安い風俗」といったステレオタイプが強化されかねない点である。もう一つの懸念は、このレビューにもみられるように、この現実が沖縄だけでなく現代日本の問題として一般化されている点。確かに日本国内(国外)でも同様のことが起きている。このことが、沖縄(本島)の歴史を薄めてしまい、矮小化されてしまうことに繋がりかねない。
この映画がみせる「沖縄のリアル」の背景には、日本への再帰属(「祖国復帰」)と、結果として起きた構造的問題があることを忘れるべきではない。「働かない男(沖縄人)」は、サービス業が集中し、低賃金・不安定雇用が生活を脅かし、その圧力から「稼ぐ男」として機能できない人の一部が暴力や逃避行動(酒や薬)に走り、「家庭を守る女」が小さな子どもを抱え、時に10代半ばで母となった義務教育すらまともに受けられなかった少女たちが、物理的、性的、社会経済的暴力を受け、それでも生活費を稼ぐために夜の街で稼働することになる。まさに、社会学者・上間陽子の著書『裸足で逃げる』ようなリアルである。
日本の米軍基地の7割以上が集結している不平等と、「産業振興」(基地を受け入れたうえでの経済生活)か「アイデンティティか」と沖縄世論を分断させ、「本土復帰」からはじまった沖縄の観光化によるサービス業の集中と他産業の相対的な不在(薄さ)は、「青い空、青い海、白い砂浜」と「基地問題」、そしてこの映画が描く貧困や暴力が個別のものではなく、連続性の中にあることを意味している。だからこそ、本映画が示すものは、日本の現代問題としてのみ捉えるのではなく、沖縄の特殊性とそれによって何らかのメリットを享受しているナイチャーの問題として考えるべき問題提起なのである。
では、映画としてそれができているのか。確かに、2時間20分という長編の中で何度か米軍基地やその危険性(暴力性)を象徴するようにオスプレイが映し出されている。コザのゲート通りや鉄条網を冠した(嘉手納?)のフェンスなど、他の基地の象徴も現れる。しかし、どれだけの人がそれをオスプレイや基地の存在とその影響として理解しただろうか。なぜ、アオイやマサヤは祖母との家庭や母子家庭で育った(ように描かれている)のか(アオイの父はいやいや金をアオイに渡すが)。アオイの母は九州に住み、何か問題をおこしたように語られるが(ここは聞き漏らした)、なぜ娘をおいて本土に住み、問題をおこしたのか。貧困の連鎖が起きているのではないのか。
このような現代社会の問題と沖縄独特の(抑圧の)歴史などを網羅することは不可能である。しかし、長編の一部を割愛しても、入れるべき政治経済と社会背景があったはずである。この提示を怠ったことが、こうした問題とは無関係あるいは距離がある、まさに「遠いところ」にいるナイチャーや沖縄人々の中にあるステレオタイプの強化するのでは、という懸念を生んでいる。次回の作品に期待したい。

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tingin

5.0いい映画

2023年7月16日
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鑑賞方法:映画館

リアリティがあって、とてもいい映画。
色々あるけどこれが現実なんだなと思った。
沖縄というよりも、結構各地でこういうのあるんだろうね。
知らず知らずのうちに沼にはまるみたいな感じ。
印象に残りました。

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khapphom

3.5無知の怖さと日本の現実

2023年7月16日
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悲しい

なぜこの映画を沖縄で行ったのか(データ上で選択されたと思うけど)、沖縄の人に対してどうなんだろう…
同じようなことは、沖縄/古座だけでなく、日本各地である事実 貧困を理由に苦しんでいる女性(西成には男性)は、大勢いるし、そんな人達から搾取している人がいるのも事実 負のループに飲み込まれ這い上がれない
憲法では文化的な最低限の生活を保証しながら、野放しになっている日本に将来はない
自分自身で学び理解して、生きていくしかない 誰も助けてはくれない それが日本の現実なんだろう

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ろくさん

4.0監督の願い この問題について知らない人に広げてほしい

2023年7月15日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

難しい

京都で舞台挨拶付きで見ました。

沖縄の少女が風俗に行かないようにどうしたら良いかは、ボランティアでも、寄付でもなくこの世界の片隅にこういう問題があることを一人でも多くの人に知ってほしいとおっしゃっていました。

世界の女性、子供が少しでも暴力や貧困から遠いところに行けますように☆

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KSクッキー

4.0アオイ役の人がとにかく魅力的で、ずーっと見ちゃう 演技のうまさのせ...

2023年7月14日
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アオイ役の人がとにかく魅力的で、ずーっと見ちゃう

演技のうまさのせいか、

目が離せないままいつの間にかラストシーンになっていた

あのララストの捉え方は人それぞれだと思うけど、

私は前向きに捉えたい

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jung

4.0覚悟を。。。

2023年7月12日
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難しい

私は本作の舞台となった沖縄のコザという所をよく知らない。
が、「沖縄」といえば、あの透き通った美しい海をはじめ、観光という目線でしか見てこなかった。いや、見ようと、考えようとしてこなかった。

 しかし、1人当たりの県民所得が全国最下位、非正規労働者の割合やひとり親世帯の比率も全国一位だという事は知っている。若年層の出産率が高く、子どもが子どもを産んでいる現実がある事も。。
戦争や基地問題、それに伴う米兵絡みの事件、レイプ、失業、自殺、、
沖縄が抱える闇の部分にフォーカスした作品です。
 甘い部分を排除して「映画、ではなく現実」だ!と訴る工藤監督の送り手としての使命感と覚悟を感じました。

 生まれた場所、環境が人生を決めるすべてであって良いのだろうか。
 まちがってしまうのは全て自己責任なのだろうか。

 周囲の大人達も希望がない。知識もない。思考が停止している泣
自分も余裕がないのだから、例え子であっても手を差し伸べる術を知らないし、当たり前の様にお門違いな言葉を吐く。

 だからといってアオイ(花瀬琴音さん)だけが可哀想という描かれ方はしていない。アオイの性格や行動も若さ故?の身勝手な生活ぶりにイライラする。
マサヤ(佐久間祥朗くん)ともお互いに依存してる?関係に腹が立つ。
だからこそ余計に悲劇。負の連鎖。
RRRじゃないけど、正に「教育を」!!
選択肢があることすらわからない。
ここまでくると無知って罪だ。

 でもやっぱりアオイ、ケンゴの様な沖縄の、いや、全国の若年母子を放置してほしくない。彼女らの生きる力、道を奪ってほしくない。
 だけど、どうしたらいいのでしょう。
何が出来るのでしょう。
みなさんはどう思いましたか?と聞きたいです。
若い人に観てほしいな。大学とかで観せたらいいのに。
ほんと上映館少な過ぎっ!!遠っ!!

 花瀬琴音さん、佐久間祥朗くんが素晴らしかったです。彼らのような若い俳優さんは希望ですね。これからもチェックしていきたい。
 そして、、工藤監督のメッセージが
重過ぎて( ; ; )
劇場の外に出たらむせかえる暑さと熱気で変にシンクロしてしまい気分落ちまくりました(°▽°)
ノンフィクションのようでなんか、、沖縄の人に変な偏見持ちそう(°▽°)
あと、おばぁが何言ってるかあんまわかんなかったΣ('◉⌓◉’)

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ゆき

5.0あおいと同じところで育ちました。 別段辛い事だと思ってはなかったの...

2023年7月11日
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あおいと同じところで育ちました。
別段辛い事だと思ってはなかったのですが、数年本土で暮らしてみて色々気づきました。
そして映画を見て少し楽になりました。
とても良い映画でした。ありがとうございました。

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有

3.5積み重なる現実

2023年7月11日
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観客の心のみならず、今の社会に傷痕を残せ!
「ミッドナイトエクスプレス」の如く、何かが少しでも変わることを望む。

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xa

4.5物凄く胸糞悪い気分になる映画です。 それは主役の演技があってこその...

2023年7月10日
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物凄く胸糞悪い気分になる映画です。
それは主役の演技があってこそのもの。
今後沢山の作品に使われるであろう彼女は、賞を貰って当然の演技だと思う。
次の作品が早く見てみたい。
次はいい環境の役で。

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とよ

3.0It's a Small World

2023年7月9日
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悲しい

単純

難しい

17歳にして2歳の子供を持ちキャバクラで働く女性が、まともに仕事をしないDVダンナの転落に巻き込まれる話。

仕事に行ってもまともに働く様子もないし、平気で仕事をサボるクソダンナが、嫁の金を勝手に持ち出し音信不通になる中で、嫁の働くキャバクラが未成年者を雇用していたことで摘発されて仕事もなくなり…。

被害届け出して離婚しちゃえば良いのに、共依存に近い感覚でしょうかね。

父親とダンナに関してはかわいそうではあるけれど、それでもダンナと縁を切らなかったり行政に頼らないのは無知が故か、どうも自分からそういう選択をしているようにもみえるし、必死に何とかしようとするより安直なところに向かおうとしている感じもしてあまり同情出来ない感じもする。

それでも哀しくやり切れない重苦しくさはなかなかなもので、掬いのなさは堪らないものがあった。

そういえば、特にオバアとか時々字幕が欲しかった。

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Bacchus

4.5貧困と女性差別に真正面から向き合う大事な作品

2023年7月9日
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沖縄の貧困や女性差別を題材とした映画でした。沖縄というと、第2次世界大戦時の壮絶な地上戦や、アメリカによる20年以上に及ぶ占領、そして占領が終わってからも全県下に展開される在日米軍基地や、米軍人が起こすレイプ事件などにスポットが当たることが多く、本作が取り上げた貧困やミソジニーの問題はあまり注目されて来ませんでした。そういった意味で非常に意義深い作品だったと思います。

内容的にも、工藤監督が現地で取材を重ねた結果を作品にしており、刮目せざるを得ない衝撃的なものでした。主人公は17歳で既に2歳の子供がいるアオイ(花瀬琴音)。夫のマサヤ(佐久間祥朗)が働かないので自分がキャバクラで働いています。18歳未満でキャバ嬢なんて、ホントかいなと思いましたが、ちょっとググるとキャバクラどころがいわゆる風俗でも18歳未満が働いているケースが多いようだし、またキャバクラなどの「風俗1号営業」の店舗数が、人口当たりで全国トップという記事もありました。

劇中では、「金がないならキャバクラで働けばいい」と父親や夫からも言われてしまう主人公アオイ。しかも夫婦喧嘩になると全治1週間以上の怪我を負わせるDVに及ぶ夫。さらに夫は酒場で喧嘩して人に怪我をさせたことから、アオイが示談金を用意せねばならなくなる羽目に。

これでもかと言うほどにクソ野郎が登場する本作ですが、アオイが単純な被害者という位置付けで描かれていないのもリアリティが感じられたところ。散々喧嘩しながらも、夫と相互依存関係にあるように描かれていた点は、単純なお涙頂戴物語ではなく、観る者にさらに深刻な問題を突き付けていたように感じたところです。

因みに実際の統計を見ると、沖縄の平均所得や最低賃金は全国最低水準だし、失業率もワースト1。人口当たりのDV件数は全国3位らしいです。従って、本作に描かれた沖縄の姿というのは、決して誇張されたものではないと言えるのではと思われます。

俳優陣ですが、主役の花瀬琴音は映画デビュー作にして初主演。東京出身ながらもうちなーぐちを使いこなして熱演していました。(まあ私には彼女のうちなーぐちがホントに上手なのかは判別が付きませんが。)夫役の佐久間祥朗も、ダメ夫ぶりを如何なく披露。アオイの祖母役を演じた吉田妙子は、正真正銘のうちなーんちゅ。沖縄のおばあが沖縄のおばあを演じたので、そりゃあリアリティありますわ。兎に角彼女の話すうちなーぐちが本物なので、少なくとも3分の1は聞き取れませんでした。ないちゃーが聞き取れないことなんて、工藤監督は百も承知だったと思いますが、敢えて字幕を出さないところがまた良かったです。何せ本作は、沖縄の問題であると当時に、我が国全体の問題でもある訳ですから。

そんな訳で、従来あまり注目されてこなかった問題を世に問うた本作の存在意義は非常に重かったので、高い評価を与えたいと思います。

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鶏

2.5遠いところへ行くしかないのでしょうか。

2023年7月9日
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鑑賞方法:映画館

社会的弱者。

この言葉を使うこと自体が、上から目線的な傲慢さを表すようで少し抵抗があるのですが、ここでは、福祉や教育など一定の社会制度の枠からはみ出してしまった人、もしくは、不運にも始めから枠の外で生まれ育ってしまった人たちのこととして使います。
※余談ですが、反対語として、社会的強者、という言葉が浮かびますが、実際は使われてません。これは、強者というニュアンスが独り歩きして、政治家や富裕層やマスコミを含めた有識者と言われるような方々が、世間から反感を持たれないためかもしれないですね。

社会的弱者を描く映画は、大きく3つに大別されると思います。
①啓蒙啓発
②その環境の中で強く逞しく生きていく人物を通して、逆転人生などのドラマ性により共感を得るもの
③そこに手を差し伸べる人もいる、ということを通して世の中、そう捨てたものではないのだ、という希望を描くもの

この映画は、②や③のような情緒的な感情は不要である、とはっきり宣言する①でした。
どうにもならない現実を生々しく描くし、何かの救いとなるような出会いもない。鑑賞者目線では、もっと警察や児童相談所に頼ってもいいのでは?と思うのですが、主人公目線では、始めから外の世界の人たちに頼る気はないし、せっかく外のほうから関わってくれたところで、杓子定規で冷たい役人対応にしか見えてない。
福祉制度の現場の実相をよく知らないのですが、本当は未成年である主人公だって、なんらかの保護の対象ではないのか。子どもだけでなく、アオイにだって福祉の手が及ぶ状況にはならなかったのか。
結果的には、行政も福祉もこの親子の場合には、なにひとつ役に立てない。そういうメッセージにも見えてしまいました。

玉城デニー知事のコメント(誰も取り残さない)を報道するシーンも挿入されていたので、監督がこの映画で①の描き方を選んだのは、『現実の社会では、どこにも希望がないのだから諦めてね』ということだったのでしょうか。

実際に社会福祉に携わる方々がこの映画を見たときに、「なんだよ、これじゃあ、我々は社会的弱者から子どもを取り上げている悪代官みたいだな」とガッカリすることにならなければいいのですが。

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グレシャムの法則

3.0旦那がひどい!

2023年7月9日
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鑑賞方法:映画館

頑張りました。
殴り殺したのかな?

ラストは、息子との死を選んだの?

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完

4.0苦しくて重い現実

2023年6月28日
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日本で最も貧困で、若者の出産率は高く、それでいて仕事は無い沖縄。
オーシャンブルーの海や賑やかな国際通りに行く観光客は悲惨な沖縄の実状なんて見たくもない。
そんな見たくもない現実を描いているのがこの映画。
若いうちに子供産んで離婚して、それで生活が苦しいのは当たり前だろう自業自得だろうと自己責任論で終わらせるのは容易いけれど、そんな世界にしたのはみんなの無関心ではないか。そんなことを考えさせられる。

誰も頼りにできないで、17歳で子供を育てながら働く少女の人生。
周りにいる近しい人たちも同様に行き詰まっている者ばかり。
次第に身を崩していく姿はある意味で典型的とも言えるかもしれない。でも、こういう人がたくさんいるのが沖縄。ドラマティックな奇跡も起きないし、映画全体を覆う陰鬱さは気持ちを重くさせる。徹底してリアルな実情を描いているのだと思う。

それはロケーションでも同じで、コザや松山など、劇中の人たちが実際にいそうな場所ばかりで生々しさが伝わる。
何より驚いたのが、主演の花瀬琴音が沖縄出身でないということ…!
観ながら「ああ、沖縄出身の若手俳優さんなんだろうな」と思うほど方言や動作が現地の人みたいだった。

内地に住んでいて、観光に行くだけの人たちにとって、この現実はやっぱり"遠いところ"なのかもしれない。
でも劇中の彼女たちはそこからなんとか這いあがろうともがいていた。

ニライカナイと呼ばれる海を見ながら、ぼんやりと呟いたセリフが忘れられない。

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ヨーク