「現実」遠いところ ぱんちょさんの映画レビュー(感想・評価)
現実
キャッチコピーの通り、これは現実。
沖縄の現実、若者の現実、貧困の現実…
こうやって見ると、彼らの境遇はけして自己責任なんかじゃない。教育やセーフティネットの不備により再生産される困難。劇中仄めかされるとおり、おそらくマサヤの母もまたアオイ同様に売春しながら彼を育てたのだと想像され、だからこそ孫のケンゴが同じようになる恐れから児童相談所に保護されるのを止めきれなかったのではないか。アオイの母もまた彼女を育てられないまま置き去りにコザを去ったのではないか。
社会ぐるみで女性という「性」を搾取することで沖縄が、同様にあらゆる社会的弱者を搾取することで日本という社会が回っているのだとよく分かる。
「中学からキャバクラで働く」ことから導かれる未来ってなんだろう…?そんな、普段しないような想像力を働かせることにはなった…
事前には自主映画的なものかと想像していたが、思ったよりずっとちゃんと劇映画としてキチンと出来ていた。
と思ったら、監督は歴戦の強者のようですね。
役者も(ほとんど存じ上げない方々だったが)みな素晴らしい芝居だった。特に主演の花瀬琴音は琉球弁も違和感なく、体当たりの熱演が本当に素晴らしかった。
ラストはなんとなく希望を抱かせるような映像だったが、いやなにも解決してない、と暗澹となる。しかしまたこれも日本の現実…
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