「ウソみたいなホントの話をベースにした政治エンタメ。」キングメーカー 大統領を作った男 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
ウソみたいなホントの話をベースにした政治エンタメ。
選挙というものが理想など邪魔なばかりで、魑魅魍魎が蠢く足の引っ張り合いであることは、出馬したことはなくともなんとなくわかっているつもりだったが、その嫌な話をエキサイティングなエンタメに仕立てている手腕が素晴らしい。白と黒ではわりきれない世界で、かろうじてひとつの理念で繋がった2人の男の共闘という図式も、エンタメとしてみごとに機能していると思う。
それでいて、後半にいたるテンションの上げづらい展開もまた、フィクションのようにはいかない現実の写し絵として実に苦い。ソル・ギョング演じる国会議員のモデルが金大中、選挙参謀の役は実際の金大中の参謀だった人物がモデルというが、映画の中に描かれたウソみたいなネガティブキャンペーンの数々の大半も、実際に行われたものだという。事実は小説より奇なりというが、むしろノンフィクションとフィクションの合間を縫うような語りがスリリングだ。
コメントする