キングメーカー 大統領を作った男のレビュー・感想・評価
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ウソみたいなホントの話をベースにした政治エンタメ。
選挙というものが理想など邪魔なばかりで、魑魅魍魎が蠢く足の引っ張り合いであることは、出馬したことはなくともなんとなくわかっているつもりだったが、その嫌な話をエキサイティングなエンタメに仕立てている手腕が素晴らしい。白と黒ではわりきれない世界で、かろうじてひとつの理念で繋がった2人の男の共闘という図式も、エンタメとしてみごとに機能していると思う。
それでいて、後半にいたるテンションの上げづらい展開もまた、フィクションのようにはいかない現実の写し絵として実に苦い。ソル・ギョング演じる国会議員のモデルが金大中、選挙参謀の役は実際の金大中の参謀だった人物がモデルというが、映画の中に描かれたウソみたいなネガティブキャンペーンの数々の大半も、実際に行われたものだという。事実は小説より奇なりというが、むしろノンフィクションとフィクションの合間を縫うような語りがスリリングだ。
うさんくさい選挙参謀
史実の脚色に唸りまくり
本当は?
大義と正義
悪くはない。ためにもなる。
最高!最高だよ、この映画!!
大統領にまで上り詰める、いわゆる清廉潔白で志の高いなひとりの男と、世の中をよくしたいという志で彼と同調しあうが勝つためには手段を択ばない男、ふたりの人生を追っていく話。
鶏を盗まれてどうするかというプロローグ。対比するエピローグ。なんてかっこいい映画なんだろう。
韓国の政治映画に優れたものが多い背景のひとつには、長く続いた軍事政権から民主化を勝ちとった、という自負があることなのだろうなあ、と思う。戦争に負けたことで与えられた日本の民主主義と、少し思いが違うのかもしれないなあと時々思う。もちろんそれを身につけるきっかけとしては優劣があるわけではない。ただ、映画という面で少し差があるのはしょうがないのかもな、とも思う。
どちらもすばらしいふたりの違いが、最後の最後まで貫かれていたことが、そしてそれをしゃれたプロローグとエピローグで見せるかっこよさに、すっかりしてやられました。脱帽!
すげえ映画だった。
心の底の深いところには、「きれいごと言いながら、都合よく使いやがって」 という思いが、渦巻いている。しかし、「それを自分の心の底奥深くに沈めて大義を語る」 ということが、これもまた大変なことなのかもしれないな、という思いもまた芽生えている。
ブロマンス
素晴らしい作品だった
見終わったあと、立ち上がって拍手を送りたい と思える内容でした。私の中では近年観た映画の中で最高の作品だと感じました。
そして、今の日本では決してこのような素晴らしい作品が昨今、近未来においておそらく作られることはないだろうという残念な気持ちもあります。
日韓の映画の中で、撮影の仕方の違いなど色々あるとは思いますが、おそらくこの構成力は出せない。出せる監督はいないだろうと思っています。
この映画を作ったビョン・ソンヒョン監督の才能と力量に大きな敬意を表するとともに脱帽します。ビョン監督のこれからのご活躍と、素晴らしい作品が作られることを楽しみにしています。
この映画は、私に「映画は芸術である」ということを思い起こさせてくれました。
この素晴らしい芸術との出会いに深く感謝致します。
ありがとうございます。
苦味が良い
日本の政治で選挙を描いた、決戦は日曜日も傑作だったが、こちらはもっと苦い。
日本では政治を扱った映画はないとか言う前に決戦は日曜日を見に行っといてください。
金大中のKTも傑作だが、この映画も素晴らしい。選挙参謀というか、政治ゴロ的な人の悲しさと恐ろしさ。頭が良すぎるというか、賢すぎると御輿として担ぎづらくなってしまい、敵を作ってしまう。
私個人は社内政治で変に相手を潰すような真似をせずき力で勝ちきりたい。相手の足を引っ張るつもりが、墓穴を掘ってしまうのは良く見かける。
日本でも実録政治映画を作ってほしい。私の興味としては小沢一郎三部作なら自民党から共産党まで描けるので面白いのでぜひ作ってほしいが、小沢一郎が存命中は難しいかな。
田んぼのなかに突っ込むことで可愛がられるのは、韓国にもあるのか笑
国政選挙、党内大統領候補者選挙、大統領選の三段構えも面白い。
ぼかしガラスや、影で語る態度も映画として今年屈指の出来。照明は女子高生に殺されたい。ウエストサイドストーリーと並んで最高の今年の映画。
日本の国会議員は全員これを観てほしい。日本の野党の負け癖に辟易している。勝気がないやつに投票するのが馬鹿馬鹿しく感じる。小さくショボい利権より、内閣担当できるぐらいの野望を持っといてもらわないと困る。下手に責任を負わないことで、ショボい利権で飯を食えてしまっているため、野望を持つことはかえって危険であると判断しているのが多くの野党政治家だと思っている。
奇策が面白い
光輝く者と影にしかなれない者
鶏の卵を隣人に盗まれたらどうするか、という最初と最後に出てくる問答と、それぞれの答えが、表舞台で光輝く人間と、影にしかなれない人間との違いを単的に表している。
光を演じたソル・ギョングが素晴らしいのは分かっていたが、影を演じたイ・ソンギュンがそれ以上に魅力的だった。「パラサイト」の時よりもずっと渋くなって、この人が出ているなら観に行こうと思える俳優がまた一人増えた。
見応えのある政治ドラマ。
実話ベースの物語なのに、ぐいぐいと引き込まれてしまう演出に感服。
韓国ではこういった良質な大人の映画が作り続けられ、それがヒットするという、実に羨ましい限りである。
作り手だけでなく、観る方も、ずっと成熟しているんだろう。
日本にもこういった作品を撮れる才能がある人はたくさんいるはずなのに、需要がないと決めてしまっているんだろうな。
良い作品を作る、それを観せる、観に行く、という努力を怠ってきた結果だとしたら残念だ。
理想と現実の狭間でもがく男たちを描く
1998年に韓国の第15代大統領に就任した金大中(キム・デジュン)と、彼がまだ若手議員だった当時の選挙参謀であった厳昌録(オム・チャンノク) をモデルにした選挙サスペンスでした。この映画を観て真っ先に頭に浮かんだのは、レイモンド・チャンドラーの小説「プレイバック」に出て来る「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない。」という有名な台詞。本作に準えて言うなら「選挙に勝たなければ政治家にはなれない。正義(理想)がなければ政治家の資格がない。」というところでしょうか。
金大中をモデルにしたキム・ウンボム(ソル・ギョング)は、著しく自由が制限された1960年代から70年代にかけての韓国において、民主化、自由化を掲げて政治活動をする理想主義者なのに対して、厳昌録をモデルにしたソ・チャンデ(イ・ソンギュン)は選挙に勝つためなら手段を選ばない超現実主義者。現実の選挙は相手があることでもあり、理想だけで勝てる訳でないことは事実であり、キム・ウンボムはあらゆる手段を使って選挙戦を有利に進めるソ・チャンデを重用することで国会議員になり、やがては野党の大統領候補選挙にも勝利を収め、大統領選挙に挑戦するまでになる。
こうしたストーリーは、概ね史実に基づいた形で進められているようで、それ故に極めてリアリティが高く、現実と対比していろいろと考えさせてくれる作品でした。
日本においても、今まさに統一協会問題が政界に激震を走らせていますが、報道を見る限り、選挙に勝つためなら反社会的な団体の力を借りていたり、一人の政治家が統一協会のみならず、支持拡大のために複数の宗教に入信していたような事例もあるようです。冒頭にも言ったように、選挙に勝たなければ何も始まらないため、ソ・チャンデばりのマキャベリズムも一定程度必要であることは理解できますが、物には限度があることだし、またそもそも正義とか理想が全く見えず、選挙に勝つこと=権力を維持することだけが目的となってしまったのでは、政治家として失格であることは言うまでもないと感じたところです。
映画としては、1960年代当時の韓国の様子を再現しただけでなく、画像もレトロっぽい仕上げにしていたことで、雰囲気が一層引き立てられていたように思います。また、独裁者として描かれる朴正煕大統領をモデルにしたパク・キス(キム・ジョンス)の再現度はなかなかのものだったし、大統領側の選挙参謀であったイ・ジンピョ室長(チョ・ウジン)も、気味の悪い役柄を好演していました。
日本ではなかなか大手が作らない政治物、選挙物の映画でしたが、国を問わず普遍的な部分も多いので、今の大混乱の政治状況もあって、大変印象的な一作でした。
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