劇場公開日 2022年9月16日

「ロマンポルノでも松居大悟」手 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ロマンポルノでも松居大悟

2022年9月29日
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ロマンポルノといえば「10分に1回の性行為シーンを入れる」という制約が有名だ。そして上映時間も70分程度。それらさえ守れば表現はかなりの自由度を与えられていたという。そんなロマンポルノの様式を踏襲して現代の監督がロマンポルノを撮影する試みは面白い。
そこに松居大悟監督が参加するとなるとソワソワしてしまった。松居大悟監督の「ちょっと思い出しただけ」が個人的にめちゃめちゃ刺さったからだ。
ロマンポルノ的な制約のために唐突な濡れ場シーンもあったりしたが、総じて松居大悟作品だったという印象。切ないシーンもありつつ、妙におかしな雰囲気を醸し出すのはさすがだ。エロさよりも恋愛、しかもさらに父親との関係が絡むというお話で意外と深い。エロさを出しつつ、監督が好きなものを作るというロマンポルノのあるべき姿を示してもらった感じがする。
それにしてもおじさんってやつは! 卑屈で謙虚なふりして、自分に自信があって押しが強い。そしてところどころでカッコつけたがる。自分にもそんなおじさんが潜んでいるってことを自覚しないと。そんな、変なことを考えさせられた映画だった。

kenshuchu