「大切なのは愛しすぎないこと」1640日の家族 錫龍さんの映画レビュー(感想・評価)
大切なのは愛しすぎないこと
里子はペットではなく人間で、もちろんペットにも愛情を注がなくてはならないが、人間の赤ちゃんは動物の赤ちゃんとは違う。里親、里子、親子って書くからね。
生後18ヶ月の赤ちゃんを里子にしたアンナとその夫ドリス、実子が二人いるのに里子を育てていることに敬服する。
フランスの里親には国から給与みたいなのが出るということらしいが、里親なんて仕事感覚ではできない。
宿題をどちらが面倒みるべきかのくだりで、それは里親の仕事だみたいに子育てを仕事として位置付けているような実父エディの発言に「おいおい大丈夫か?」と心配になった。そんなこともあって途中までは里親のアンナに肩入れして観ていたが、後半は里子のシモンを愛し過ぎてしまったアンナの暴走もあり、シモンが実父の元へ戻ってもどうか幸せになってくれと祈りながら観ていた。
シモン役のガブリエル・パビはとても愛らしいがすごい役者だ。悪夢を見て真夜中にアンナにすがるシーン、里親と実父の間で気持ちが揺れ動く様を表現するのはかなり難しいと思うが、なかなかどうして、自然に演じているところが凄い。
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