「"それ"を支配する鍵」ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE sankouさんの映画レビュー(感想・評価)
"それ"を支配する鍵
間違いなくシリーズ史上ストーリーもアクションもキャラクターも最高のクオリティだったと思う。
毎回イーサンが引き受けるミッションは難解なものが多いが、突き詰めれば悪の手から世界を守るというシンプルな目的によるものだ。
今回も人知れずイーサンは世界を滅ぼそうとする悪意と戦うことになるのだが、その敵の正体がシリーズの中でも一番不鮮明だ。
"それ"としか形容できない人工知能は、恐るべき分析力で人間の思考を支配しようとする。
冒頭のロシアの潜水艦が"それ"によって撃沈する場面は衝撃的で、まるで"それ"が感情を持っているかのような描写も印象的だった。
二つ揃えば"それ"を支配出来ると言われる鍵を入手することがイーサンに与えられたミッションなのだが、この鍵が色々な人物の手に渡っていく様がとてもスリリングで面白い。
そしてこの鍵に関わる人物のキャラクターがとても魅力的だ。
国際的に指名手配されている泥棒であり詐欺師でもあるグレース。
IMFに所属する前のイーサンの過去を知る謎の男ガブリエル。
ガブリエルに仕える冷酷でクレイジーな戦闘マシーン・パリス。
そして前作から引き続き登場する狡猾でミステリアスな武器商人のアラナ。
イーサンとはもはや恋愛を越えた運命共同体なのではないかと思われるイルサ。
お馴染みのベンジーとルーサーも同じようにどこまでもイーサンと運命を共にしようとする。
またイーサンを追うCIAの二人組の男も、後半になるにつれてキャラクターが際立ってきた。
滑走路から飛び立つ飛行機に生身で飛び乗る以上のアクションは考えられないと思っていたが、今回も度肝を抜くようなアクションばかりで、もはや走行する列車の上で格闘するぐらいでは驚かなくなった。
ハイライトは陸橋が爆破され、落下寸前の車両から脱出する場面だろうか。
最後まで息をつかせない怒涛の展開だったが、これからさらにパート2が待っているのだと思うと世界観のスケールの大きさに圧倒される。
次回作ではイーサンの過去が明らかになるのだろうか。
個人的にはポム・クレメンティフ演じるパリスがとても面白い存在だったので、彼女の安否がとても気になった。