「アクションシーンの連続で楽しめる」ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE ありのさんの映画レビュー(感想・評価)
アクションシーンの連続で楽しめる
物語は消化不良感が残るものの、アクションシーンについてはこれまで以上にサービス精神てんこ盛りである。
何と言っても圧巻はクライマックスシーンである。予告編でも紹介されていたので知っていたが、実際に本編を観てみると、余りにも凄すぎて笑ってしまう程だった。本当にこれをスタントなしでトム本人が演じたのかと思うと物語の内容など、どうでも良くなってしまう。普通にプロのスタントマンでも危険な撮影だろう。CG全盛の時代に敢えて生身のアクションにこだわるトムの姿勢には素直に拍手を送りたい。
その後に続くオリエント急行のアクションシーンも凄まじかった。シチュエーション自体は割とクラシカルなものだが、本物の列車を作って撮影したことによる説得力がハンパない。正に手に汗握る展開の連続に一瞬も目が離せなかった。
アクションシーンの見所は他にもある。
ローマの街を舞台にしたカーチェイスシーンはユーモラスで楽しめたし、空港を舞台にしたスリリングな追跡劇も緊張感タップリに活写されていて面白く観れた。
一方、物語自体はそこまで大きな進展はない。アクションシーンのためのストーリーといった感じでかなり味気なく感じられた。また、今回のミッションにはイーサンの過去も関係しているのだが、そのあたりがどう紐解かれていくのかはPART2に期待ということになろう。
キャストはお馴染みの面々が揃っており、相変わらずいい味を出していた。イーサンのチームは入れ変わり激しいが、サイモン・ペッグ演じるベンジーとヴィング・レイムス演じるルーサーは不動のメンバーである。彼らのやり取りは相変わらず良い。
また、今回の適役はガブリエルという因縁の相手なのだが、個人的にはその部下パリスが印象に残った。演じるのは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズでマンティスを演じていたポム・クレメンティエフである。個性的な顔立ちなので画面に出てくるだけで強烈な印象を放つ。
スタッフでは監督、脚本のクリストファー・マッカリーが前々作から続投している。トムとは「アウトロー」でも組んでおり、相当馬が合うのだろう。どちらかと言うと、このシリーズは長年トムがプロデュースを務めてきたこともあり、トムが主導しているという感じがしなくもないが、息の合ったコンビ振りを今回も発揮している。