劇場公開日 2022年12月9日

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「怪奇で、不思議なミステリー・ホラー」MEN 同じ顔の男たち bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0怪奇で、不思議なミステリー・ホラー

2024年3月13日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

難しい

何と評していいのかよく分からないような、怪奇で、不思議なミステリー・ホラー。ホラー映画を観た感覚はなく、前衛的でありながらも、ゴシック的な要素も加味しているアート作品を鑑賞したような感覚。長閑な緑濃きイングランドの田園風景の中に佇む、豪華な洋館。そして、その風景とは対照的に洋館でくり広げられる血みどろの惨劇。『シャイニング』を想起するようなシチュエーションと色彩だった。

離婚が揉めて、言い争っている最中に、夫が目の前で転落事故を起こしたのを目撃したハーパー。夫を亡くした心を癒すために田舎の洋館へと出向くことに。最初こそ、その豪華な洋館を気に入っていたハーバーだったが、周辺を散策していると、廃墟となったトンネルから真っ裸の男に後をつけられたり、街の教会や酒場では、若い男や牧師、警察官、洋館の管理人からも嫌な言葉を浴びせられたりする。しかも、それらの男達は髪型さえ違えど、全く同じ顔をしており、その異常さに気づき始める

またそれと同時に、ハーパーは、夫の命が途絶えるシーンがトラウマとなって、何度もフラッシュバックするようになる。そんな折、とうとう男達が何の脈略も無く、洋館のハーパーの前に現れて、グロい血みどろの惨劇が繰り広げられるクライマックスを迎える。

本作のテーマはいったい何なのだろう…?ラストシーンで、次々と生まれてくる男達の最後に生まれてきた、亡き夫の言葉に象徴されているよう感じた。男である夫は、妻に母性の様な限りない愛を求めた。しかし女である妻は、男に恐怖心と悲哀を感じ、女の方が男よりも一枚も二枚も上手であることを、男を見下すハーパーの態度が物語っていたように思う。

正直、この作品を理解するのは難しく、オチと言うオチもよく分からなかった。ただ、聖書の『禁断のリンゴ』や、ギリシア神話の『白鳥になったゼウス』等が引用されていて、鬼才アレックス・ガーランドらしさが溢れた作品と言える。

bunmei21