千夜、一夜のレビュー・感想・評価
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日本全国で年間約8万人にも及ぶという「失踪者リスト」に着想を得て制...
日本全国で年間約8万人にも及ぶという「失踪者リスト」に着想を得て制作したヒューマンドラマ。「いつか読書する日」の青木研次がオリジナル脚本を手がけ、愛する人の帰りを待つ女性たちに待ち受ける運命を描き出す。
主人公・登美子を田中裕子、奈美を☆尾野真千子、春男をダンカン、洋司を安藤政信が演じる。
嫌なものは嫌
ですよね。状況や心情的には、この人でも良いじゃんって思いますが、生理的に無理なものは無理な感じですよね。ダンカンさんには悪いですが。でもこれがもっと年齢のいった田村だったら?拉致の問題は今でも佐渡やあの辺の地域にとっては根深い問題なのでしょうね。
決めつけられるもどかしさ
30年前に失踪した夫の帰りを待ち続ける女登美子と、2年前に失踪した夫を待つ女奈美、そして彼女断ちに想いを寄せる男や周辺人物の話。
干物工場で働く登美子と看護師の奈美が出会い、大先輩の登美子が奈美の夫捜しを手伝ったり、漂流船では逆の展開もあったり…。
待ち続ける人が強いのか、次へ進もうとする人が強いのか。
そして、優しいの気にかける人か放っておいてくれる人か。
春男の母親の変化や、奈美の夫の登場による変化、そして変わらない登美子と対比の様にみせながらも、10秒毎にぐるぐるなやり切れない登美子だけど、時に惚けた様な描写があったりと暗くなり過ぎなくて良かった。
田中裕子流石です。
春男お前は絶対に選ばれないよ。
30年会えなくても愛し続けることは可能か?
30年前に失踪した夫を待ち続ける登美子。
閉鎖的な港町で立ってしまう波風。
登美子以外の人物の方が共感しやすいし
普通だと感じてしまいますが
愛し方や幸せの感じ方は十人十色。
先入観や固定観念で鑑賞すると登美子や
この作品を理解することは出来ないと感じました。
30年もいなくなった人を愛することは
不可能だと感じてしまうからです。
しかし登美子には当たり前にそれが出来てしまう。
テープに録音された僅かな思い出だけで
30年間更新されることが無くても消えない愛。
寧ろ、時間が経つにつれ忘れそうになる
自分が許せないと嘆く。
相手が存在しない愛を演じる田中裕子さんが
複雑な感情を沁みるように届けてくれます。
30年
田中裕子ってすごい。静かに狂ってた。
30年待ち続けるって、辛いよな。北朝鮮拉致被害者の家族の方も私には計り知れない程の想いを抱えて生きてるんやろな。
安藤政信には、やっぱりこういう映画に出てる時がしっくりくる。
一つ気になったのは、田中裕子の母と義父、若くない?
淡々とせつない
人が突然そこから消えるってどういうことなんだろう。
生死も不明ならなおさら、常にその人のことを考え続けることを強いられる。
そこから逃れるにはどこかで自分が区切りをつける必要があるが、田中裕子さん演じる主人公はそれをしないまま30年同じ世界の中に生き続ける。
想像もできない長い年月。
新婚当初のカセットテープを毎日聞き続けて幸せだった頃を思いながら毎日を過ごすことは幸せなのか不幸なのか。
奈美に失踪していた夫を会わせた行為は、同じ土俵だと思っていた奈美に嫉妬したのだろう。
意地悪だったかもしれない、と主人公も言っていたが、それでも結着はつくのだから、私が奈美の立場ならそれで良かったと思う。
中盤で窓辺で主人公が外を眺める場面があるのだけれど、それがとても美しくて印象に残った。
失踪した夫をずーっと待つ女性ともう一人の女性。静かに流れる島の時間...
失踪した夫をずーっと待つ女性ともう一人の女性。静かに流れる島の時間。眠くならず鑑賞できたのは役者さん全員の名演技。安藤さん登場した辺りの終盤、ドキドキした。
大切な人の不在とどう向き合えばいいのかを問うシリアスな作品
まるであみんの「待つわ」を地で行くかのような雰囲気の作品でした。
ただそんな生易しい話なんかではなく、生きてるかどうか分からない人を待ち続けることは静かに人の心を壊してしまうということを思い知らされる作品でした。
表面上は平穏な暮らしをしてるように見えて、実は内面は取り返しがつかないくらい壊れてしまっている登美子を演じた田中裕子さんの静かな狂気の演技が凄まじかったです。
特に田中裕子の家に泊まることになった尾野真千子の元夫が、架空の夫と会話する田中裕子を目撃してしまうシーンがスゴすぎました。
その姿を見て尾野真千子の元夫が自分がしたことの重大さと取り返しのつかなさに気付く感じがとても染みました。
大切な人が失踪するという同じ境遇でありながら、ずっと待ち続けることに疲れて区切りをつけようとする奈美という対照的なキャラクターを演じた尾野真千子も素晴らしかったです。
尾野真千子の元夫が、尾野真千子が新しいパートナーと一緒に暮らすアパートを訪ねるシーンなんかは修羅場すぎて見てられないくらいの緊迫感でした。
あと登美子にずっと想いを寄せ続ける漁師を演じたダンカンさんも名演でした。
全く関係ないんですけど、ダンカンさんが画面に出る度に心の中で「ダンカン、バカ野郎!」って言っちゃうクセを直したいって思いました。
【”私、狂ってるから、ずっと・・。”愛する夫を突然の失踪により”30年間待つ女性”を田中裕子が抑制した演技で魅せる、静かで哀しき作品。 ”夫婦の愛、繋がりとは何か”を考えさせられる作品でもある。】
ー 舞台が新潟の佐渡島なので、失踪の原因は幾つか考えられる。
”隣国”による拉致(特別失踪)。
海での事故。
だが、登美子(田中裕子)の夫(阿部進之介:写真と声のみで出演)は、幸せの絶頂だった新婚時に姿を消す。
劇中、殆ど音楽も掛からない静かな作品であるが、田中裕子さん、尾野真千子さん、安藤政信さんという名優たちの確かな演技が、この作品を支えている。-
◆感想
・田中裕子演じる登美子は、劇中一度も笑わない。夫が失踪してから彼女の表情から”笑顔”は消えたのだろう。
ー 登美子は、夫が失踪しても自分を慕う漁師の春男(ダンカン)の求愛にも反応しない。死亡届も出していない。只管に愛する夫の帰りを待っているのだ。ー
・そんな彼女の元に、2年前に夫、洋司(安藤政信)が失踪したという奈美(尾野真千子)が、やって来る。フラリと散歩に出かけたまま、帰らないという。彼女は夫が失踪した理由を考え、自分を慕ってくれる男(山中崇)との関係も考え、自分の心と折り合いを付けようとする。
■漂泊の想い
・作家、檀一雄は、生前屡々、”失踪”したという。彼の言葉によると、”何かに突き動かされるように、何処かに行ってしまいたくなる。”のだそうである。
今作で言えば、奈美の夫、洋司が口にした言葉に似ている。
”幸せだが、茫漠たる未来への不安・・。”
・登美子が、新婚時の夫との遣り取りを録音したテープをカセットデッキで何度も聞くシーンの登美子の表情。そして、テープは擦り切れ、切れる。
ー 何とも切ないシーンである。夫と登美子の幸せそうな声。-
・漁師の春男が、登美子に袖にされ、行方不明になっても、登美子の姿勢は揺るがない。
・ある日、街中で登美子が見た奈美の夫。喫茶店で、彼を詰ることなく無表情に夫の言葉を聞く登美子。そして一言。”私の夫だったら、殴っているわ。”
奈美の夫は登美子に付き添われて、自宅へ。そこには、奈美が一緒になろうと決意した男とともに、奈美がいる。そして、何度も夫の頬を叩く。
ー 家を追い出された洋司が、登美子の家を頼り、擦り切れたテープを直し、二人で聞くシーン。
”幸せそうですね‥。”という洋司の言葉に、微かに微笑む登美子。
そして、翌朝、洋司は、静に登美子の家を出る・・。-
<今作は、新潟・佐渡島の風景を背景に、人心の不可思議さと、失踪した夫を待つ妻の大人の愛の物語である。
”夫婦の愛、繋がりとは何か”を考えさせられる作品でもある。>
■余計な事は、重々承知の上で・・。
とても、静な作品なので、睡眠はキチンと取ってから鑑賞されると良いと思います。
失踪夫を待つ女の重厚な映画
飯田橋・神楽座での試写会にて鑑賞。
田中裕子主演映画に尾野真千子が共演というだけで必見の映画。
実際に観てみると、じっくりと長回しで登場人物をとらえたカメラが切り取る風景は見事だが、物語は実に重厚な蒸発した夫を待つ妻のドラマ。
ある離島で突然失踪した夫を30年間にわたって待ち続ける妻(田中裕子)は、「なぜ夫がいなくなったのか?」・「近隣某国に拉致されたのではないか?」・「生きているのか?死んでしまったか?」……などなど様々な思いを抱きながら過ごしている。
また、結婚した夫が2年前にやはり突然の失踪をしてしまって、看護師の仕事をしながら待っている女(尾野真千子)が「30年前に夫が居なくなった女性がいる…」と田中裕子に紹介されて、二人の交流が始まるのだが、後半では二人を対照的に描いていく物語とその自然な演出は素晴らしい!
自分が学生時代に田中裕子の公開作を初めて観たのは多分『天城越え』を松竹試写室で観た時だったと思うが、まだ学生だったが素晴らしい女優を追っかけて、作品を次々と名画座で過去作を追いかけ、公開される新作欠かさず観ていたのは青春真っ盛りのこと。
新宿松竹での舞台挨拶の際は、出待ちして直筆サインを有難く頂戴して、いまだに額に入れて飾ってある宝物。
あの頃から40年ぐらい経った現在、この映画でも、やはり素晴らしい演技を見せてくれる田中裕子だが、狂気すら感じる凄さに背筋が凍るような姿も映し出す久保田直監督による見事な佳作。
<映倫No.123125>
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