「フィクションとしてのどん底感を楽しむ」ヴィレッジ kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
フィクションとしてのどん底感を楽しむ
どん底にいる人たちの物語ってやはり魅力的だ。メンタルで病んだ人、借金で首が回らない人、キャンブルに依存する人、そしてどうしようもないほど悪いやつ。たいてい主人公はろくでもないことをやって取り返しがつかなくなる。そんな彼らを見て安全なところからエンタメとして楽しんでしまう。でも、自分はそんなことしないと言い切れるだろうか。
自分ではどうしようもない流れってものがある。いい方向にも悪い方向にも。本作はそれをエンタメとしてうまく演出していた。いや、もちろんあの村の存在や置かれた状況、住民たちの反応、すべてフィクション感が強い。フィクション感が強いのに横浜流星の廃れた感じや古田新太、杉本哲太の悪どい迫力でなんとなく持って行かれてしまった。藤井道人って監督は映画としての訴え方がうまい。でも、彼は社会問題として訴えたいんじゃない気がする。あくまで映画というエンタメ作品として提示しているだけ。それは彼が様々なジャンルの映画を監督しているところからも想像できる。そしてどれもそれなりに面白い作品に仕上げてくる。
本作もそれなりに突っ込みどころはあるが最後までエンタメとして楽しんでしまった。次はどんなタイプの映画にするのだろう。今から楽しみだ。
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