「公開初日に友人と見て 翌日も 家内と見て 公開2日で2回も見てしま...」天間荘の三姉妹 kunntaさんの映画レビュー(感想・評価)
公開初日に友人と見て 翌日も 家内と見て 公開2日で2回も見てしま...
公開初日に友人と見て
翌日も 家内と見て 公開2日で2回も見てしまいました!!
原作の「天間荘の三姉妹」の世界観を映像でどのように見せてくれるのか?
大きな期待を持っての鑑賞でした。
まず キャストにおいては 長女のぞみ役の大島優子、次女 かなえの門脇 麦 そして 主役の小川たまえ役の のんちゃんの配役は原作のイメージをそのまま映画の画面に連れてきたようでぴったりでした。そして 宿泊客の財前玲子役の三田佳子はさすがに びっくり よくぞ原作の世界観をここまで出した!!と拍手でした。
大女将の天間恵子役の寺島しのぶにおいては たしかにこんな演出もあるのだろうな? と感じさせてくれる配役でしたが 原作者の高橋ツトム氏は のんが演じたNHKのあまちゃんを見て 今回の主役 小川たまえをイメージ 下という点から見ると 天間恵子役は 渡辺えりあたりを連れてきた方がぴったりだったかもしれません。
お父さん役の 永瀬正敏 や 魚堂一馬役の高良健吾はまさにぴったりの配役でした。
さてストーリーの面で言えば 原作に描かれた 小川たまえが なぜ臨死状態に陥ったのかの導入部分が映画では割愛されていて このドラマを見る人においてたまえ自身の無垢な性格が見えてこないように感じました。
コンビニでバイトをしていて 万引きを見つけ 自転車で逃げる万引き犯人を走って追いかけて 交通事故に遭うという 物語の導入部分は たまえをを理解するうえで重要なファクターだと思うのですが この部分が表現されていないのはちょっと残念でした。
原作では イルカトレーナーとして もう一人 「海咲」という重要な役割を持ったキャラクターが登場するのですが この 海咲と 次女のかなえを融合させた脚本はこれも有りか・・・ と思わせる脚本でした。
天間荘という舞台となる旅館を 北海道の小樽にある 銀鱗荘でみせてくれたのには驚きでした。 天間荘が実在したのか? と感じさせてくれるロケ地は 下手なセットを建てるようなドラマとは異なり 天界と現世の境の場として魅力的な撮影地であったように思います。また三ツ瀬の街も 三ツ瀬水族館も 震災被災地の女川をはじめ 伊豆の下田などうまくロケ地を融合させて一つの街に見せかける演出は見事でした。
のぞみ女将と たまえと 財前玲子の絡みは原作の流れをうまく表現していましたが ストーリー全体の流れとしてはちょっと間延びした感もありました。
この物語において 優那という存在が 大きなキーポイントとなっていると思われるのですが、観客に優那のダークな精神的に病んだ部分が今一つ伝わらない演出が残念です。たまえと優那のもっとダークな関係性と 二人がなぜ現生に戻った時に和解できるのかといった部分の演出も欠けていたように思います。
ひとりぼっちだった たまえが 三ツ瀬の街に来て それまで会ったことも無かった腹違いの姉たちという 家族に出会う中で心が癒されていき イルカトレーナーになりたいという夢を抱き 一歩踏み出すという様は原作の世界観を表現しているように見えましたが、この物語の隠れた主役である タクトというイルカの存在が 三ツ瀬の街においても 次女のかなえにも見えて 現生に戻った時にも たまえと関係性をつくるという脚本は ちょっと原作の魅力を逸脱してるようにも思えてしまいます。
天界の三ツ瀬水族館でのたまえのイルカトレーナーデビューは失敗してしまうわけですが、この天界の三ツ瀬水族館でのたまえと演じるイルカは タクトではなかったはずで 現生に戻った時に 初めてタクトと本当の演技が完結できた たまえの姿を表現できていたらとちょっと残念です。
魚堂一馬(高良健吾)と父の魚堂源一(柳葉敏郎)との関係性や 水族館の館長、早乙女勝造と早乙女海斗の登場は 原作には無かった演出ですが、魚堂源一の存在を物語の中であれほど表現する必要があったのかは疑問です。
魚をさばく中で 一緒の店の中で魚堂一馬と 父の魚堂源一が一緒に魚をおろす演出には、二人が別々の時間を過ごしているはずなのに 震災で消え去ったはずの店の中で演じるシーンには矛盾を感じます。
映画で表現された演出において 極力 CGを使わずにフィルム処理で演出をしようという意図は判るのですが 多くの人がそのCG処理で投げかけている たまえが三ツ瀬の崖から飛び降りて 現生に戻るシーンは 確かに原作を表現すると映画のようなイメージなのかもしれませんが 原作には登場しなかった スカイハイシリーズの要のような 「恨みの門」をたまえにくぐらせていく脚本は ちょっと違うようにも思えます。そして 雲を切り裂いて現生に戻っていく様はあまりにもチープなCG処理であったと思います。
映画全体としては のんちゃんの演じるたまえの魅力はさすがと感じるし 姉妹役の大島優子をはじめ 門脇 麦などの絡みもすごく自然で魅力的でした。原作とは違った脚本に戸惑う点もありましたが たまえちゃんの のんちゃん、かなえちゃんの麦ちゃん、のぞみ役の優子はんを始め 寺島大おかみに 永瀬父ちゃん、みんな素敵でした。
勿論 中村(宝来料理長)や 宿泊客の 三田さん(財前)や 山谷さん(優那ちゃん) 魚堂一馬役の高良さんもいい味出していました。
現生に残された魚堂源一役の柳葉さん、早乙女海斗役の萩原さんも最高です。
へ~~~ あの人も出てるんだ・・・ とか
そこで こうなるのね??? とか
面白いストーリーでした
のんちゃん 麦ちゃんのイルカトレーナー 2週間ほどの特訓で あそこまで演じることができるのだ・・・・ と感心して驚かされました。
本当は のんちゃんの演技に 5点満点をつけたいところですが ちょっと予想していた原作のラストと違い そこで減点です。 原作の様に ラストシーンの場に 旅立っていった のぞみ、かなえ、大おかみ、お父さん、魚堂さんたち 天界での三ツ瀬な街で出会った人たちに 幻影の形でも良いから 見守っていたら 満点だったのですが・・・・