劇場公開日 2022年6月17日

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「プーチンを恐れない男」ナワリヌイ Syuna 31さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0プーチンを恐れない男

2023年6月14日
iPhoneアプリから投稿

『ナワリヌイ』
プーチンが最も恐れる男

1週間の限定公開中。
去年WOWOWで放送され、衝撃を受けた今作。
そして、今年度のアカデミー賞『長編ドキュメンタリー賞』受賞。
その瞬間、「やったー」と叫んだワタシ。

大きなスクリーンで見られる機会を逃さじと石川県唯一の上映劇場へ。

初見時より反復するようにより内容が入ってきて、彼に起きた出来事のあまりの大きさに改めて衝撃を受けながら見た。

2020年飛行機内での毒物による暗殺未遂事件は当時日本でもメディアが取り上げていたので記憶にあったが、その被害者自身のドキュメンタリー。

プーチン反対体制派を率いる若き元弁護士のアレクセイ・ナワリヌイ。

自分の殺害を試みたこの国の大きな闇に彼を支持する調査チームや協力を申し出たブルガリア人ジャーナリストらと共に自ら立ち向かっていく。

作戦失敗と同時に事件のもみ消しに必死なロシア当局は断固として彼の身柄を管理下の病院に置こうとするが、妻の訴えによってドイツ首相が全面的に協力を申し出てくれた事によって体内に残っていた毒物が検出される。
それはやはりロシアの常套手段の生物兵器“ノビチョク"だった。

ついに実行犯の絞り込みに成功する彼はその一人一人に電話をかける。
「ナワリヌイだが、なぜ私を殺そうとしたんだ?」
電話の向こうで震え上がる相手は電話を切る…
だが、実行犯の上官の部下の名前を語ってかけた途端にペラペラと犯行の一部始終を話し出す科学者。
動揺を隠して話し続けるナワリヌイ。
反して支持者から飛び出すガッツポーズ。

突きつけられる真実にただただ、驚愕。

当然のように、喋りすぎた科学者はその後消息を絶った。

ドイツでのリハビリを終えた彼はついに帰国を決断。
プーチンと闘うために。

飛行機に搭乗した瞬間、機内はヒーローの帰還に沸く。
到着予定の空港にはすでに夥しい数の群衆が駆けつけて、口々に名を叫ぶ
『ナワリヌイ、ナワリヌイ』のシュプレヒコール。
だが、飛行機は旋回を続けた挙げ句、別の飛行場に降り立つ。
そして彼は空港で待ち受けていた警察に拘束され、収監される。
同行していた弁護士の主張も全く聞き入れられず、ただ一人、抵抗もせず、大きな国家の闇に連れられていく…

寄り添っていた妻にキスをして、手錠を掛けられた両手で胸にハートマークを残して…

今もロシア1監視が厳しいとさせる刑務所に収監されている彼は、体調を崩し、体重は激減。緩やかに毒を盛られている可能性もあるという。

世界中の著名人が彼の釈放を要請する文書をロシア政府に送り続けている。

1日も早く、この忌まわしい戦争を終られせて欲しいと、真に願います。

映画の最後に彼の言葉
なぜ、プーチンはこれほど私を恐るのか?
それは我々が強いからだ。
善人は強いと言う事に気づいて欲しい。
何よりも諦めない事だ。

Syuna 31