「「映画」を超えた映画」呪い返し師 塩子誕生 KDX123さんの映画レビュー(感想・評価)
「映画」を超えた映画
家庭内暴力、ネグレクト、孤独、不当な左遷、詐欺被害、弄ばれての妊娠・中絶など、不幸な人生を生きる人々の姿が、生々しく描かれていく。
ここまでならどこにでもある映画。
しかし、この作品では、その不幸を生み出している「目に見えない原因」を可視化し、その解決法まで示している。
2500年前、仏陀は、自殺するのでもなく、生まれもった地位や快楽に逃げるでもなく、この「苦しみの世界」のなかで「不幸な人生」から抜け出すための悟りを得、教えとして説いた。それが仏教の教えとして遺っている。
この映画は、仏陀が説いた教えを、仏陀なき世にあって護り続け、その教えとハイスペックな霊能力でもって、人々を救うことに人生を捧げる「塩子」の物語。
塩子は、相手を不幸に陥れる者を叱り、不幸に陥れられていく者の心の間違いをも諭す。
そして、仏陀に「悪魔との対話」があったように、不幸な人生を生きる者たちの背後にいる悪霊、悪魔、生霊、鬼、天狗たちを、うす暗い精神世界で、ただ一人、言葉と修法とで打倒していく。
孤独な戦い。
一人の人間としての生きていく重みに加え、目に見えぬ神仏から授かった「十字架」とでもいうべき霊能力は、この世で苦しむ人々を救い、あの世で迷い、人々を不幸の闇に落とさんとする者たちを救う使命を与える。
戦いと戦いの束の間、塩子は、自らに力を授ける神仏が祀られた場所を参拝し、一人涙を流す。
映画を観終わって思ったことは、「なにか塩子の手伝いができないか」ということ。
若く、優秀で、学歴、収入、肩書、見た目の良さ、人気があると思う方には、塩子の生き方を見て「愛の深さ」というのも持ってもらえたら、自分も世界も輝かせる人間になれると思う。
そんな人達で世界が溢れていくように、他の人にもこの映画を勧めます。