劇場公開日 2022年7月8日

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「神々に挑む男たちの崇高な戦い」神々の山嶺(いただき) ゆみありさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0神々に挑む男たちの崇高な戦い

2022年7月12日
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鑑賞方法:映画館

興奮

命をかけて信念を貫く。今話題のコミック「チ。」などもそうなのだが(発覚すれば異端として残酷な死刑が待っているにもかかわらず地動説を研究する人々の話)、そこに見るのは「崇高」の一言である。とりわけ山登りにはそこに何かの事実や信念があるわけではない。しかしそのことが僕には余計に崇高に見えるのだ。山に取り憑かれたちっぽけな人間たちは神々(悪魔?)に戦いを挑み跳ね返される。
1953年人類は世界の最高峰エベレストを征服した。しかし今度は無酸素か、単独か、ルートはどこか、要した時間は、季節は、など新たな条件を課し(あたかも神々が人間に挑戦状を突きつけるかのように)、さらなる戦いに挑む。
人類がエベレスト未登頂だった1924年に山頂付近で消息を断ったマロリー(実在の人物)が実際には登頂をなしえたのかという謎解きが登山家羽生と登山カメラマン深町を結びつける。そしてクライマックスは羽生が無酸素、単独、南西壁?ルートという最も過酷な条件でエベレストに挑む形で迎える。そしてカメラマンとして随行する深町。彼らを嵐、雪崩、酸欠などさまざまな試練が襲う。(なんで深町まで無酸素で行くの?これは疑問だった)
登山の過酷さがリアルな映像で伝わり、とりわけ神々(悪魔)に挑む羽生の姿は神々しく崇高である。

ゆみあり