「笑福亭笑瓶さんを偲んで」1秒先の彼 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
笑福亭笑瓶さんを偲んで
笑福亭笑瓶さん
2023年2月21日急性大動脈解離のため66歳で他界
写真屋の店主の他にラジオのDJの本人役として一人二役
長いキャリアで俳優経験も幾たびありながら意外にも映画初出演にして映画としては遺作
監督は『リンダリンダリンダ』『天然コケッコー』『マイ・バック・ページ』『苦役列車』『もらとりあむタマ子』『味園ユニバース』『オーバー・フェンス』『ぼくのおじさん』『ハード・コア』『カラオケ行こ!』の山下敦弘
脚本は『ピンポン』『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』『ゼブラーマン』シリーズ『69 sixty nine』『舞妓Haaaan!!』『カムイ外伝(2009)』『なくもんか』『土竜の唄』シリーズ『パンク侍、斬られて候』『ゆとりですがなにか インターナショナル』の宮藤官九郎
片思い系ファンタジーラブコメ
台湾映画『1秒先の彼女』のリメイク
そちらの方は未鑑賞
あっちは男が女に思いを寄せるようだがこっちは女が男に思いを寄せる設定に変更している
事情を知ると「なるほど」と納得する
なんの考えもなくなんでもかんでもそのまま真似するのはバカがやることだ
是非とも近日中に『1秒先の彼女』も観たいものだ
ちなみに皇一の皇は「すめらぎ」と読む
遠山光原作『胸キュン刑事』のヒロインが皇くるみだったし既に故人だがテレ朝に皇達也という名プロデューサーがいたから自分は読める
だが長宗我部を「ちょうそかべ」と読むことはできなかったし釈迦牟尼仏に至っては漢字5文字でなんで読みが「みくるべ」なんだよといちゃもんをつけるほど
ちなみに皇一の父の旧姓は勘解由小路と書いて「かでのこうじ」
あらすじ
親しくなったストリートミュージシャンの若い女性とデートするつもりだった日曜日を盗まれる郵便局員の話
日曜日の朝に路線バスに乗った途中からいきなり月曜日に自宅の寝床で朝を迎える郵便局員皇一
なぜか顔は真っ赤に日焼けしていた
花火大会は昨日華々しく開催された
実はその日曜日は神の悪戯か一時的に時間が止まったのだ
大学生の長宗我部麗華とバス運転手釈迦牟尼仏憲以外は
麗華と一は子供の頃入院中の病院で同じ病室で親しくなった経緯があった
麗華は一に好意を抱き続けたが一はすっかり忘れていた
麗華はバスで彼女の地元天橋立を目指した
途中バスを降り人力車に一を乗せて
天橋立に到着し2人で記念撮影
清原果耶がヒロインのはずだがなかなか登場しない
なにを見せられてるのかとしばらく思う
白々しい今更ながらの京都ゴリ押しは『舞妓Haaaan!!!』の残骸か
岡田と清原中心のラブコメじゃないのかよと
パッとしないカメラ女子という設定だが朝ドラヒロインの経験を持つ若手で彼女ほどそれにしっくりくる俳優を他に知らない
言っちゃ悪いが主役級にも関わらず彼女の類稀なるボーッとした華の無さは今回まさに適役
もちろん彼女はバカじゃない
やればできる子
『護られなかった者たちへ』でも重要なキーパーソンとして「良い仕事」をしたのは記憶に新しい
今回もただボーッとしてるだけではない
大阪出身のスキルを活かした娯楽作品
前半のヒロイン桜子は麗華登場で裏の顔があきらかになる
時折見せる不穏な表情もこれでしっくりときた
だけど全く腹は立たなかった
自分は静岡県知事の差別発言にも腹が立たないくらいだ
他人をいくら傷つけても平気なヤフコメ民が怒り心頭なのが滑稽でならないとほくそ笑むような人間だから参考になるまい
バスに同乗していた父の説明によると時間が止まったのは2回目らしい
苗字が長い人は時間的に損してるから1日分貯まったら1日だけ時間が止まるらしい
そういう宮藤官九郎のアレンジ
久々のナイスアイディア
台湾の人はみんな苗字短いもんね
テンポが遅いだけより面白い
配役
郵便局員の皇一に岡田将生
大学生の長宗我部麗華に清原果耶
皇一が恋する路上ミュージシャンの桜子に福室莉音
バスの運転手の釈迦牟尼仏憲に荒川良々
皇一の職場の同僚で元カノのエミリに松本妃代
皇一の職場のベテラン職員の小沢に伊勢志摩
皇一の妹の皇舞に片山友希
皇一の母の皇清美に羽野晶紀
皇一の父の皇平兵衛に加藤雅也
エミリの彼氏に朝井大智
舞の彼氏のミツルにしみけん
莉音ファンのサラリーマンに本多力
花火師に山内圭哉
郵便局で揉める大学教授に蟷螂襲
中賀茂郵便局の局長にや乃えいじ
写真店の店主に笑福亭笑瓶