「P.S.」1秒先の彼 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
P.S.
リメイク元を見るか迷いましたが、先入観を持たずに日本版を観てみようと思い、そのまま鑑賞。
良い意味で日本映画っぽくないオーバーな感じと、爽やかな恋愛SFを堪能することができました。
舞台設定など諸々原作から変わる点はどうするんだろうなーと思ったら、日本の色がより分かりやすく、情景の変化が見て取れやすい京都の街を舞台にするというアイデアはとても良いなと思いました。
行動がワンテンポ早いハジメくんはそそっかしいのと、融通が効かないのとで、色んな人から煙たがられていますが、そんな中シンガーソングライターの桜子と出会って仲を深めていく、そんな中毎日切符を1枚ずつ買ってくるレイカとすれ違っていく…という感じのズレが発生する恋愛SFだと解釈しました。
時間が止まってしまった原因は、レイカが自分の名前の画数が多く、名前を書いている間に他の人はいろんな物事が進めてしまうから、神様が時間を止めてくれたという粋な計らいなんだか、余計なお世話なんだか笑
1日分が溜まったら自分の周りの1日を完全に停止させるというSFチックなはずなんだけど、どこか抜けている感じがまた良かったです。
行動ひとつひとつ真面目なはずなのに、どこかクスッと笑えてしまうのが不思議でした。ハジメが停止中に散々な目(砂浜をズルズル引きずられたり、色んなとこにぶつけられたり)に合っているのに表情は一切変わらない。これどうやって撮ったんだろうなーと色々感心もさせられました。
冷静に考えればレイカの行動はストーカーそのものなんですが、清原果耶さんの醸し出す朗らかな、だけど陰を纏ったオーラが良い味を出していました。
大切な人を貶す人は許せずしっかり行動をし、夢だった再会を果たして、その上失踪した父親まで見つかって家族のスリーショットを撮ったりと、短い1日、消えた1日の中で20年近い想いを伝え切れたんだなと思うと良かったなぁって気持ちです。
岡田くんの表情がコロコロ変わるのも愛らしかったです。京都民では無いので、イントネーションがあれで合ってるのかどうか分かりませんが、現地の人みたいだなーと思いました。
京都のロケーションがこれまた素晴らしく、海沿いの長屋でラジオを聴きながら飯をつまむとか最高すぎないか!?と思いました。天ノ橋立の砂浜も、私書箱の小さな郵便局も、味があって観ていてとても心地よかったです。
マイナス点としては、オーバーすぎる演技(おそらく原作の色をより濃く受け継いだため)がたまに鼻についたところです。役者陣の頑張りだと思うので、あまり批判的な事は述べたくないんですが、どうにも身振り手振りが大きすぎて違和感がありました。
あと性格が中々に終わっている人たち(ハジメくんを速攻振った新入社員とオバさん、桜子なんか筆頭格、これはクズの部類)が揃っていたので、ハジメくん以外の窓口にはなるべく近寄りたく無いですね😅
またリメイク元も見てみようと思いますが、この作品単独でもその真っ直ぐな爽やかさを体感できる作品になっていました。暑いこの時期にピッタリな爽快感です。
鑑賞日 7/9
鑑賞時間 12:25〜14:30
座席 C-14