「観たい度△鑑賞後の満足度◎ コロナ禍を挟んで5年ぶりに訪れた京都で観た舞台が京都の映画。“なんで?”“なんでかなァ”…やっぱり関西弁はよろしおすなぁ」1秒先の彼 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
観たい度△鑑賞後の満足度◎ コロナ禍を挟んで5年ぶりに訪れた京都で観た舞台が京都の映画。“なんで?”“なんでかなァ”…やっぱり関西弁はよろしおすなぁ
①お隣の国の映画のリメイクだということだし、岡田将生に関心はないし、清原果耶ちゃんが出ているのだけが観ようと思った動機。
それと、5年ぶりに京都ですることになった大学の同窓会の時間に間に合う映画はこれしかなかったというのも理由。
②人よりワンテンポ早い彼と人よりワンテンポ遅い彼女とがどうタイミングが合って結ばれるのか、というラブストーリーだろう、との漠然とした予想を裏切って、人よりワンテンポ遅い彼女が初恋を実らせるまでの話を、かなり凝った構成を取って回りくどーく描いた映画でした。
③私も子供の頃はノロイの、どんくさいのと言われていた人間ですし、今でもカメラのシャッターチャンスが遅れてぶれてしまう(最近のカメラはそういうどんくさい人間の為に自動修正してくれるのが嬉しいというか哀れまれているというか)人間なので、果耶ちゃん演じるレイカちゃんには感情移入してしまいます。
④何をするにも人より1秒早い事/何をするにも人より1秒遅い事と、名前の画数の多い人間はそれだけ時間の損をしているので損が1日分溜まったら1日分取り返させてもらえる、という話とは直接関係ないやん、とは思いつつ、「長宗我部麗華」とか「釈迦牟尼仏憲」とか「綾小路(だったかな?)平兵衛」といったわざわざ画数の多い名前を持ってくるあざとさに笑い、でも京都ならこういう名前如何にもありそう、と京都を舞台に選んだことも腑に落ちてしまいます。
⑤関西以外の地方の人はわからないでしょうけれども、同じ関西と言っても大阪・奈良・京都・兵庫・滋賀・和歌山(この並べ方は個人的恣意によっています)とでは関西弁に微妙な違いがあります。
果耶ちゃんは大阪出身なのでナチュラル、加藤雅也は私と同じ奈良出身なのでナチュラル、羽野晶紀は何と映画の中の設定そのまま宇治出身なので本場、で肝心要の岡田将生の京都弁というか関西弁は大きな違和感はありませんでした。生粋の京都(「洛中」だけを指しているのではありません)人の方にはどう聞こえたでしょうか。
⑥ハジメ君を郵便局の職員にしたのもなかなか上手い設定。
しかしラブストーリーの主人公があんなにウザいキャラにしているのも珍しい。あの、信号が青に変わるのを待てない感じ、先走りするところ、よく喋るところは大阪人にすれば良かったんじゃない?だし…大学生の街京都で大学生に心の中で悪態をつくところ(かっての私も含め確かに大学生にはそういうところあるけど)…動画配信の無料期間内に女の子にフラれるところ(見た目はよいけど中身に問題あり)…なんとなくKY…お調子者…40万円をあんな風にポケットに突っ込んどく脇の甘さ…でも、順番待ちでズルをした上客にちゃんと注意して一歩も引かない正義感、あんなミエミエな手口に乗っけられて40万円取られそうになる人の良さもあって、なかなかどうしても憎めないキャラでもあります。
岡田将生はその端正なルックスから嫌みな役や冷たい役に良さを発するように思っていたが、コメディにも意外と合うかもしれない、と思わせてくれた(ハリウッドのコメディ映画も美男俳優が主役のものも多いし)。
⑦果耶ちゃんはどんな役でも安心して観ていられるが、本作では少々とろくさいところはあっても、自分の好きな人を侮辱する性悪女に飲み物をぶっかける女気(?)もあるし、自分のやりたいことはちゃんとわかっているし、それを最後までやり遂げる粘り強さもある。
『護れなかった者たちへ』でも縛り上げた男を引きずって運び、本作でも動かないハジメ君を人力車に乗せたり降ろしたり海岸まで引きずって行ったり(人力車にも引きずって戻っんでしょうね)、大人しそうに、か弱そうにみえて男を引きずる根性のある女なんだね、果耶ちゃんは。
⑧ラスト、早速宮津の郵便局に転勤したハジメ君の元へ、やっぱりワンテンポ遅れてやって来たレイカちゃんにハジメ君と同じ様にウルウルしてしまった。
⑨他のキャストで印象的だったのは、笑福亭笑瓶さんがラジオのパーソナリティーに写真店の主人役と大活躍。ご冥福を。
加藤雅也は若い時は顔だけの俳優だと思っていたけれど、年を取って良い俳優になった(同県人の贔屓目ではありません)。