「まるでヒーロードラマのパイロット版を観ているようだ?!」炎の少女チャーリー バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)
まるでヒーロードラマのパイロット版を観ているようだ?!
オープニングが『マリグナント』のようで、こちらも80年代ホラーへのリスペクトつまり、1984年のオリジナル版と時代背景を意識しているのだろうというが伝わり、そういったホラー・リスペクト精神は好印象を残す。
しかし、どうも方向性が定まっていない感じがしてならない。
ドラマのプロローグといえば、優れた第1話といえるかもしれないが、一本の映画としては、散らかり過ぎているという印象が残ってしまう。
例えば『マイアミ・バイス』や『ナイトライダー』など、80年代によくあった、テレビドラマを再編集した映画を観ているようで、さすがにそこまで一周回った意識しているはずがないだけに、単純に散らかっている。もしくはテレビシリーズにする予定がボツになったパイロット版の編集作品を見せられているようだ。
オリジナル版はホラーというより、サスペンスドラマの側面が強かったが、今作においてもホラー映画という感じではなく、あのがちなヒーロー映画に近いものとなっている。
能力の制御ができないキャラクターが、自身の成長と能力の暴走、または制御がリンクしていくという流れ自体は、『X-MEN』のローグやジーンなどのエピソードでも描いていたし、『ニュー・ミュータント』や『ヒーローズ』といった、様々な作品で描かれ倒されてきたことではあるし、今作においても何も物珍しさはない。
だからこそ、そんなミュータント映画・ドラマあるある集大成ダイジェストのような映画ではなく、単純に自分の娘はヒーローなのか、ヴィランなのか……といったように、家族愛にフォーカスしたものにした方がよかった。
とはいえ『ブライトバーン 恐怖の拡散者』でも似たようなことをやっているだけに、今あえてリメイクする必要性もなかった作品といえば、それまでになってしまうが、もう少しやれることはあったと思うし、かなりもやもや感を残す作品だった。