ルッツ 海に生きるのレビュー・感想・評価
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マルタ映画は初めて見ました。そう言えば、漁師の映画を最近よく見ます...
マルタ映画は初めて見ました。そう言えば、漁師の映画を最近よく見ます。「コーダ あいのうた」とか「空白」とか。マルタの漁師はアンガーマネジメント研修しっかりやってるんですかね。あんまり怒ったり怒鳴ったりしないので新鮮でした。大きなカタルシスはありませんが、なかなか味のある映画です。主人公の夫婦が、何気に美男美女です。マルタでは有名人なのかな。
【伝統のマルタの近海魚漁のあり様を説いた作品。同様の問題は日本でも同じである。】
■地中海の島国・マルタ。
伝統の漁船・ルッツに乗る漁師・ジェスマークは、不漁とルッツの修理費に頭を悩ませる。
さらに、発育不良が判明した息子の治療費も稼がなくてはならない。実家を頼ろうとする妻・デニスとジェスマークの間には、不協和音が生じ始める。
◆感想
・マリタ映画は初鑑賞である。
・故に、キャスト人も資料によると、実際の漁師であるそうである。
<だが、現代の近海漁業の厳しさは巷間に伝えられる通りである。
今作はその問題をリアルに描いた作品である。>
男として
109本目。
リコリス・ピザは今日も無理そうとこちらを。
不器用だけど、男して生きてると分かる部分多々あり。
闇落ちしちゃったなと思うけど、自分も求職中と時って縋れるものは全て縋れりたくなるもん。
でも一番の疑問は、何故奥さんと結婚出来たか?
惚れた弱味と思ってる。
厳しい時代の移り変わりを静かに描く作品
静かに時代が伝統を消していく。伝統を愛する人がいたとしても、継承したくてもできない現実。発泡スチロールの箱の中身はとれたての鮮魚から冷凍の切り身へ。多くの人の生業だった魚取りは趣味の釣りへ移っていく。そして、豊かになっていく・・・・。
静かに静かに歩み寄ってくる時代に侵食され、お金で精算されていく「文化」「伝統」。その現実を生活が困窮してくる主人公を通して描いていく作品ではないでしょうか?「ルッツ」はその象徴ではないかな?
主人公ジェスマークの心情や行動はまさに時代の端境期に立たされた人の葛藤でしょうね。見ていて辛くなります。「ただ好きな仕事したいだけなのに・・」が許されなくなってくるなんて。嫁や嫁家族が世間の目の象徴。もうね、あぁ仕方ないよなぁ、それを選ばざるを得ないよなぁ・・・って。僕自身も古い人間ですから日々時代に押し流されていく気がしていますから、見ていて他人事じゃないです。(嫁家族・・・ひどいよなぁ)マルタの素晴らしく綺麗な景色が逆に残酷に見えてきます。
本作は映像で語る場面がいたるところにありまして、それも「そっと語りかけてくる感じ」がよかったです。窓口に相談に来ている他の漁師のショット、ラストの漁師達の人数で表す現実や、釣り人と漁船のワンショットでジェスマークの心の迷いを表しているのかなぁ?とか。
やりたいことやりながら、愛する者達と生活し続けるって、あたりまえを求めてるだけなのにね。変わらなくて良い、変わらなくて十分って思っている人達に時代は資本主義世界は容赦ないのかもね。
・・・世知辛いな、世の中は。
プライドと甲斐性
シチリアの南、地中海の小さな島国マルタの漁師が生活苦から道を踏み外す話。
嫁の実家は金持ちだけど、嫁を支配下に置きたがることから敬遠気味という状況下、親父から引き継いだルッツという小舟で漁をして生計を立てていた主人公が舟の浸水と赤ん坊の成長遅れから生活苦に陥って…。
ルッツを修理する間友人の船に乗り漁の手伝いをするけれど、漁協は信じられずという流れの中で、やむにやまれずとはいえど、毒を食らわばですかね。
覚悟を決める方向のズレが哀しくもあり現実的でもあり、それは本当に幸せへの選択なのかとやり切れなかった。
足跡の行方
地中海にて、代々引き継がれるボートで漁業に営む男が、魚が取れなくなり、発育に問題があるという子どもの医療費や生活にも困り…決断に迫られる物語。
地中海はマルタ島から日本へ初上陸の作品とのこと。
ゆったりとしたのどかな風景とは裏腹、仕事的にも金銭的にも、家族との間にも深刻な問題が山積みのジェスマーク。更には、長年連れ添った相棒のようなルッツも浸水が始まり…。
夫婦二人だけの力で子どもを助けたいジェスマーク・・・そして、収入が安定しないとは言え、代々引き継いできた漁師という仕事にも誇りを持っている。
う~ん、子どもの為なら現実を、と口では簡単に言えるけど、彼の気持ちもよくわかる。かと言って、勿論奥さんが間違えているわけではないし・・・。
決して贅沢な暮らしを求めているわけではなく、奥さんや子どもとの普通の暮らし、大切な仕事、そして引き継がれてきたルッツの存在。そんなささやかな幸せのどれひとつも叶えることが難しい現実よ・・・。ルッツを振り返るジェスマークの視線に胸が張り裂けそうになった。
この結末をどう感じるかは人それぞれだけど、哀しさの中にも暖かさはあったのかな。
冷凍車、きっとここにも元主人との物語があったんでしょうね。
その他、修理を手伝ってくれた漁師仲間や、正攻法でなくとも手助けをしてくれた人達の存在も良い感じ。
強いて言えば、ルッツとジェスマークの物語をもっと大袈裟に描いた方がラストにジーンとくるかなと思ったことや、お義母さんをどうせならもっと分かり易く嫌~な人にした方が個人的には良かったかも。言うて、義母や祖母として普通レベルのお節介さんって感じだし、なんならジェスマークの方が意地っ張りのカタブツに見えちゃうかも(汗)
また、ヨーロッパの漁業事情なんかも垣間見えて面白かったですね。煽りを食らうのはやはりこういう人達なのか。。
とにもかくにも、男として、父親としてのプライドや力強さ、そして情けなさ・・・寂し気なジェスマークの瞳に、ひとつの決意を感じることができた良作だった。
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