「生きることだけが選択肢である、そのリアル。」ぜんぶ、ボクのせい 甘酒さんの映画レビュー(感想・評価)
生きることだけが選択肢である、そのリアル。
なんと表現すれば良いのか∙∙∙
どんな言葉で伝えれるのか見つからないような作品。
絶望の先、愛情の先、孤独の先、
共存の先、無力の先、夢の先、
様々な感情や出来事には先があって
〜些細なことでも良い。〜
何かを見い出して日々を繋いでいくものだと思っていたが
そんな雑念など何もなく、ただシンプルに『愛』を渇望し、
『生きること』ではなく『生きていくこと』の
強さとリアルを見せつけられた。
主人公の優太の凄みもさることながら、
ホームレスの坂本を演じたオダギリジョーが本当に見事だった。
愛と空気と距離と優しさ、包容力と無責任さ、そして弱さと強さ。
あんなに様々な表現が凝縮される人間を演じれるのは
オダギリジョーしかいないのではないかと思わせるほどさすがだ。
坂本の存在は優太の幼稚さを浮き彫りにし、
その対比がリアリティのコントラストを際立たせたようにも感じる。
その他のキャストも、本当に一切ムダが無く
この作品は映画館で見るべき作品だったと、
観終わった後に思い返しながら、しみじみ痛感した。
現代社会の陰をなまめかしく描いたこの作品。
映画の大事なキーとなっている楽曲『夢で逢えたら』(大瀧詠一さん)
この歌詞の意味を素直に受け取るか、皮肉ととるか。
それがこの作品を観た人の答えなのではないかと思った。
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