「生命との天秤に掛けるもの」アルピニスト bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
生命との天秤に掛けるもの
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生命を危険に晒すのは、得られるものが、そのリスクと釣り合うから。イヤ、それ以上のものであるから。登山モノは、書籍含めて好きな方だと思うんです。映画・ドキュメンタリーも、地元で上映されるものは殆ど見てるはずです。先週は「神々の山嶺」を見ました。それでも分からないんです。何故、山に登るのか。言葉では、言い表せる気もするんですが、根本的なところで肚落ちしていない自分がいます。
単独登攀を目指すものの半分は、山で命を落とす。
そりゃそうでしょうよ。見るからに無茶ですもん。カメラがとらえる山々の映像は荘厳の一言です。美しい。ですが、そこに辿り着くまでの道のりは、人間を拒絶する自然そのもの。屹立する石と氷の壁。うねる波が凍りつき垂直に切り立った塊り。尖った頂。崩れそうな雪塊は、強風で奇妙なカタチに変形し稜線を作る。無茶ですよ。そんな場所を歩き、登るだなんて。
誰も登ったことの無い山。誰も成功していないルート。自分だけが経験する何か。それが血を沸かすのか。
それとも、単なるリスク・ドランカー?いや、違うよね。彼の計画は、常に生還を前提にしてる。
山頂にある静寂を求めているのか?それも違う。であれば、素手で登る必要はないから。
結局、答えが分からない。その、分からないもののために、命を危険に晒す人たちの事を分かりたい。だけなのかも知れねーなー、なんて事を想いながら。
興奮した笑顔を見せてくれた、マーク・アンドレ・ルクレールのご冥福を祈りつつ。
良かった。
とっても。
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