「じめっとした空気が伝わってくるホラー」女神の継承 ごはんさんの映画レビュー(感想・評価)
じめっとした空気が伝わってくるホラー
モキュメンタリー形式の作品という事もあり、そこに映る人たちの実在感が強く、その分、現地のジメっとした空気感や気持ち悪さや怖さが伝わってくる作品。
そこまでグロさとかはないけど多少あるとの、あとは動物が酷い事されるシーンがあるので苦手な人は注意かも。
女の子に悪いものが取り憑いて〜というとエクソシストとかが思い浮かぶけど、悪魔ではないのが本作の面白いところな気もする。
聖書とか宗教ができるよりももっと昔の根幹からあるのが本作で扱われる精霊って存在であり、怨みも含め人の感情なんだろう。
きっとそれより後に出来たキリスト教に入信して異教徒になろうが関係ないんだろうし、きっとキリスト教のエクソシストが来てもお門違いなんだろうなぁと。
本作はじめは純粋に異国の変わった風習みたいな感じで「へぇー」って感じだけど、徐々不穏な空気からおかしくなり、ラストはすごい勢いでホラーが駆け抜けたような気がする。
そしてあまり細かく語られないところも多いので、いろいろな考え方もできそうな作品。
「女神バヤンはいたのか?」
女神バヤンを継承する、しない、出来ない、したくないって話があるわけだけど、
結局、神様みたいなのは信仰の強さでいたりもするし、いなかったりもするんだろうなぁ。
ラストの映像を見ればどうして本作がこんな結末を迎えたのか、それは霊媒師ミンの信仰が大事なタイミングで揺らいでしまったからなんだろうなぁ。
またミンの身体ににはじめ起きていた事は、バヤンに選ばれたとしか見えない事を考えると、実際には選ばれていたけど、それをうまく制御できなかったからこんな目に…とも思えなくもない。良くも悪くも精霊は扱い次第なのかもとも思う。まぁ実際の設定はどうなんだろ?全部悪霊の仕業なのかな?
本作を見る限り悪霊はいたと言える気がするけど、バヤンに関してはいたのかどうかが非常に曖昧で、なんだかフェアじゃないぜ!!
「取り憑いたもの」
ミンの奇行からすると「娼婦」「子供」「犬(獣)」の悪霊が入っていたのかな?
あとは劇中言及される「首を刈られた人」かな?だから相手を殺す際は首を狙ってたのかな。
こうなってしまった家系の話を聞くと、何というかミンの母が霊媒師になる事を拒んだ自慢で決まった運命で結末が決まっていたような気もしてしまう。
終盤ある出来事が起こるが「え…そんな…勝てないじゃん…」ってインフィニティウォーばりの絶望感あったね。
いくつか気になるというか、
こんな状況なのに管理がガバガバ過ぎるだろと思うところもあり、
娘とは言えあんな状態なんだから、縛り付けないにしても、ひとつの部屋から出られないようにしておくとかしなよ…
鍵つけるの遅いよ…
ただ本作で1番怖ってなるシーンもこのあたりだったので、この怖さのためには仕方ないか…?
部屋を彷徨うときやたら顔だけ浮いて見える感じがすごく怖かった…
そして儀式が終わるまで開けるなって言われたら、とにかくドア開けるなよ!
開ける理由はわかるけど開けるなって!!
この辺りはこの手のホラーど定番でしたね。
とは言え開けるなって。
あと取材陣は劇中全員死んだ気がするけど、じゃあこの映像は誰が見つけて、誰が編集したのよ…ってのが謎。
1人くらい生き残らせてる描写あれば良かったのにとも思う。
気になる箇所はあるものの、普段見るホラーともどことなく違う雰囲気で非常に楽しめた作品でした!