雄獅少年 ライオン少年のレビュー・感想・評価
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中国のCG映像の現在地が上手くなっている事を感じる
テーマとしては目新しくはないが、貧しい暮らしのチュンとその仲間たちの仲間を思いやる心が温かい。
ここまででは無いが、日本にも同じような子どもや青少年んは沢山いる事だろう
李白の言葉を語る少年チュンの思いから始まっていくドラマは一昔前のものを感じさせるがそこが良い。
今の日本ではこの類いの作品はあんまり作られない。
ただインディーズ作品やご当地映画によくある印象。
そもそもスポーツでは無いしルールもよく分からないこの獅子舞い、初めて目にしたのはジャッキーチェンやジェットリーの作品で獅子がしらで踊りながら闘う荒っぽさで、乱暴なお祭り以外の印象がない人が多いと思う。
だがそんなことはどうでも良い。
よーわからんが出場してる連中も真剣でルール上の小細工はするものの、トコトンイヤな奴等も居ない。
中々熱い奴等が揃っていてこっちも熱くなってしまう(笑)
終盤の頂上への挑戦に女性チュンの叩く太鼓を皮切りに他チームの
太鼓係がチーム関係なしにエールを贈り始めるシーンにもグッとくる。
大会後と結果はよく分からないし、女性チュンとのその後の関係(彼氏らしき人物が居た)が写真だけ写っててもどうなったの?とは思う。
お父さんの指が動いたから、奇跡は起こったのだがどうせならその奇跡を一緒に喜ぶ姿も見たかったのでラストがあっさり過ぎるのが残念。
少年よ、獅子となれ!
別に某芸人のネタだからではないが、日本でも“獅子舞”は知られ、晴れの場で披露もされている。
本来は中国の古典芸能。武術、技芸、演劇の要素が合わさった民間芸術。
獅子自体聖獣とされ、中国映画でも時々祭りや祝い事の場で披露されるのを見た事ある。厄払いとして、無病息災や健康長寿を込めて。
南北の流派があり、本作は南派。表現豊かで、雄々しい舞い。
獅子舞と言っても、奥深い。だからこそ映画になる。
でも、ただの獅子舞だよ…? 伝統芸能を伝える芸術映画ならまだしも、それが娯楽映画に成り得るか…?
なったのだ。
本作を構成する王道的要素や目を見張る技術が素晴らしい。
中国のアニメーションだからと言って、侮る人など今は居ないだろう。ここ数年中国アニメのレベルの高さはよく知られ、アニメ大国と言われる日本を脅かすほど。
毎年日本でも何かしら公開され注目を集めるが、本作はその真打ち。
その見事な舞い(エンタメ性とクオリティー)を見よ!
とにかく話が王道。中国舞台や獅子舞題材であろうとも、非常に見易いのだ。
中国のある田舎町。都会へ出稼ぎに行った両親を待ちながら、祖父と暮らす少年チュン。
生活は非常に貧しく、本人も内向的で何の取り柄もナシ。
ハイ、ここだけでシンパシーを感じる人も居るだろう。私も含め。
そんなある日村で、獅子舞大会。村一の強豪チーム(←チュンを見下すヤな奴らだが、ここ伏線)が圧倒する中、ある一人が華麗な舞いで強豪チームを敗北させる。
何と、女の子…! ただの女の子ではなかった。前回の全国大会の優勝者チームの一人。実力は充分なのだが、女の子だからという理由だけで周囲から獅子舞を辞めさせられ…。
名は、チュン。まさかの同名。元々“チュン”とは中国では女の子名。
同じ名前の奇妙な出会いから、少女チュンは被っていた獅子の頭を譲る。
理由はもう一つあった。この時少年チュンに、“奇跡の花”が落ち…。
ひょっとしたら少年チュンは“選ばれた”のかもしれない。
でも当の本人は、美少女に横恋慕して…。
何はともあれ、不純なものであったり不思議な縁であったにせよ、少年は獅子舞を始める事に。
サル顔のマオ。
肥満体型のワン公。
ここにチュンも加えれば、痩せ、ブサイク、デブの冴えない面子。
無論獅子舞の事など何も知らない。
目に余る下手さ、嫌味な強豪チームからバカにされ、嫌がらせも受ける。
こんなんじゃ大会どころか予選すら無理。
負け犬たちには導く者が必要。
紹介された“師匠”。ところが…
ただの塩漬け魚売りの中年男。女房の尻に敷かれ、飲んだくれ、冴えない…。
ところが…!
この中年男チアン、若い頃は獅子舞の達人だった。
が、獅子舞だけで食っていく事は出来ず。結婚を機に夢を捨て…。
冴えない人物が実は…。最初は嫌々だったが、若者たちに懇願され…。自分もかつての情熱を取り戻す…。
ベタ過ぎるって…? だから何だ! それがいいんじゃないか!
チアンの奥さんもいい。恐妻でチアンは奥さんに内緒でチュンたちに獅子舞を教えるが、やがてそれがバレる。ヤベェ!殺される!…と思いきや、許す。それどころか、夫がもっと指導に専念出来るよう、魚の配達も自分が受け持つ。チアンが獅子舞を辞めたのは奥さんに言われてだが、奥さんが夫の夢を辞めさせたのを後悔していたのだ。
夫婦愛、内助の功。子供の居ない二人にとって、チュンたちを我が子のように面倒を見る。それからこの奥さん、べっぴんさんなの。
師匠の教えもあって、上達&成長していくチュンたち。
先に述べた通り、チュンたちは揃いも揃ってのダメダメタイプ。
そんな彼らにだって、長所はある。
長所を活かし、短所をバネにして。
チュンとマオが獅子を被り舞い、ワン公が舞いの太鼓を叩く。
チームであり仲間であり親友。それも築き上げられてきた。
特訓に次ぐ特訓。少年たちの実力も精神も鍛えていく。
言わずもがな、少年漫画的。
中国映画で言ったら、武侠映画か。さらに言えば、ジャッキー・チェンの若い頃のカンフー映画みたい。
本作が胸アツなのも、この王道展開が日本や中国の漫画や映画を思い起こさせるからであろう。
歌にもあるじゃないか。♪︎獅子の瞳が輝いて
だからその後の展開も予想は出来るし、予定調和である。
予選。ビビりまくりのチュンたち。しかも仕事でチアンは遅れている。
あの強豪チーム、練習試合でコテンパにされたチーム、チーム名は“塩漬け魚チーム”で周囲の失笑…。
完全アウェイ。こんな状況で勝てるのか…? 結果は…。
チュンの両親が帰ってきた。が、父親が仕事中の事故で重体となり意識が戻らない。家族の為、チュンが働かなければならない。出稼ぎへ。
獅子舞は辞めるつもりはない。あの予選の結果は、見事勝った。大会へ進む事が出来た。
家族の為の出稼ぎも、大会出場も、その時の仲間や師匠との再会も。
当初はそれらを目指していたが…。
明くる日も明くる日も仕事。
獅子舞の練習する時間など無い。
当初は仲間や師匠と連絡を取っていたが、次第に…。
いやそれどころか、獅子を被る事すらなくなる。
仕方ないんだ。稼がなきゃいけないんだ。僕が働かなきゃ、家族は…。
獅子舞より仕事の方を重視するようになる。それまで離さなかった獅子の頭を置いて…。
ある時街で、あの少女チュンと偶然再会。獅子をやってる?…の彼女の問いに、チュンは…。
自分のやりたい事、夢を追って!…と、見る側は思うだろう。
そうも言ってられない。
底辺で暮らす者に夢を追う事など許されない。家族の為、生活の為、我が身を粉にして働かなければならない。
女の子だから…と辞めさせられた少女チュンも男尊女卑を物語る。
王道エンタメと思いきや、中国社会の現実問題や格差を突き付けられる。
それに屈し、甘んじるしかないのか…?
抗い、自らで運命を切り拓く事は出来ないのか…?
チュンが戻らぬまま、大会開催。
チュンの欠員をチアンが補い、出場。
同村からの強豪チームや強者たちが集う。中に、一際強そうな優勝候補チーム。実は、街で出前仕事してたチュンと面識あり。
そのチュンは…。大会開催は知っていたが、金を稼ぐ為参加しないでいた。
仕事仲間に強引に連れられ、大会を見る事に。
何故だろう。もうやらないと決めたのに、自分の中で迸るものは。
師匠と仲間の奮闘。その姿を見ていたら…。
本来あそこにいなくてはならないのは、自分ではないのか…?
なのに、自分は今何をやっている…? このままでいいのか…? やりたい事に蓋をし、逃げ、一生負け犬のままでいいのか…?
否!
獅子、つまりライオンだ。百獣の王だ。
獅子なら立ち向かってみせろ。猛々しく吠えてみせろ。
もうひ弱な猫なんて呼ばせない。
今こそ、自分の中の獅子が目覚める時。
少年よ、獅子となれ!
チュンが途中から飛び入り参加。
さあ、その獅子の舞いを見せてくれ!
序盤や途中途中などでも披露されていたが、やはりこのクライマックスの獅子舞バトルこそ最も盛り上がる。
華麗で力強い舞い。敷きばら蒔かれた果物を踏まずに花を加える。
決勝戦は優勝候補チームと一騎討ち。引き分け。
延長戦。高い杭の上を舞い踊りながら渡っていく。
そんな事出来るか!…と思いつつも、CGアニメーションならではのアクロバティックなアクション、スリル。
それらを素晴らしいまでに表現したCG技術のクオリティーの高さに圧巻…!
獅子の鬣のふさふさ感、美しい背景や映像、キャラの表情も感情移入してしまうくらい。獅子舞の表情すら思わず“生きてる!”と思わせる。
延長戦、すでに優勝候補チームは見事な演を見せた。
チュンたちが挑む。が、チュンは足を痛め…。棄権の声も出るが、獅子は僕は諦めない。
危ないシーンもあったが、やり遂げる。それだけならまた引き分け、互角に渡り合っただけ。前人未到に挑む。
一際高い杭の上へ。未だ達成者は居ない。
チュンの挑戦を鼓舞するかのように、太鼓が鳴る。チームだけではなく、観戦していた少女チュン、ライバルチームたち、同村の嫌味だった強豪チームも応援。(←ここ、熱い!)
我が内なる獅子よ、飛べ!
結果は…。
王道エンタメ展開、ハングリー精神、ベタではあるが笑い(『クレヨンしんちゃん』のひろしかい!)や感動、社会派テーマ…それらがまさしく獅子舞の各要素の如く合わさり、舞い踊り魅せる。これ以上何が必要か!
私の中の獅子も吠えた!
”胸アツ”って、この作品のために生まれた言葉かもしれない
中国の伝統芸能である獅子舞の演者を夢見る少年たちの姿を描いた、中国発の長編アニメーション「ライオン少年」。広東省の田舎の貧しい家で祖父と暮らす主人公のチュンは、広州に出稼ぎに行っている両親と長い間会えないでいる。自分と同じ名前を持つ獅子舞の演者から獅子頭を譲り受けたことをきっかけに興味を持ち、そして広州で開かれる獅子舞競技大会に出れば両親と再会できると考えたチュンは、かつて村一番の演者だったという干物屋の店主を師匠として、獅子舞の演者を目指し成長していく話。いってみれば、王道カンフー映画の獅子舞バージョンだ。
新宿バルト9で吹替版、池袋グランドシネマサンシャインで字幕版の計2回鑑賞。
いや、もう、最高でした!今年一番感動しました…!
映像の美しさと躍動感、王道だけど確かな感動があるストーリー、魅力的なキャラクターと、全編を通して語りつくせない魅力が詰まりまくった作品でした。
特に印象に残ったポイントを2つあげてみるなら、
1つ目は、広州での少年チュンの屋上練習シーン。冒頭の獅子舞説明描写から惹き込まれる往年のカンフー映画を思わせる演出が散りばめられた本作で、カンフー映画のお約束である「屋上での練習」もしっかり描かれていましたが、こんなにも不憫で切なく、けれども自由で力強い屋上練習シーンは、見たことがありませんでした。仕事を幾つも掛け持ちして練習する時間もないのだろうと、チュンの仲間たちも私たち観客も思っていたところに、独りで練習を続けていたことが明らかになるこの場面の締めくくり、ビルの隙間から昇ってくる朝日が主人公を照らし、陽の光が獅子頭の装飾に当たってカー!と輝きを放つシーンは、ハッと息をのんだ直後に身体が熱くなり落涙した瞬間でした・・・。
この映画の最後の、獅子舞競技大会で擎天柱に向かって飛び、ホンモノの獅子になるシーンと並ぶ名場面だったと思います。美しかった…。
2つ目は、チェンの獅子舞の表現における動きと色合い。チュンの獅子舞の演技は、彼の身体の華奢さもありますが、どこか他のキャラクターとは違う流れるようなしなやかさを携えているように見えました。また、彼の被る獅子頭の鮮やかな赤色は、一般的な赤色が持つ強さや攻撃性というよりも、コーラルよりの朱色で、それはこの作品の主要なモチーフである「木綿(きわた)」の花の色にも重ねているのだと思うのですが、(もしかしらたら単純に伝統的な獅子頭の着色のかもしれませんが)フレッシュさや胸の内に秘める情熱を感じさせる色合いでした。これら獅子舞の表現の中に、同じ名前を持つヒロインのチュンが、女性であるという理由で大会に出場できず、その意思を託された主人公が、彼女の想いを受け取って……と言うよりも、2人のジェンダーが融合した存在感をあらわしているように見てとれ、少年たちと師匠のスポ根に留まらない、アップデートされた表現が、獅子頭のデザインや獅子舞のムーブメントに踏襲されていると感じました。中国アニメ恐るべし…
まるで実写を見ているかのような、ホンモノの質感で描く獅子舞のCGクオリティは圧巻だったし、臨場感あふれる音響効果も見事なものでした。獅子舞がまばたきするときの「バサッバサッ」ていう効果音も大好物でした…!
本当に素晴らしい作品なので、もっと多くの人に観てもらって上映館が増えると嬉しい。
胸アツって、この作品のために生まれた言葉かもしれない…。
「負け犬」は誰が決めるのか
綺麗なアニメーションだな、と思って
ちょうどレイトショーをやっていたので鑑賞。
獅子舞にも中国にも詳しくないですが、
ストーリーも社会背景も獅子舞のことも
分かりやすくてよかったです。
最後もスッキリ終わるし、王道といえば王道なのかも。
主人公のチュンは、幼い頃に両親とみた獅子舞に
きっとこっそり憧れてもいて、
でもそれはいわゆる「勝ち組」や「一軍」たちが
やる(できる)ことだと諦めていたけど、
同じ名前の女の子に助けられ、一緒に逃げて、
獅子頭をもらって、友達を誘って、
友達の友達がさらに仲間になって、師匠ができて…
それこそ獅子舞が足場の上を
くるくる移動するように、いいことも悪いことも
テンポよく進むので、飽きないし
話がスッと入ってきました。
主人公のチュンは、ひょろくて気弱だけど、
「あいつらが羨ましい」と素直に言える。
「僕はもう大人だよ、心配しないで」と
遠く離れた両親に気丈に振る舞える。
「早くじゃなくて、無事に帰ってきてと
ちゃんと願えばよかった」と
神を恨まず、自分の非を嘆く。
可愛い女の子に釣られてやり始めたマオは、
もう女の子のことなんか忘れて
ずっと友達と師匠の心配してた。
川の場面ではいつも助けられてたワン公は、
最後の足場が崩れかけたとき、すぐ水に入って
柱を支えにいってて、友達を助けようとしてた。
踏み躙られても立ち上がる。
嘘みたいな地図も一旦信じて行ってみる。
教えを乞う前にまず配達を手伝う。
獅子になりたいと願い、闘う。
あぁ、あんたらは負け犬なんかじゃないよ、と
何度も思って何度も泣いた。
妻と生活のために獅子舞を諦めたチアン師匠と
夫の身体のために諦めさせた妻アジェン。
師匠よ「後悔してないよ」はきっと本当だけど、
そんな夫に対して「私が後悔してる!」って
ずっと言いたかったんだろうな。
「子どもいないけど、
あの子達がうちの子だね」
両親が出稼ぎに行くような地域で
こんなふうに思ってくれる大人、
なかなかいないよな。あったけぇな。
両親の代わりに出稼ぎに行ったチュンが
チュンと再開するところ。
かたや床に寝かされて、毎日肉体労働で、
雨の中傘もさせずに走り回ってる。
かたやきれいな服を着て、傘をさして、
ピカピカの車を運転してる。
こういう細かい対比もあって、
映画館でもう一回観たくなりました。
もっと早く観ればよかった!
「何か一つくらい夢を持っていたい」そう願う少年の想いは大勢の人に支えられ、誰一人届いたことの無い高みの場所へと獅子が挑みます。手に汗を握る少年の成長の物語です。
観る直前までほぼノーマークの作品。
公開中の作品一覧を眺めていて気になり
作品紹介を読んでみたら面白そう。
そんな訳で鑑賞してきました。
中国の獅子舞が題材です。
民間の伝統芸能らしく、二千年の歴史があるとか。
歴史の重みが凄いなぁ。 …と素直に感心。
さあ鑑賞。
獅子舞の演技を見て、憧れを抱く少年。
見よう見まねで踊ってみる。
獅子頭の代わりに、半分の西瓜(の皮…)を振り回す。
獅子舞演者の若者にぶつかり、睨まれる。 きゃー
野良猫(=少年の事)が前を通ってケチがついた と
春節でもらったお年玉の袋を盗られそうになる。
その袋を、更に脇から奪い返す者がいる。
脇から現れた赤い獅子頭の演者。 速い。
その演者がお年玉の袋を蹴り上げると
演技舞台の一番上、竹の棒の先端に挟まる。(すごい)
あれを早く手にした者が勝ち…という事のようだ。
相手の進路を邪魔するのも有りらしい。
一進一退。手に汗握る攻防。勝ったのは赤い獅子頭の演者。
お年玉の袋を取り戻した少年。
赤い獅子頭の演者を荷台に乗せ、自転車で逃げる。
丘の上までやってきて、演者が赤い獅子頭を外す。
” あ… ”
獅子頭の演者は女の子だった。
” 私の名前はチュン ” あなたは? 問う少女。
” 僕の名前もチュン ” 応える少年。
なんと、漢字も同じ「 娟 」。
少女チュンは、獅子舞の全国大会の宣伝に来ていた。
今年の大会のポスターを渡される。
よく見ると、少女は前回大会の優勝メンバーだ。
すごい演技だった と伝える少年チュン。
僕にもあんな演技ができたら良いのに と口にする。
” きっと出来るわ ”
との言葉と赤い獅子頭を残して少女は去る。
ポスターに目を落とす。
大会の会場は、少年の両親の出稼ぎ先の都市だった。
” 獅子舞がやりたい ”
” 出稼ぎ中の両親に元気な姿を見せたい”
獅子舞への気持ちに駆り立てられる少年チュン。
だが…
・メンバーが足りない(一人では演技できません)
・太鼓や衣装も無い (お金も相当がかかるみたい)
・練習方法も分からない (…困った。探さなきゃ)
まずは仲間を集めよう。そこからスタートさ。
こうして少年チュンの
獅子舞全国大会出場を目指した挑戦が始まった。
とまあ
田舎で暮らす一人の少年が、
獅子舞の大会に出る仲間を探し、獅子舞の師匠を探し
獅子舞を通して成長する姿を描いた物語です。
テンポの良いストーリー展開で
最期までハラハラドキドキしました。
獅子舞の全国大会に出られるのか?
少女チュンとの再会はあるのか? etc
主人公たちを応援せずにはいられなくなる
良い作品でした。観て良かった。
満足です。
◇あれこれ
■夕焼と夕闇
田舎の夕焼けの赤。
都会の夕闇のグレー。
その二つの画面が印象的だった気がします。
そしてビルの屋上で観た朝の光。
これから起こる少年の変化への期待を
印象づける場面だった気がします。
■秘めた想い
獅子舞の師匠。昔は獅子舞の名人だった。…らしい。
今は干物を売り歩く魚屋さん。
演技に惚れて結婚した奥さんとの二人暮らし。
暮らしぶりは豊かとは言えない中に
3人もの若者が転がり込む。
最初はやっかい者扱いをしていた奥さん。
ダンナに笑顔が戻ってきた事に気がつき
稽古の時間をもっと盗らせてあげたい と
魚の配達を代わりに行くようになる。
客から奥さんが怒鳴られる場面を見たダンナ。
やはり自分が …と 予選会に出場中の弟子を置いて
奥さんの所へと戻ってしまう。 …あら
後悔を繰り返さないで と奥さん。
獅子舞をやめた事を後悔しちゃいない と師匠。
" 私が後悔してるの!"
生活のために獅子舞をやめた。
ワタシがやめさせてしまった。
もう一度弟子たちと共にこの人を舞わせて上げたい。
この奥さん、カゲの主人公です。ヒロインです。
助演女優賞を差し上げたい。
■この作品
とにかく、すごく丁寧な作りの作品 そんな印象です。
中国が舞台な訳ですが、中国色を出すだけでなく
世界中のどこでも通じるテーマをストーリーに練り込んだ
見応えのある作品でした。
この監督の、次の作品が気になります。
要チェックです。
◇よだん
獅子舞の世界大会があったら
日本から参加して欲しい人たち。
・ライオン丸 変われ獅子丸♪
・白獅子仮面 獅子ですから
・タイガーマスク … トラでした ・_・;
・ウルトラマンレオ 獅子の瞳が輝いて (サイズが合わない…)
他にも居そうな気が。
◇最後に
届かない物がある事を教えるため
1本だけ遠く話して立てられているという柱。
少年チュンが最後に挑んだのは、その柱。
後ろ足のマオの力を借り
太鼓のワン公の力を借り
少女チュンが叩く太鼓に力を得て
他チームのみんなの太鼓を一身に受けて
そして
獅子頭が柱の上。
体は…?
たぶん、大会は準優勝。 けれど…。
夢は、諦めない限り叶う。
そのことを、余韻を持って伝えて終わる
秀逸なエンディングです。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
不覚にも泣いた。
出稼ぎで父母と離れてくらす少年(つっても18w)チュンはある日イジメっ子(大人だが)に奪われたお年玉を取り返してくれた同名の女性チュンから獅子舞大会への出場を勧められる。
かわいい女チュン目当てに猿顔、太っちょ(2人とも名前忘れたw)と一緒に元獅子舞達人の魚屋の旦那に弟子入りして、、、と此処まではよくある話だが、出稼ぎ先で父親が事故に遭いチュンは1人都会に出稼ぎして身を粉にして働く事に、その出稼ぎ先で件の獅子舞大会が開催され獅子舞仲間と師匠のピンチに出食わし仲間に合流し、、、。
兎に角後半のチュンが先が見えない不安の中で1人出稼ぎで頑張る姿に泣ける。大会最後奇跡の逆転に賭ける姿に会場一団となって応援する姿、エンディングの曲とここ数年で久々に泣けた。
CGの作画は素晴らしい
中国の3DCGアニメ
作画にストーリーもかなりよかった
貧困層の少年チェンが獅子舞の大会に出場するために
仲間をあつめ、獅子舞の大会でトップを目指す内容
ヒロイン・チェンの出番は最初に出てくるが
あまりそこまで出番が多くないように感じた。
仲間たちと師匠の絆のほうが中心に感じた
チェンも師匠も獅子舞をやめた理由が
経済的なものだったので
2000代の中国の格差があるということを感じたが
ここらへんは中国のことに詳しい人なら
別の感想をもつかもしれない。
本選で師匠が代役を務めるところは
ここらへんはコミカルなところが多かったが
個人的にはよかったと思う
獅子舞の動きがかなりアクロバティックで
なんでもありな感じがしたが現実でもあんな感じなのかな
社会の下からの一瞬の夢
すばらしかった……
アニメをつくる人たちは、ボケてないと思いました。
つまり、国家の作り出す物語に騙されていないという意味で。
いや、そう思いたいだけかも知れませんが……
残酷なほどの貧富の差のある今の中国で、内陸部の田舎に生まれ、両親も彼自身も生活のために毎日同じ働くしかなく、都会生まれの人とは違って「自己実現」など無縁の世界に生まれた主人公が、「獅子」になって一瞬の夢を叶えようとする話です。
今の中国そのままに、上へ上へと登ろうとするイメージが獅子舞という伝統芸能を用いて語られるのも唸る設定で、おそらく今の中国で伝統芸能でトップになることは経済的成功を勝ち取るほどの価値はないでしょう。
しかし、貧しい生まれの主人公が登れる可能性のある高みはそれしかなく、まるで貧しさに耐えながら社会を支えている人々の叫びや願いを丸ごと彼が引き受けるかのようにしてあの場所に達する(そして達した途端に落ちる)ことのカタルシスが、見事に演出されていました。
それはある意味、こうした貧富の差を生み出す国家体制への批判も含んでいるように思います。もちろん、それはあからさまには描けないのですが。
ラストがグダグダせずに、余韻を残しつつすっきり終わるのも好感。
日本の吹き替え陣もよかったです。
この日々よ歌になれ
中国アニメ映画のクオリティは年々上がっていっている中、今作のクオリティの高さは予告編からひしひしと伝わってきました。キャラデザがあまり好きなものではなかったので、少しだけ観るのを躊躇っていましたが劇場に飛び込んできました。
スポ根ものとしての完成度がピカイチでした。味わった屈辱を倍返しにするために、仲間と師匠を連れて獅子舞の最高峰の舞台へ向かう…という王道ながらも熱血やストーリーが組み込まれていました。
やさぐれていた友達を上手いこと引き込み、元々獅子舞で活躍してた塩漬け魚の店主を師匠として師事し、体作りから獅子舞とはなんぞやまでみっちり叩き込まれ、貶された大人たちも応援させる側にさせるほど努力を積んで輝く4人の姿が美しかったです。
師匠の奥さんがこれまた良いキャラをしていて、俗に言うツンデレってやつなんですけど、3人を実の子供のように可愛がって育てているところが最高でした。もう後半はツンならどこにいってデレまくってましたが笑
アニメーション技術も素晴らしく、実写じゃないのかと思うくらいのクオリティの高い背景に、アグレッシブに駆け回る獅子舞の躍動感がひしひしと伝わってきましたし、キャラクターの表情もとても豊かなので喜怒哀楽が全て全身に染み渡ってきます。
日本では獅子舞の文化がそこまで無いので、最後の高い棒の上に飛び乗るのではなく、獅子舞の頭を突き刺すという感じで大団円となったのだけは、それでいいのか?と思ってしまいました。
中国の文化的にはこれが大成功なんだと思うんですが、どうせなら危険覚悟であの高い棒の上にたどり着いて欲しかったなと思いました。
とはいえ、「友情・努力・勝利」の三拍子が揃った近年稀に見るスポ根ものを劇場で堪能することができたのは本当に良かったです。のんさんの吹替版主題歌も、今作の最後を彩るにはピッタリだなと思いました。日本アニメの進化とはまた違った形で進化していく中国アニメやなこれからも注目していきたいと思います。
鑑賞日 5/30
鑑賞時間 21:15〜23:10
座席 G-7
【"生まれてきたのは、踏みつけられる為ではない!そして高みへの飛翔。"今作品は、中国の貧しき出稼ぎの民の歓声や啼泣が聞こえて来る胸熱なる作品である。】
- ご存じの通り、中国は内部の地域と上海や北京、広州等の大都会との経済的な格差が大きい。故に今作品のチュン少年の両親の様に、大都会に出て家族の為に働き、春節になると大量の土産を持って、故郷に帰るのである。だが、チュン少年の両親は春節にも何年も帰っていない。相当に貧しいのであろう。-
◆感想
・今作品が心に響くのは、チュン少年やマオ少年やワン公少年やかつては、獅子舞のチャンピオンだったチアンと言う、言わば人生の負け組だった人達が、獅子舞を通じ負け組から這い上がろうとする姿がキチンと描かれているからである。
・特に後半、チュン少年の父親が意識不明の大怪我をし、故郷に戻って来た際に、チュン少年がそれまで、獅子舞の練習に励んでいたのに、広州に両親の替わりに出稼ぎに出、彼が大都会で複数のアルバイトをするシーンである。だが、彼は獅子頭だけはしっかりと持って行くのである。
- 辛いアルバイトを複数する掛け持ちする事で、ひ弱だった彼の足腰及び心を更に、鍛え上げたのである。-
◼️白眉のシーン
広州で行われた獅子舞競技会であろう。チュン少年がいない中、マオ少年やワン公少年、チアンがチームを組み競技会に臨む。チアンの技に依り勝ち残るが、45歳のチアンの体力は限界。
そこに、上海でより賃金の高いアルバイトに向かおうとしていたチュン少年が颯爽と現れる。彼の面構えはかつての様なひ弱さや、卑屈なモノでは無く、正に漢の顔なのである。
そして迎えた決勝戦。チュン少年が被る獅子頭は高みにライオンの様に、飛翔するのである・・。
<かつては、チュン少年達を馬鹿にしていた青年達や、競技の相手達もチュン少年とマオ少年の獅子舞を大太鼓を叩いて、鼓舞する姿は染みた。
今作品を製作した孫監督は"真面目に生きる普通の人達に捧げる作品"と述べている。今作品は正にその通りの作品なのである。>
本当に皆で楽しめる稀有な作品
以前評判がすごく良かった中国のアニメが合わず(主にギャグとテンポ部分)、今回も合わないかも…と不安を抱いて観に行きましたが全くの杞憂。本当に老若男女問わずいろんな人におすすめできる作品なのに上映館少ないし回数もあんまり多くない。今からでも大々的に宣伝して拡大公開してほしい。
超絶技術のCGを支える骨太王道かつ上質なストーリーが一体となってクライマックスまで駆け抜ける、微かな希望はあるものの閉塞感を明確に打ち砕きはしないのに後味はほろ苦くも爽やかでとにかく素晴らしい。
映画館で観れたという体験自体が人生を温める思い出になるかもしれないというのは言い過ぎ?そのくらい良い作品だと思う。
あとエンドロール最後でCVキャストに落合福嗣くんの名前見て驚いた。声優詳しくない自分でも知ってる豪華な顔ぶれの中に入るくらいの声優さんになってたのねと。時の流れを感じるしなんとなく映画のテーマにもかぶるかも…とも思ったり。
ーーーーーー
2回目鑑賞。
落ち着いて観れるかと思ったら初回より制作側の誠実さや優しさが身に染みてより泣けてしまった。本当にいい作品だと思う。
文化の違い!?
中国の伝統芸能のである獅子舞の演者を夢見る少年達の話。
同名の女性(チュン)から獅子舞の頭を受け取る少年が獅子舞競技大会でトップを取るまでのストーリー。
作品観ての率直な感想は映像綺麗、ストーリーもしっかりしてるんだけど根本的な獅子舞ストーリーがあまら刺さらずで、中国ってこんなに獅子舞に熱いんですかね?
獅子舞の話なんだけど途中、獅子舞が格闘技にも見えたり、挿入歌がジャッキー・チェンが歌いそうな曲が入り、この動きジャッキー映画で見たような!って感じでした。
師匠の足くさで倒れてく相手の獅子舞達には笑えた!ラストに推しの、のんが歌う主題歌流れた時は一番テンション上がった!
ヤングマスター、師弟出馬。 往年のカンフー映画を彷彿とさせる、激アツ少年物語!
中国の田舎町を舞台に、獅子舞に情熱を燃やす少年たちの奮闘を描いた青春アクションアニメ。
少年たちに獅子舞を教える魚屋のオヤジ、チアンの日本語吹き替えを務めるのは『魔女の宅急便』『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの山寺宏一。
日本語吹き替え版主題歌を担当するのは『告白』『この世界の片隅に』で知られる女優/アーティストののん。
Filmarksさんのオンライン試写会に当選しましたので、鑑賞させていただきました!Filmarksさん、ありがとうございます♪
さて、昨今何かと話題を集める中国アニメ。
『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』(2019)の日本におけるヒットは記憶に新しいところ。
そんな中国からの新たな刺客が本作。扱う題材はまさかの獅子舞!
とはいえ、たむらけんじがネタで使っているアレではなく、「舞獅」という2人1組となって演舞を披露する、舞踊とカンフーが一体になったようなもの。
ジャッキー・チェン主演の映画『ヤングマスター 師弟出馬』(1980)に出てきたアレっすね。
舞い踊る獅子舞の姿に「おおっー!ジャッキーのアレやん😊」と思っていると、すかさず「ウォン・フェイホンの伝説は誰もが知っているだろう…」というナレーションが。おおっ、フェイホンといえば『酔拳』シリーズ(1978-1994)でお馴染みのカンフーマスター!酔拳だけでなく獅子舞の達人でもあったのか。ここでもまたジャッキー要素が。ジャッキー・ファンとして、開始1分でニヤニヤしちゃいました✨
お話の内容も、往年の香港映画を思い起こさせる熱血カンフーもの。「友情・努力・勝利」をそのまま映像化したかのような、超ど直球なスポコン映画となっています。
情熱はあるがひ弱な主人公、女好きなサル、大食漢なデブ、ダメ親父だけど舞踊の腕は一流の師匠。そして主人公が憧れるのは超一流の美少女獅子舞ダンサー。
カンフー映画や少年漫画にありがちな設定ですが、ベタだからこその強靭さがあり、とても安心して鑑賞することが出来ます♪
美女を観て鼻血を垂らすとか、デブが乗ってバイクが壊れるとか、そういうベタすぎるギャグも満載。この辺りも香港映画っぽくて懐かしい気持ちになりました😀
物語の面白さやキャラクターの魅力もさることながら、本作で最も特筆すべきはその映像美!
3Dアニメーションで描かれた光や水の表現、そして舞い踊る獅子舞のアクションがとにかく素晴らしいっ👍
キャラクターの日常芝居はあと一歩という感じだったのですが、背景やアクションの描写は世界最高レベルと言ってもよいのではないでしょうか!
いや、やっぱ中国アニメのレベルはどんどん高くなってるな…。
基本は超王道の物語なんですが、後半ある展開により映画のトーンがガラッと変わる。『おしん』(1983-1984)みたいな児童労働ものになっちゃって、正直「えぇ…こういうの求めて無かったんだけど…」と思っちゃった。
もちろんこの展開も終盤への前フリなんだけど、個人的には最初から最後まで熱血スポ根映画として貫徹して欲しかった。
あとこのシリアスな児童労働パート、時間の流れがなんかおかしい。
バリバリ働いていたように見えるけど、主人公が出稼ぎしていたのは予選会から本選までの間でしょう?それってどんなに長く見積もっても2〜3ヶ月くらいのもんじゃないの?かなり長い期間働いていたように見えたんだけど…。うーん、よくわからん。
時間の流れが変だといえば、主人公が獅子頭を取りに戻るシーン。アレ絶対間に合わないよね😅
あの風雲たけし城みたいなレース、一体何時間やってたんだよ…。
コミカルなノリやギャグは好きなんだけど、一点気になるのは本選で師匠が披露した『クレヨンしんちゃん』を思い起こさせるあのくだり。
それまでがかなりシリアスだったのに、急にくだらないギャグを挿入するもんだから、一体どういうテンションで鑑賞すれば良いのかよくわからなくなってしまった。
とまぁ、特に後半になってくると脚本のアラや杜撰なところがポツポツと出てくるのです。
そもそも獅子舞競技会ってなんだよ、って言いたくなるけど、ああいうのって中国では本当にあるのかしら?
とはいえ、かなり楽しくて燃える映画なことは間違いない。
カンフー映画好きやスポ根漫画ファンには是非とも鑑賞してもらいたい一作であります!!
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