雄獅少年 ライオン少年のレビュー・感想・評価
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キャラデザがいい。
いまどき珍しいほどに真っすぐな少年の成長ものが成立するのが本当に羨ましい。この映画には、中国の事情は知らなくてもいろいろな点で懐かしさのようなものを覚える。落ちこぼれの少年たちが獅子舞大会に出場する夢を見て、かつての名人で今はしがない中年男に教えを乞う。貧しい田舎に暮らす主人公は、両親が都会に出稼ぎに出ており、経済成長の恩恵を受けた土地とそうでない土地がわかりやすく対比される。この映画に描かれている時代は、かつて日本が辿った道でもある。素直な上昇志向がこの映画にはあるのだ。
アニメーション的にも見どころたくさんだ。キャラクターデザインが良い。日本のアニメでもなければ、アメリカ的な3DCGとも異なるデザインを成立させているし、獅子舞のシーンの動きは躍動感たっぷりで何度でも観ていられる。題材が伝統芸能であるということも大きいが、物語にせよ、絵柄にせよ感性が借り物ではない。色使いもアメリカや日本とは異なる感性がある。ストレートなスポ根ものとしても面白いし、大きな魅力が詰まった一本。
この作品の強み
アニメーション作品には実写映画では難しいことができる強みがある(それを行使しない作品もあるが)。例えば、あり得ないカメラアングル、あり得ない風景など。つまりイマジネーションの全てを形にできるところだ。
この作品は部活頑張る系の青春映画にカテゴライズされると思うが、多くの同じカテゴリ作品の場合、主人公の目覚め、主人公のつまずき、修行、師の問題、ライバル、目指す頂き、仲間との絆、ロマンス、まわりを巻き込んでの高揚感、こういったもののいくつかが入っているものだ。しかし映画という尺の問題で全てを入れることは難しい。実写作品の場合は。
この作品は、すでに書いたアニメーションの強みを「あり得ないスピード感」として使い、本当ならば入りきれない青春映画のピースを全てぶち込むことに成功している。
つまり娯楽度マックスなのである。
全体的には「早い」のだが、近年のアクション映画かのようなスローモーションも効果的だ。
魅せるところはしっかり見せて、慌ただしさを軽減している。
もしかしたらスローモーションに見えるところがノーマルスピードなのかもしれない。それくらい全体のスピードは速い。
美しいアニメーションだったかと問われると、そうとは言えないだろうが、アニメーションの強みを存分に活かしたとても楽しい青春映画だった。
今年観たアニメ映画で一番良かったと言っている人をチラホラ見かけるが、似たような感覚になったことは間違いない。
王道
とても美しいCGで獅子舞が華やか。あんなに激しく踊るものなのか。
虐められっ子だった主人公の成長が凄いし、両親の帰郷に伴う闇落ち感(現実に飲まれ夢を棄てそうに)からラストに向けての盛り上がり!正に王道。徐々に増えていく太鼓の音、会場の一体感。凄かったな~!
実は歴史物かと思っていたら現代劇。豊かになったかに見えても拡がる格差社会。中国作品あまり観たことがなかったので学びも多かった。
続編なのか次回作もあるとの事。迫力の映像をぜひ映画館に観に行きたい。
日本の獅子舞とは全然違う!
吹替版。
アクロバティックな舞いに実写と見紛う精緻な3DCG、昭和のようなノリのギャグとスポ根魂。
クライマックスは胸熱すぎた。
でも地元の獅子舞チームのお兄さんがクズすぎるのには正直引いた。
コノ映画、スゴイぞっ!!
墨で一筆書きの獅子(ライオン)が、画面一杯に雄々しく躍動し、咆哮すると次の瞬間、獅子舞の頭(かしら)に変わる----。
中国大陸での獅子舞の本質(舞踊、音楽、そして武芸の合体)と歴史が簡潔に語られる----。
『斬新の極み』の美しいタイトルに魅了されマス。
そして、再び墨の獅子(ライオン)が画面から観客側に飛び出そうとする瞬間、画像はフルカラーのCG映像の痩せコケた野良猫と入れ替わる。路地裏を進み歩く向こうの路に、自転車を思い切り飛ばす、主人公の少年が現れる----。
コノ映画は、『痩せた野良猫である少年』が、躓き倒れナガラも立ち上がり、『雄々しい獅子(ライオン)の少年』に育つ、見事な物語です。
そして、心を打つ美しい場面は、両の手指でも足りマセン。
巻頭、自転車を飛ばす少年を映し出す『風景』は、少年が村や街に暮らす人々の間だけで無く、草や木々に包まれた『美しい世界』で息づいて居る事が数カットで明示されマス。
最後に、もう1場面。
木綿(きわた)の紅い花が、閑かに咲き誇る林の丘に、少年が立つシーン。
(無知な私は、木綿(きわた)を初めて知りました。)
桜の花の10倍は有ろう大輪の紅い花が枝一杯に咲き乱れる木綿の樹----。
運命のイタズラで出逢った『達人の少女』から、獅子舞の頭(かしら)を譲り受けた少年が問いかけマス。
「僕なんかに、獅子が舞えるノか?」
ソノ少年の頭に、木綿(きわた)の紅い花がフーッと落ちて来る----。
その様を見て、少女が答える。
「キッと出来るワッ!『英雄の樹』とも呼ばれる木綿の花が君を選んだ!」
コウして『痩せた野良猫の少年』は、『雄々しい獅子(ライオン)の少年』への険しい道を歩み始めマス。
木綿の樹は、その間の全てに於いて、少年を、蔭で見守り、蔭で支え続け、そしてコノ映画の最後のクライマックスで、ソノ姿を現すのデス!
このアニメ映画を味わう為に、何らの教養も知性も必要有りマセン。
ソレは、天地を紅く染め上げる夕焼けの美しさを味わう為に、何らの知性も教養も必要無い事と同じデス。
完全なネタばれデスが、文字で綴った予告編と思い、ご容赦下さい。
サア、珠玉の本篇の始まり始まりーッ!
躍動感が楽しいスポコン映画!!
日本の縁起物の獅子舞ではなく、
競技としての獅子舞が中国にはあるそうで
その競技獅子舞に立ち向かうことで
自身の負け犬根性や、正直厳しい社会格差に
打ち勝とうとするお話。
かなり正統派スポ根アニメ映画なので
素直に熱くなれて、最後にちょっとホロっとしちゃう
なかなか楽しいですね。
上映は終わっちゃったから、もしも配信とかに上がったら
お子さんと一緒に観れる良作です。
で、月に8回ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては
面白かったですね。
競技獅子舞の世界が躍動感一杯に描かれて
本当にそのような競技があるそうで
実物を観てみたいと思いました。
(多分、YouTubeには画像があると思います。)
物語は経済的に楽ではないために、
町の番長的な上級生にバカにされて、
心まで萎縮してしまっている主人公に勇気を与えるのが、
競技獅子舞で全国優勝するレベルの少女。
ところがその少女は女性であるが故に
大好きな競技獅子舞を続けることができず
一般社会人として生きて行かなければならない。
都会と田舎の経済格差と男女格差と言う
どこの国でも問題になってるこ事象を巧みに織り込んで
誰が観ても楽しいスポ根ものに昇華しています。
スポ根アニメと言っても一昔前の根性モノでは無く、
勝ち方のロジックとコメディー要素も盛り込まれて
嫌にな気持ちにはならないですね。
それと特筆すべきは現在中国のアニメ技術の進歩!
私は技術的な事は疎いのですが
今作の獅子舞の被り物!
獅子なのでフワフワとした毛並みが見事に再現されていて
すごいな〜〜
日本は「クールジャパン」とか言って(例えが古い)
数多のクリエーターの成果だけを良いとこ取りしてる場合じゃねえ!!
もっと現場にお金を入れて、文化を育てるないと
すぐに抜かされるぞ!!
夏休みにお勧めです!
現在中国の最高クオリティCG
中国は国をあげてコンテンツビジネスに力を入れてる
。パクリと呼ばれた汚名を返上し、自国オリジナルコンテンツのクオリティUP、そして世界市場で通用できる物を作るためにハリウッドへの投資、人的交流など積極的にやってきた。
ハリウッドも税的優遇措置があるカナダや、人件費の安い中国、インドなんかにCGを発注しまくっていた。
中国インドへの発注は地球の裏側なんで実質24時間作業できるスケジュールメリットがある。始めた頃は使い物にならなかったらしいが今はもうそれは過去の話であることは本作を見ればわかる。
この手の3DCGでは日本を遥かにこえている。
髪の毛の表現、質感、動き、カメラワークどれも素晴らしく、さらに絵画、映画ぽくするために粒子感をかなり足してるように見えた。
話は貧しい少年達が勝ち上がっていくシンプルな話だが脚本も凄くよく出来ている。国内の貧しい人達への過剰ともいえるエール送りが(エンドテーマ)多少プロパガンダ感を感じなくもないが、、どこの国でも貧富の差はひらきまくりでサクセスストーリーは受けるのだ。
アメリカと中国の仲が最近暗転しハリウッドも中国離れが始まっているが、もはや中国CGに関してはアメリカハリウッドの懐を借りる必要がなくなった事をこの映画は証明している。
中国3DCGアニメの技術力とストーリーテリングの見事さを強く実感できる一作
中国の地方都市に住むチュンが、憧れの獅子舞の舞い手になるために仲間とともに努力するお話、という雑な要約でもあながち外れていないほどに、本作は少年の成長譚としては典型的かつ簡潔です。
中国の留守児童問題と絡めた中盤以降の展開では、彼の行く末に心が痛むものの、基本的に観客は、チュンが獅子舞の踊り手としてどのように成長するのかを見守り、楽しむことに集中できます。
本作のもう一つの主人公である獅子舞は、その面を覆う毛の描写がとても繊細かつ美しく、まるで一本一本書き込んでいったかのようです。この獅子の面を見るだけでも、劇場で鑑賞する意義は十分すぎるほどにあると思います。
日本では近年、『白蛇:縁起』(2019)が公開されたように、中国発の3DCGアニメーションを鑑賞する機会が増えていますが、それら数本を鑑賞するだけでも、中国のアーティストの技術が極めて高いレベルに達している事が実感できます(『白蛇』は本作と比べるとちょっと大人向きの内容だったけど)。また内容的には典型的な少年成長譚なのに、退屈を感じる暇を与えないシナリオの巧みさからして、物語の構築に当たって古今東西の作品を深く研究している事は明らかです。
また驚くべきは、制作にあたって当局の検閲を受けているはずなのですが、それでも中盤の展開の重要な要素として、留守児童という現代中国の抱える問題を作品に入れ込む事ができたという事です。
日本とはおよそ異なった中国の獅子舞ですが、演武とも格闘技ともつかないような動き、アスレチックのような試合会場の造作は、さすがに映像的な誇張が含まれていると思っていたのですが、現実の獅子舞も結構本作のようにアクロバティックであることを知って、それも驚きました!
中国の田舎の少年らが、初めはひ弱だったものの、獅子舞バトルで頑張り...
中国の田舎の少年らが、初めはひ弱だったものの、獅子舞バトルで頑張り、徐々に成長してゆく様子。
アニメやCGの描写があまりに緻密で、本当の風景かと見間違えるほど丁寧な映像。
以前に NHK-Eテレの中国語講座で紹介されていて、気になっている映像でした。
中華青年成長物語
中国の獅子舞。
あの獅子頭は知ったるも、それ以上でも以下でもなかった。
本編のような競技があるのかどうかは定かでないが
(おそらく劇中用のものかと思う 追記:あった! YouTubeで探せば、まったくホラでない映像がわんさか出てくる!)
少なくとも魅力を感じたし、がぜん興味は沸いた。海外に輸出する作品として、それだけでも本編、十分役目は果たせていると思えてならない。
以上に、キャラクターの造詣もさることながら、物語がとにかく良かった。
コメディー全開の前半から、シビアな人間ドラマへ移行してゆく後半。
通して本当に内面から凛々しく成長してゆく主人公はリアルで生々しい。
前半とのギャップに、少しゾッするほどだ。
またラストの見せ方が痺れるほどにカッコいい。
こうもドタバタ喜劇をはさみつつ、どうしてこれほどまで大人な締めくくりがぴたっとハマるのか。思わずにおれなかった。
それもこれもモラハラ、パワハラ、あり得ない。
格差、親ガチャ、と一蹴しておわるようでは成り立たない作品だからで、
ありきと現実を見つめた上で、ならどう立ち向かってゆくのか。
込めたメッセージがキモなのだろうと感じる。
キラキラ量産の日本からは出てこないような骨太さに感服した。
ジブリやら日本のアニメに、ディズニーアニメ、ハリウッド映画など、色々なエッセンスが中国色でマッシュアップされている所も見どころ。
赤を中心とした色の使い方も、洗練されていてよかった。
傑作です
劇場鑑賞
ずっと観たかった「雄獅少年」、やっと行く事が出来ました。
OPの水墨画から一転、CGの世界になるのが印象深い入り方。
そのCGは色使いがとても美しく、見た事のない深みのある色調でした。
動きはピクサーよりなのですが、表情がとても豊かでこちらもオリジナリティを感じましたね。
特出して獅子舞が凄い。その動き、そのテクスチャーが素晴らしいんですよ。
特に獅子頭内側からの視点、当然そんなの見た事無いので実に興味深かかったです。
物語は子猫のような少年が逞しい獅子へと駆け上る、その成長を描いたもの。
「ベストキッド」みたいで王道といえば王道なのですが、その描き方がすごい丁寧なんですね。
それと中国における獅子舞というのをちゃんと知らなかったので、それも凄い新鮮でした。
競技大会自体も知らなかったのですが、生活に根付いていてすごく大事にされているんですね。
そんな獅子舞を中心とした、努力と根性と友情と、ほんの少しの恋心。
それだけでなく、格差に貧困というシリアスな部分も入れ込んでいるから、より深みがあったのでしょう。
そんな中で何とか辿り着いた大会です。
こんなの胸が高まらない訳がありません。
クライマックスの太鼓が重るところなんて、そりゃ涙も出ますよ。
その大会の最後も、最高な締めくくりでした。
ディズニーでもジャパンアニメーションでもない、中国独自のアニメーションを目にした気がしました。
これは本当に劇場に観に行けて良かった、傑作です。
カラテ・キッドです
終盤まで「長いな」と思いながら見ていました。やってることはだいたいカラテ・キッド(ちょっと少林サッカー)で「もう何度も擦られてるやつやん」と冷えた目で見ていたのですが、ラストで持っていかれました。
カッコよすぎです。全身が震えました。
中国映画、恐るべし。
中国の国家に対するイメージは最悪だが、
映画に関しては最大級の評価を抱いていた。
ブルースリー、ジャッキーチェンのアクション。
チャンイーモウの芸術、チャウシンチーのエンタメ。
そして今作は3DCGアニメで中国映画の実力を世界に知らしめた。
過酷な社会の中で虫けらの様に踏みつけられる。
しかし主人公はその不条理を
社会のせいにしない。
他人のせいにしない。
何事かを成し遂げることで自分の存在意義を証明しようとする。
自己実現と言う奇跡は復讐からは生まれない。
リアルなドラマと躍動感のある獅子舞を見るにつけ、なぜCGなのかという疑問が湧いてくる
努力と師弟の絆でどん底から這い上がろうとする「スポ根」ものとして、十分に楽しめる。
ただ、それ以上に印象に残るのは、夢を追いかけるだけでは食べていけないという冷徹な現実である。
生活のために夢を諦めて生きてきた師匠や、予選を勝ち上がったものの家庭の事情で本選出場を諦める主人公の境遇には、身につまされるものがある。
それだけに、師匠の背中を押す奥さんの姿には胸が熱くなるし、仲間のために戦いに復帰する主人公の姿に心を揺さぶられるのである。
奇跡は簡単には起こらないが、それに挑んだ証は残されるという結末も秀逸で、「獅子の心」を持って挑戦し続けることの大切さを実感することができた。
その一方で、SFでもファンタジーでもなく、極めて現実的なこの物語を、なぜCGアニメで作ったのかという疑問も残る。
確かに、流麗で美しい映像や、獅子舞の場面の迫力と躍動感はCGならではだと思えるのだが、東洋人の特徴を強調したようなキャラクターは妙に生々しく、これなら実際の俳優が演じた方が良かったのではないかとさえ思える。
リアリティーに溢れたCGを見るにつけ、逆に、実写で、本物の獅子舞の妙技を見たくなってしまった。
邦題で損している
広東省が舞台の獅子舞(日本の獅子舞とは異なりかなりアクロバティックな技術と体力が必要)チームが主役の青春もの。CGアニメだが、今の広東省や広州などの姿(昭和30年代の日本に良く似ているかも)と、貧しくてグズで落ちこぼれだけど、純粋な若者3人組と、かみさんに頭が上がらない中年のお師匠さま(足が猛烈に臭い)が、まるで実写のように生き生きと描かれている。エンディングはもちろんハッピーエンド、思わずほろりとさせられる。
良かった。
1.映像も日本き負けてない。光がきれいだ
2.日本アニメ「ブルージャイアント」もここで作ったら良い
3.内容も、今の日本には無い昭和のサクセスストーリー
4.金にならない事が人生を支えてくれる。その通り。
5.全ての映画そうだけど出てくる人皆いい人
6.ロシアもそうだけど、どこの庶民は皆頑張っている。権力者は皆ダメ。
7.夢では食えないが、夢大事
8.日本のアニメ、そのうち中国に抜かれる
9.雀の〜より良かった。
10.最後はやはり心、定番だが元気になる。
11.エンディングロール、まだあります。も良かった。
吼えろ。心の声のままに
良い。映画館が良い。絶対に。
久々に功夫系武侠映画の世界に気持ち良く浸りきった感覚。卑屈に生きたって良い事何かないのだけれども、想像以上に手強い鎖。前を向けって言われたって、上を向けって言われたって、出来ない時には出来ない。一緒にもがける仲間ってホントに良いなと、魂に染み渡りました。
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