「副題は?」ゴールデンカムイ えさんの映画レビュー(感想・評価)
副題は?
原作序盤だけ読んでノリについていけず脱落。
(内容も細かいところは覚えていない)
評価が良かったので鑑賞。
シンプルに漫画原作の映像作品における弱点のようなものをしっかりと弱点として反映してしまっている印象。
冒頭の日露戦争の戦闘シーン、特に杉元が一人で敵陣へ突っ込んでいくところは気迫とアクションも迫力があってかっこよかった。最後にカメラ目線で「俺が不死身の杉元だー!」と叫ぶのは少し怖いが。
マキタスポーツ氏と2人で暖を取って砂金、金塊の話になったあたりから怪しさが垣間見える。とにかく説明。「金にまつわる面白い話」を話しているのではなく、設定の説明資料を読んでいる感がすごい。
この違和感は、ここから全編を通して感じる。資料を読んでいる風なので、そのあと「喋りすぎた。」と言われても、純粋にうっかり喋りすぎた。ということではなくて制作側の「ストーリーの説明要員」として配置し、見事役目を果たしました。という意図が溢れ出てしまっている。
で、アシリパの登場だが、アシリパもとにかく説明口調だ。アイヌの知識を紹介するのが、この作品の特徴なのは理解しているが、用意されたセリフを言わされている感がすごいし、活舌もハッキリしている方ではないので一生懸命さが出すぎている。「チタタプ」も言い慣れてなさそうである。そのあどけなさが可愛さの表現として捉えることは可能ではあるが。。。ただ、あの澄んだ綺麗な声はアシリパの印象に合っていると思う。
アシリパが唐突にアイヌ語での固有名詞「~」を言って、いちいち杉元が「~って?」と聞き返すシーンが何度もあったが、そんな1つ1つオウム返しに聞くかな?
つまり何かというと、漫画は漫画だから許容できている部分があると思う。ということだ。
漫画の吹き出しだからあの長い説明が読めるし、勉強になるなぁと感心できるのである。だけれど、映画だとそうはいかない。映像の場合は時間の流れがあって、実際声に出して会話するので、どうしても「会話の間」に違和感が生まれてしまうものだ。
ギャグもしかり。漫画の「絵柄」で通用していたものが、実際の役者で同じことをやって通用するかといえば必ずしもそうとはいえない。
ただし、難しいんだろうなと感じるのは、じゃあそれらをすべて映画用にアレンジしてやるのが正しいのかというと、そこには原作ファンがいるということだ。
「原作のあのシーン」が実写で改変されたときにファンがどのような反応になるかは、流石に予想できないだろうから、どうしても原作通りにストーリーを進行するのが、安全策というか、ファンへの配慮だともいえる。
どこまで原作のストーリーに沿って話が進んでいるのかはわからないが、進行には次々と追手が表れて退屈しないのは素晴らしい。もともと杉元もアシリパも強いから戦闘もそれなりにサクサク進んで気持ちいいし冒頭同様迫力がある。双子の兄弟との一連の戦闘は、イカレ具合も含めて楽しかった。(が、言いたいことがある。)
配役も全員ハマっていたと思う。特に良かったなと思ったのは山崎賢人、眞栄田郷敦(尾形 序盤で落ちた人)、柳俊太郎(双子)、矢本悠馬(白石)、高畑充希(梅子 幼馴染)、玉木宏(鶴見)
鶴見のイカレ具合が最高だったし、汁がこぼれてしまうのもエグさとコメディタッチのバランスが絶妙でよかった。白石も典型的な三枚目というか、気持ち悪いけど、なんか清潔感はあるというバランスがよかった。
もう一点不満があって、それは途中からなんとなく感じてはいたが、この映画では完結しないということだ。「金塊を見つけるぞ!」でクレジットが流れた際に率直に「は?」と思った。
しかもオマケ映像でなく、本編上で次回予告のようにキャラクター紹介がされており、呆気に取られた。原作が長いことは知っているが、少々不親切ではないだろうか。
前情報なしで鑑賞したため、予習不足なのは認めるが、以前他の映画を見たときの予告編にも特に続きものとしては紹介されてなかったはずだ。せめて題名を「ゴールデンカムイ パート1」とか「~編」とか副題をつけるべきではないのだろうか。
(漫画原作の映画はあまり見てきてないが、最近はこうなのか?)
今回の「ゴールデンカムイ」という映画を2時間見て、クライマックスの大ボスがあの「双子の片割れ」というのは、流石に弱すぎだろう。
この終わりがかなりガッカリした。ここのマイナスがかなり大きい。
公式HPを確認すると、原作を忠実に再現した壮大な実写化プロジェクトということらしい。これから続きが何本か作られていくのだろう。
原作を忠実に再現ということで、上のセリフやギャグに関しても敢えてそういう作りをしているということで、勝手にいろいろと書いてしまったが、率直な感想として記録させて頂きたい。アクションは迫力があってよかったので、原作ファンは楽しめると思う。
もともと脱落組だったから合わなかったか。
こんにちは。
なるほど10巻まで大きな戦闘はないのですね。
で、あれば尚更個人的には副題が欲しかったですね。
それかラストの鶴見との鬼ごっこをもっと派手にして大きな盛り上がりにするとか。(原作とは違っちゃうでしょうが)
確かに映画で描き切るのも大変そうですよね。
コメントありがとうございます。
こんにちは。
自分は鑑賞前に10巻まで予習したのですが、大きなボス戦はありませんでした。
そういった意味で、クライマックスをつくりづらく、映画向けではないのでは、という印象もあります。
これも、仰られている媒体の違いによる弊害なのでしょうね。