「原作ファンだから楽しめた所と残念だった所がある」ゴールデンカムイ 麻乃さんの映画レビュー(感想・評価)
原作ファンだから楽しめた所と残念だった所がある
実写になることでゴールデンカムイのキャラクターが、よりリアリティを感じられるようになっていて良かった。白石は最初ビジュアルを見た時に、ん?となってしまったけど、スクリーンで見てみればお調子者で掴みどころのないところ、なんとなく憎めないところなんかがよく見えて好きになりました。北海道の風景や山や雪景色、コタンの空気など、漫画で丁寧な描写はされていても実写で目にするのとはまた違った印象があって、とても面白かったです。
ヒグマの迫力は凄かった。この漫画の序盤はヒグマの恐ろしさが肝になってるところがあるので、ヒグマがしっかり恐ろしく、偽物感もなくて叫び声でビクッとしました。
残念だったのは原作と比べてギャグシーンがあまりなかったところ、絵面的にグロテスクな部分は上手に隠していたところ。特に第7師団とヒグマが戦うところは、あんなにかっこいいシーンを見せないのか…とがっかりしてしまいました。音声だけで分かるようにしていたけど、主人公だけでなく師団の面子も皆戦場帰りの屈強な兵士だというのが分かる部分だと思って読んでいたので残念です。ギャグシーンの少なさもシリアスな部分との釣り合いを測ってるのかもしれないけど、その緩急がゴールデンカムイの良さだと思っていたので自分の思っていたこの漫画の良さが削られてたのが全体的に残念でした…ギャグ方面にやられてもつまらなくなってたと思うんで、戦争映画のような作りになっているのはとても面白かったんですけど。
アクションシーンは所々スローになる演出が苦手なんですが、部分的ならまだしもちょくちょく入るのがとても見辛くつまらなかったです。骨の音や血の赤黒さはちょっと引くくらい見えてよかったのにアクションがダンスを踊ってるような型になっていて、まだ邦画のアクションはリズム感を大事にしてるんだなと残念に感じました。
とても丁寧に作られているのは分かったんですが2時間かけて一番最初の、これから始まる!というところで終わらせるのはちょっとどうなんだろう。見終わって思うのはこの映画の一番の盛り上がり部分はどこなんだろう…というところです。起承転結の起の部分しか見れず終わってしまい、あまり満足感がなかったのも残念でした。続編があって、このままPG12のままだったらつまらなくなりそうに思えてきて次を見る気はしないかもな…見てもテレビで放送するなら、となりそうです。