「欲張り闇鍋コミックの序章」ゴールデンカムイ つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
欲張り闇鍋コミックの序章
原作・アニメファンから心配の声すら聞かれた「ゴールデンカムイ」実写映画化だったが、再現度に関する心配は全く無用だったね。
作品のファンらしき観客もチラホラ、いやかなり多かったが、皆様満足げ且つ大いに盛り上がって劇場を後にしていた。
原作既読の私としても、各キャラクターの特徴を十分に活かし、漫画のコマやオノマトペで表現されていたことを、余すことなく動きに乗せきってきたと思う。
思えば「ゴールデンカムイ」は複数の魅力で構成されている。金塊の在り処をめぐるバトル漫画であり、アイヌ文化を知る教養漫画であり、獲った獲物を調理するグルメ漫画であり、推しを愛するキャラクター漫画である。
この欲張り四重奏を各パートのファンをがっかりさせることなく「実写でやろう!」というのだから、かなりの欲張り映画だ。特にキャラクターに関しては、それぞれの愛するキャラクターの魅力を損なう事なく再現する、という並々ならぬ気迫を感じる。
上映後のトイレで小耳に挟んだのだが、「白石のレベルめっちゃ高い!」と絶賛していた二人組がいたのも頷ける。私も白石由竹の「ヌルヌル感」と二階堂兄弟の「キモチワルさ」はずば抜けて良いと感じていたし、「どうすればヌルヌル感のあるキャラになるか?」という部分が突き詰められたアクションは見事だった。
一方で、コミカルでバイオレンスな原作の特徴を全て収めきる為に、一本の映画としては消化不良なところもある。多分続編はあると思うが、今作は序章も序章で、バトルの興奮ももう一段階上げられるはずだと思うのだ。
原作読んで展開を知っているからそう思うだけかもしれないが。
あと、個人的にはもっとグルメパートやって欲しかったかなぁ。行者ニンニク採ったり、脳ミソ食べたり、脳ミソ食べたり。
「超興奮した!」とまではいかなかったが、こんなに完成度と再現度が高いと思わなかったし、杉元の回想シーンは原作を読んだ時より切なくてグッときた。
キャストのクレジットが出た後に、3回くらいおまけ映像が来るので、「エンドロールかな?」と思っても是非最後まで観た方が良い。原作未読の人も既読の人も「続き観てぇ!」となること請け合いだ。