「映画を見ずに漫画やアニメで十分です」ゴールデンカムイ オニオンスープさんの映画レビュー(感想・評価)
映画を見ずに漫画やアニメで十分です
マンガ完読、アニメも追ってるファンです。
期待していたほど面白くなかったと言うのが正直な感想です。
約2時間と言う時間的制約の中、あの壮大な物語をどのようにまとめて仕上げるのか、と期待して見ましたが、ただ漫画の3.4巻までを大体なぞってるだけでした。それだったらわざわざお金を払って見ずに、同じくらいの時間だけアニメや漫画を見た方が十分に楽しめると思います。
自分が原作を知っている作品の映画を見る時に注意している事がありまして、それは原作と比べ過ぎないと言う事です。やれ再現度が高いだとか、原作に忠実だっただとか、それが映画の「作品全体」を高評価にする理由にはならないと私は思います。(反対の理由で映画を低評価にするのも同様です)
あくまで映画は映画として、数時間という制約の中、物語の構成、人物描写、演技、小道具や衣装、音楽、その他、様々な要素を複合的にみて評価するべきだと自分は考えます。(もちろん、あくまで個人的な考えですので、人に強要したりそれが絶対だとは思いません)
広告では「莫大なアイヌの埋蔵金を巡って争奪戦が始まる!」みたいに謳っていましたが、映画の大半は埋蔵金の説明と主人公が敵に捕えられて、そこから逃げるというお話でした。ゴールデンカムイの物語を全体として序章の序章といった「さぁこれから始まるぞ!」的な所で終わってしまいました。
登場人物も多く、それぞれの人物のストーリーも少しづつ描いてしまったため、内容、主人公以外の人物描写が薄く、恐らく原作未読だと「あれよあれよと次々に人物とストーリーが変わって、気付いたら終わってた」みたいな感想になってしまうのではないかと思います。
緊迫するようなシーンも演出しきれず、全体的に平坦に終わってしまったように感じました。
また原作では見どころである、ギャグ満載の要素であったり、ヒリヒリするような戦闘シーンや殺し合い、アイヌ文化への深い造形、奇人変人だらけの個性強めのキャラクター、それらをかじった程度に取り上げて深みが欠け、自分は満足するものではなかったです。
個人的にはあれもこれもと手を出すのではなくて、一つ、二つに焦点を当ててそれを深掘りする様な形にして欲しかったですね。
主人公の杉元(山崎賢人さん)良くなかったですね。ビジュアルと戦闘シーンはまだ良いのですが、漫画やアニメでは笑えてたシーンも、声のトーンや発声、間でこうも笑えなくなるのかと驚きました。
オオカミや熊のCG感も所々に感じてしまいました。
ただキャラデザ(特に鶴見、尾形、土方)、衣装は良く出来ており、自然豊かなシーンは壮大で綺麗に写っています。原作ファンはそれだけでも楽しめると思います。また最初の戦場でのシーンも迫力があり、大変見応えがありました。(五体満足の綺麗な死体しかなかったのは目をつぶります)
ラストシーンの締め方も良かったです。
ただ見どころはそれぐらいだと思います。
金カムが好きなのであえて厳しく評価します。
映画との相性はあまり良い様には感じませんてました。
まぁでも次回作やったら絶対観に行くと思いますけどw
追記、二瓶 鉄造のストーリーは割と好きだったので見てみたかったですね。
追記、この後の物語はドラマらしいです。だったらはじめからドラマでやってくれと思ってしまいました。
仰る通り、実写/アニメ、映画/TVシリーズなど、媒体は精査するべきかと。
原作8巻までしか読んでませんが、本作は映画向きの構造ではないように思います。
再現率がどうこうより、一本の作品としてどうかが一番重要ですよね。