「割と「ゴッドファーザー」」K.G.F: CHAPTER 2 かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
割と「ゴッドファーザー」
カオスな停滞台風で思わず寝てしまったCHAPTER 1と打って変わって、整理されてストーリーの流れがわかるようになる、というか見ているうちに分かってくる。
伏線が回収されたりもして、ちゃんと脚本の存在を感じる映画になっていて見違えるよう。
CHAPTER 1とは別の映画みたいです。
前半は「マッドマックス2」か「北斗の拳」か、そもそも北斗の拳はマッドマックスインスパイア系だから、両方でよいか。
CHAPTER 1ではロッキー・ヤシュが濃すぎると思ったがわんさか出てくる他の登場人物がもっと濃いのでちょうど良くなる。
アディーラ見ただけでマンガっぷりに感嘆しました。さすが世界最多の人口を誇るインド、もともと濃い人多いけど生身の人間なのにこれほどまでにマンガな人材がいるんだ、「北斗の拳」、インドならマジ実写化できるでしょう。インド映画がそもそも少年マンガっぽい。
ロッキーはダークサイドの人間なので、敵に対してヒーローにありがちな「正義の葛藤」がなく、汚かろうがなんだろうがあらゆる手段を講じて目には目でとことん戦ってやっつけるのが爽快。ヒーローが、ルール無用の悪党にルール遵守で正義のパンチを繰り出すしかない歯がゆさがありません。
ロッキーがK.G.F.の資金力を元手に流通網や金融を世界的規模で展開しつつグローバルな経済界に大きく影響を及ぼす存在になり、首相にもケンカ売るような立場にのし上がっていくところも反社だけど気味が良い。女性首相もロッキーも、お互いガチンコで勝負する様にゾクゾクする。
スケールが大きくなるにつけ、荒唐無稽なだけじゃなく「ゴッドファーザー」みたいな社会派的なリアリティーを織り込んでくるのが見応えを増す。
カラシニコフ銃にミグ戦闘機、インドがソ連と親しいのを前にちら見せ、インドから逃れた金塊を積んだロッキーの船に、公海上で接近してくるのがインドネシア海軍とアメリカ海軍。ロッキーと金塊は、本当に海に沈んだのか。CHAPTER 3 があるなら、世界を巻き込んだ陰謀とダークヒーローのハナシになりそう。ロッキーはアメリカでも色々仕込んでるみたいだし。インド首相がその存在を歴史上から抹殺したほどの大物、っていうのに説得力が増すでしょう。
個人的には、ワナラムがええなあ。自分の専門分野に特化してそれ以外には参入しない寡黙なプロフェッショナル、しかも破れても死罪を逃れ敵からスカウトされる有能。信じた人物には信念を持って忠実。新選組の斎藤一のイメージです。黒尽くめで、ルックスもかっこいい。
CHAPTER 1から頑張って見てよかったです。6時間。
CHAPTER 1で時々起きては寝て体力取り戻し、CHAPTER 2をガッツリ見る、これ、正しい鑑賞法だったかも。