劇場公開日 2023年5月5日

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EO イーオーのレビュー・感想・評価

全76件中、21~40件目を表示

3.0【人間の愚かさをロバの視点から描いた、超シニカル・ロバ・ロードムービー。道中会った、伯爵夫人を演じたイザペル・ユペールが魔女の如く怖いです・・。】

2023年7月2日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

ー ご存じの通り、ロバと言えば愚鈍の象徴である。だが、今作はそのEOとサーカス団で名付けられたロバの視点から、人間の愚かさを喝破した作品である。-

■サーカス団から”動物愛護”の名の下、連れ出され放浪を余儀なくされるEO。人間の愚行と暴力に満ちた夜の街や山で、屡命の危険に晒される。

◆感想

・鮮烈な丹や、ダムの前でのシーン等可なりアーティスティックな作品である。

・だが、スコリモフスキ監督のメッセージは冒頭のシーンで直ぐに分かる。
ー 動物愛護の名の下、サーカス団を解散させるときに、わざわざ写真を撮らせるお偉いさんたちの姿。-

・サッカーで贔屓のチームが勝った事に喜ぶ人達に、偶々いただけなのに、宴会場に連れていかれて、挙句の果ては相手チームのサポーターの殴り込みを受け、EOも傷つくシーン。

・EOが殺処分された狐たちを運ぶシーン。突然止まったEOは係の男の顔面を蹴り、男は失神。だから、要諦類の後ろに居たら、駄目なんだって!危ないから!

■伯爵夫人を演じたイザペル・ユペールが息子に対し、接するシーンは怖かった。皿を割りながら、息子を責めるイザペル・ユペール。いやあ、堪りませんな。

<ラストのテロップが、コレマタシニカルである。
 ”この映画は動物と自然の愛から産まれました・・。”
 嘘つけ!
 今作は、愚かしき人間の数々の行為をロバ目線で描いたロードムービーなのである。>

<2023年7月2日 刈谷日劇にて鑑賞>

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NOBU

3.5愛玩動物ではないがゆえに

2023年7月2日
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鑑賞方法:映画館

動物放浪映画は数あれど、大抵は元の家族のところに帰るだとか、新しい居場所が見つかるというストーリーの縦軸がある。本作にはそれがなく、eoは常にアテもなく転々としている。
eoの立ち回り先で垣間見える人間模様を、オムニバス的に繋ぐのが彼の役割なのかも知れない。
経済動物であるが故、放浪していればすぐに人間に拾われ自然の厳しさに晒されることはないが、その身柄はやはりど不安定。必ずしも愛情や親切で拾われるとは限らないeoの役割を、犬や猫のではなく「ロバ」にしたのは絶妙なチョイスだと感じた。

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うぐいす

3.5EOからの世界感🤔

2023年6月29日
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映像と音楽で魅せられました。
スクリーンで観るのが良かったですね🙌

その一方で、動物バージョンの「異端の鳥」を観ているかの様でした。
動物好きからすると、最後まで面倒見てあげてと心の底から感じますね。
あと、EOと何も絡み無しのイザベルユペールが存在感ありすぎて、少し笑えます👀

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アキより

5.0ロバの瞳に映るもの、映らないもの

2023年6月23日
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悲しい

楽しい

興奮

ただ生きる、その崇高さ、美しさ。
(人)生にストーリーは なくても良い。
映像だけで、眠っている本能が覚醒する、ガツンときた。
世界は厳しくて、優しくて、美しい。
時折挟まれる死の描写。
それは、生あるものが、等しく背負うもの。
ならば何も背負わず、ただ今を生きれば良い。
人間は愚かで、だけど他者を愛する事が出来る。それは物凄い才能だ。

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アメリカの友人

3.5人間の身勝手さが際立つ

2023年6月15日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

ロバのロードムービー
無口なEOに対して人間の身勝手さがより際立つ。
動物がたくさんでてくるが、どれもEOを未来を暗示するかのような不安な描写。
心象風景のような映像と派手な音楽も相まって独特の雰囲気の映画になっている。
ラストの絶望感が心に残る

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ひとふで

3.0馴染みはあるのに実物を見ない

2023年6月9日
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難しい

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いぱねま

5.0素晴らしい

2023年6月6日
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スコリモフスキーは超人だ。キレッキレのショットと熟練技で、現代の最先端の映画を見せてくれた。現役バリバリの85歳。

「生き返る芸」を披露するサーカスを上から映し、その円環から“EO”の文字が現れるオープニング。EOの瞳の大写し。空中散歩をするようなドローン映像。動物を人格化せずEOの目線で世界を見る、こんな映画は初めてだ。

神は実に様々な形で存在する。宇宙や太陽、流れる透明な水、風、空を飛ぶ鳥、森の生き物、家畜や人間。万物はそれぞれが神が表現する様態のひとつだ。可愛いEOの無垢がそれを見事に物語る。

神は“自然の法則”そのものだから、超能力のような仕方では存在しない。宗教も奇跡も、サーカスの芸と同じでインチキだ。

そして人間は、インチキな神や王のように、動物たちにポジションをわりふって支配しようとする。

誰もかれもが抜きつ抜かれつ一方向に走り続けさせられる虚しい人間社会。科学の発展も止まることを知らない。人間の営みも自然方則のひとつだとすれば、もはやなすすべもないのか。

人間たちに酷い目にあったときにEOが見た4本足の機械の幻覚は、地上から動物がいなくなってしまい、機械が代用品として動き回る恐ろしい世界のイメージを思った。

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Raspberry

3.5動物愛護

2023年6月4日
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主役は、人間の娯楽の為サーカスで酷使されていたロバです。

この映画はロバの視点で描かれます。

毛皮の為や狩りで殺されるキツネ、トラックで屠殺場へ運ばれるブタ…

心が、綺麗だったら、優しかったら、感じるはず。

撮影に使われたキツネは、毛皮農場から救いだされたキツネだそうです。

人間が着飾る為だけにキツネを殺すなんて腐った行為、毛皮なんか着たって心が腐ってるのに。

最後エンドロールで、

“本作は動物と自然への愛から生まれました

撮影で、いかなる動物も傷付けていません”

と出ます。

撮影中、動物達がストレスを感じず楽しく快適に過ごせるよう、獣医がケアし、適切な休憩を取り、気を配ったそうです。

本当に動物を虐殺した、最低最悪ゴミクズ映画『食人族』とは大違い。

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RAIN DOG

3.5ほのぼのと凄惨と。

2023年6月3日
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だいず

4.0ドラマチックなロバの目を通して見る人間は

2023年6月3日
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ロバは愚か者を表すことが多い気がするが、本作を見るとそんなことはない。ロバの憂いを帯びた表情、目に引き込まれそう。
サーカスで暮らしていたが、あちこち連れ去られ、様々な人に出会う。
人間の良い面もあるが愚かな面が多く描かれている。EOの体験する人間の独善的な正義や、不条理さは観ていて辛かった。
ラストもなんでよ〜とちょっと嫌な気持ち。

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いたかわ

3.5動物に、そして人に優しくあれ

2023年5月30日
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ポーランドのイエジー・スコリモフスキ監督の7年ぶりの新作。

ロバの目を通して人間の愚かさを描くということでブレッソンの『バルタザールどこへ行く』を思ったがテイストは全く違った。

こちらはインパクトが強い映像と音でグイグイ押してくる感じ。圧が凄かった。

だだしブレッソン作品の淡々とした容赦のない悲劇に軍配が上がった。

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エロくそチキン2

3.0およげたいやきくん

2023年5月28日
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かばこ

3.0あの人のもとへ。

2023年5月22日
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SAKURAI

2.5イーオー

2023年5月21日
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各シーケンスごとに丁寧に描いている所と省略している所が多々見受けられた。
見ている方はEoをおもんぱかってはいるが、状況を追うだけで流し見してしまうところ多々。
だから自分的にもっと寓話的に大河感みたいのが欲しかったところ
きほんEOは可愛い。
幾多の人間の都合をかい潜って来たにもかかわらず
最後の最後、尻を叩かれながら牛と一緒に…ってのは悲しすぎる。
ここは「偶然」でもなんでもいいので突破口の模索はできなかったものか?
その達観した眼差しがなんとも寒々しい。
あれじゃまるでレミングのネズミじゃんか

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asa

3.0青と黒も勝利を掴んでほしいなぁ…

2023年5月21日
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人間が犯すありとあらゆる愚行を嫌という程見せつけられる訳だが、それを擁護も糾弾もせずロバ目線で淡々と描写し、人間が何かやらかす度に憐憫・軽蔑・驚愕など様々な表情を見せているようにうまく撮影されていて,こいつはちょっと一本取られましたな。
他評者も御指摘の通り、音楽と音響効果が独特で、実時間と体感時間が乖離したような不思議な体験をさせて貰った。

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ひろちゃんのカレシ

4.0動物もさることながら、演出が魅力的

2023年5月19日
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動物を通じて人間の滑稽さを描くというテーマから惹かれるわけだが、それ以上に映画として印象的な作品だった。

派手な照明、カメラアングル、演出など、動物が話せない以上に映像で表現している割合が多く、どれも芸術的なものだった。

すべてを理解できているわけではないが、単に人間を愚かに描くのではなく、良い人悪い人、いろんな人がいて。

最後はわかりやすいし、想像できるが、あっけなさもある。

2023年劇場鑑賞69本目

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ひでぼー

3.0オルタナティブな世界に酔う

2023年5月18日
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好き。入り口が「アレ」だからこそのあの「出口」、素晴しいや。そしてイーオーの可愛さたるやね。ちょっとだけ「LAMB」を片隅に置いていたので、思いの外ストレートで安心しました。人のエゴという都合を淡々と描いた快作だと個人的には思います。点数は受け入れられ難そうだからガマンしました笑

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lynx09b

4.0人間とロバ

2023年5月18日
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悲しい

イエジー・スコリモフスキ監督作品は『エッセンシャル・キリング』というものを10年以上前ミニシアターで観た。アラブ人テロリストが逃走するシーンを一切のセリフなしに描いた作品だったが、今回もロバが主人公ということで、そもそもセリフが少ない。監督いわく、ロバの目を通して人間のおかしさや愚かさを描いたという。
ロバはよくウマと比較されるようだ。ウマは社会性があり、繊細であるのに対して、ロバは新しいことを嫌い、唐突で駆け引き下手で、図太いといわれる。ロバには頑固で気分次第で動かなくなるような融通の利かないところがあるため、西洋においては愚鈍さの象徴とされている。騎士はウマに騎乗し、富農は牛馬を育て、ロバは貧農が育てていた。この映画ではEOが動物愛護団体によってサーカス団から引き離され最初に連れてこられる厩舎でウマは大切に扱われるのにEOは邪険にされるというシーンが描かれていた。
その後、農場、サッカー場、ドライブイン、司祭の自宅など場所を転々とする中で、動物愛護法によって守られるはずのEOが逆に人間に弄ばれるという様相を呈していく。そして、最後は屠殺場へと導かれる。セリフも発することなく、内面を代弁するナレーションもなく、EOはいつもその大きなつぶらな瞳で人間社会を観察している。その佇まいがなによりも雄弁であった。
ウマと比べて虐げられているロバであるが、粗食にも耐え、厳しい環境下で働くことができ、また力も強いという立派な特性もあるらしい。EOの瞳が憂いを帯びているのは人間に使役され続けたからなのか。なにか自分もEOに見られているようで、身を正さなくてはいけないという気持ちになった。

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ミカエル

4.0彼(ロバ=EO)を通して自分を見つめる(光点滅注意)

2023年5月18日
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佐々木

3.0オーイ!

2023年5月18日
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大作『TAR』(158分)を見た後だと、上映時間たったの88分という本作のスケールの小さがやたらと気になってしょうがない。長けりゃいいというわけでもないが、内容的にも本作はかなりスカスカだ。オマージュ元の『バルタザールいきあたりばったり』は、主人公のロバ君に悪逆非道の限りをつくす人間の愚かさを、ブレッソンらしく宗教的演出で描きあげた作品だ。バルタザールのしっぽに火をつけたり、お尻の皮が剥けるほどムチで何度も打ちつけたり.....今の時代、そんな演出をしようものなら一発アウト。動物愛護団体からの即クレームで上映禁止のおとがめを食らうこと必至なのである。

では、ポーランドの巨匠イエジー・スコリモフスキーがロバのEOに何を見せたかというと、現在のポーランドが抱えるいろいろな社会問題である。くまのプーさんに出てきたロバの名前が確かEOだった。ロバ特有のいななき「イーオー」から名付けられたと思われるのだが、本作のEOにはおそらく別の意味が被せられている。EUに加盟したポーランドという意味を別途背負わされているのではないだろうか。ポーランド国旗をイメージさせる“赤”を基調としたライティングが、尚更そう感じさせるのである。

お約束の動物愛護団体の反対でサーカス団から解放されたEOは、そこでサラブレット(特に葦毛)たち=EU先進国から差別的待遇(LGBTQ差別国家としてもポーランドは有名)を受け脱走。「青と白(ウクライナ侵攻のロシアに対する抗議シンボル)が俺たちを強くする」と歌うサッカーチームのマスコットにされるが、親ロ派と思われる敵チームの襲撃を受けEOもついでにボコられてしまう。ウクライナを指示するポーランドが、ロシアを指示するハンガリーよりも逆に困窮している現実を反映したのだろうか。ここで登場する○○○○○EOがなんとも不気味。頭の欠損したその姿は、思考を捨て悪の凡庸に染まってしまったポーランド人を揶揄したのだろうか。

再生可能エネルギーとして期待されている風力発電の羽根にあたって野鳥が激突死、森にすむ狐たちは密猟のターゲット。そんな環境破壊への懸念や、外国からの移民流入によりポーランドの治安が悪化する様子を、荷台につまれたEOはつぶらな瞳でただ静かに見つめるのである。そして問題は、フランスの名女優イザベル・ユペールとイタリア人俳優ロレンツォ・ズルドロが登場するシーン。なぜかここだけ他とはまったくトーンが異なっていて、映画の雰囲気を目茶苦茶にしてしまっているのだ。

おそらく、出資を受けるにあたり2人をキャスティングすることが前提条件だったと思われるのだが、ほとんど気合いの入っていないユペールの演技もさるとこながら、これほど本編から浮いているシークエンスが含まれた映画というのをこれまであまり見たことがない。加盟はしたもののどことなくEUから浮いた存在のポーランドのメタファーというわけでもないのだろうが、何をどうしたらあんなどうでもいいシークエンスをぶちこもうなんで気が起きるのか。皆目検討がつかないのである。

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かなり悪いオヤジ