「センス」EO イーオー maruさんの映画レビュー(感想・評価)
センス
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サーカスにいたロバが愛護団体に連れられて、その先での扱いが特段よくなるわけでもなく、檻が広くなった程度。一頭のロバとして生を管理されるだけで、名前で呼ばれていたサーカスの頃の方が、人間と暮らす世界においてはよっぽど健全だと思う。白馬はロールスロイスを洗うかのように丁寧に洗い、ロバは10年乗った中古車くらいの扱い。
人間が持つ動物に対する価値観、損益で見ている部分、白馬と人間は映えるので撮るがロバとは撮らない。ここでの愛護のきっかけが「動物にも尊厳がある」という人間の価値観を加えた上で「動物にも尊厳がある!同意なきサーカスなど虐待だ」というところなのだろう。
動物に同意を求めることなどできるはずもなく、人と動物が同じ屋根の下に暮らすこと自体が異常でもある。
「暮らしを共にする」という目的であれば、互いの利益が「食べていくために」となるので、自然の摂理としては異常でもなんでもない。「金を儲ける」となれば虐待に近いのかもしれないが。
全編が「ロバの目線」であり、すごいセンス。人間性とは何か。そんなことを問われている気が…なんてしない。ただただ「人間は利己的で愚かだ」というのをロバが語っている。自然界よりルール無用だから、人間にはルールが必要なんだろーなとも。
このロバは人間社会に触れすぎたため、最後のシーンは、ロバが人間だった。
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