「暗く美しい狂気の愛。」チャイコフスキーの妻 Sueさんの映画レビュー(感想・評価)
暗く美しい狂気の愛。
先ずは、愛を夢見る少女から、悲哀の生涯を閉じる老女まで、アントニーナを演じたアリョーナ·ミハイロワに、Applause。
窓辺の淡い光の中の端正な横顔は、フェルメールの世界を彷彿とさせる。
19世紀後半帝政ロシアの暗い時代背景、文化の価値、チャイコフスキーのピアノ曲と、美しい衣装を纏うヒロインの存在感。それらがタペストリーのように描き出され、時間を忘れさせるに充分だ。
チャイコフスキーが同性愛者であった事や、アントニーナが不倫相手の子供を3人もうけたなど、史実はさておいて…
ひとりの女を描いた、美しく哀しい抒情詩だと感じました。
ただ一点、深い性の喜びを感じた事が無いであろう彼女が、全裸の男達と舞うラストシーンは、いささかquestion??ではありました。
余韻の長い作品です。
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