別れる決心のレビュー・感想・評価
全149件中、101~120件目を表示
これぞ韓国ノワールの奥深さ
事件そのものはいたってシンプルなのだが、本作の肝はヘジュン刑事と容疑者ソレのスリリングな心理合戦にあるように思う。
いわゆるフィルム・ノワールではよくある構図であるが、本作はその過程をじっくりと描いて見せている。この微妙な距離感に見応えが感じられた。
また、ソレは両親を早くに亡くして中国から韓国に渡った女性であり、介護士の仕事をしながらDVの夫に苦しめられているという過去を持っている。これだけの不幸を積み上げられると、どこか同情心も芽生え、単に悪女というカテゴリに収まりきらない魅力を持っている。彼女の存在がこのドラマを支えているような気がした。
製作、監督、脚本はパク・チャヌク。稀代のストーリーテラーらしく、今回も物語は二転三転する内容で最後まで面白く観れた。冒頭の山岳転落事件は中盤で一応の解決を迎えるのだが、ここから更に物語は意外な方向へと向かい、チャヌクらしい捻りの利かせ方でグイグイと引っ張って行ってる。その中でヘジュンとソレの密かな恋慕が切なく静かに盛り上げられていて、観てて胸が苦しくなるほどだった。
また、追う者と追われる者、見る者と見られる者、ヘジュンとソレの立場を巧みに交錯させながらスリリングなメロドラマに仕立てており、このあたりの手捌きも実に堂に入っている。
例えば、”愛”を”崩壊”という言葉で裏読みさせたり、中国語と韓国語のズレの中に二人の心情の揺れを表現してみたり、指輪や靴、スマホ、食べ物、ハンドクリームといったアイテムを用いて互いの心情を繊細に紡ぎ出し、ヘジュンとソレの愛憎をクールに描出している。そのアイディアと手腕には唸らされるばかりである。
また、チャヌク作品と言えば、初期の復讐三部作や「お嬢さん」のような、ある種露悪的とも言える見世物演出が特徴であるが、今回はそうした大見えを切るようなシーンは余りない。どちらかと言うと、全体をしっとりとしたトーンで包み込んでおり、作家的にも熟成されてきた感じを受けた。
もう一つ、不意を突くようにユーモラスな演出を入れてくるのもチャヌク作品の特徴かと思う。本作で言えば、スッポン強盗にまつわるシーンがそうである。このエピソードはヘジュンと妻の関係を鑑みると余計に笑える。何かにつけてセックスレスによる夫婦の危機を口にするヘジュンの妻は造形面にこそ甘さを覚えるが、要所でユーモアを演出しており、こうした硬軟織り交ぜたチャヌクの手腕は実にしたたかにして見事である。
ヘジュンの相棒となる刑事が前半と後半で2名登場してくるが、これもシリアスなトーンの中にホッと一息付けるユーモアを演出していて人物配置も冴えている。
このように昨今のパク・チャヌク作品の中では、演出、脚本共にかなり出来が良く、改めて氏の手腕に脱帽してしまった次第である。
すごく惹かれたのだ
今週のラブ・ストーリーといえば四半世紀ぶりのアレで決まりなところを敢えてコレ。確かに断崖などが映れば火曜サスペンス劇場を思い出す世代。ストーリーも下世話といえば下世話で。何が違う?なんだろう、妙に引っ掛けるカットバックなどもあり高級感があるわけではないのに、なにか風格を感じてしまった。こんなところで差が出るんだよな、作家とか作品ていうのは。タン・ウェイもまさにそんなルックスの、こんな役が似合っちゃう系の相田翔子。んなわけで四点献上。
胸が締め付けられる映画だった…
仕事一筋で生きる凄腕刑事の男(チャン・ヘジュン)と夫殺しの容疑者の女(ソン・ソレ)の禁断の愛を描くサスペンションドラマ。
2人の心のすれ違いを美しく儚く描いていた。
ソン・ソレが言う「あなたの恋が終わった時に、私の恋が始まったの」というセリフに胸が締め付けられた…
ここより永遠に
パク・チャヌクのカメラは、
人物の顔の、
頬の筋肉の少しの緊張、
鼻の穴の動き、
口角の上げ下げもミリ単位、
痙攣レベルまで表現として捉えていきます。
口から発したセリフは、
真実なのか嘘なのか、
半分が嘘なのか、
解釈する人(観客)の、
生まれ、育ち、体験、思考によって、
意味は黒にも白にも変わります。
※各シーン、
全カットにアイデア、意味があります。
その操作技術は緻密で繊細ですが、
野蛮さ大胆さは、鬼というか悪魔というか、、、やはり解釈によって変わります。
あわれみ、クムジャさん、オールドボーイを、思い出しました。
この悪魔感に神が絡んできたのが、
渇き、でした。
居酒屋でよく話したものです。
ポン・ジュノがサリエリなら、
パク・チャヌクはモーツァルト。
今回なら
モーツァルトとマーラーか。
ポン・ジュノがマイケル・コルレオーネなら、
パク・チャヌクは、
ビトー・コルレオーネ。
ポン・ジュノがクラッシュなら、
パク・チャヌクはスッポン。
ポン・ジュノがケンシロウなら、
パク・チャヌクは、ラオウ。
(イ・チャンドンはトキ、ナ・ホンジンはアミバ、、、居酒屋でのつまらない会話です。)
※ズラウスキへのオマージュらしい青いドレスの女等『渇き』の感想で書いたのでここでは割愛します。
崩壊、プサンに死す、
地上より永遠に
惚れてまうやろー!!
前作の「お嬢さん」がとんでもなくエロく(最後○○くずし!)ヘンテコな映画だったが、最新作は一転、大人のプラトニック恋愛サスペンス映画になっている
話自体は火曜サスペンス劇場なのだが、ヒロインのタン・ウェイが猫顔(狸顔)で言葉もたどたどしいのだが大胆で積極的、男だったら「惚れてまうやろー!」状態(脱がなくてもエロい)
しかし前半は結構集中できたが、後半場面が変わり、ヒロインの背景が描かれると話が少々解りづらくなる(伏線、仕掛けもあるので二回、三回観ると楽しめるかも)
後半出てくる部下の女性刑事がフランキー堺っぽくていい味出してる
後半作るの飽きた?
2023年劇場鑑賞40本目。
容疑者の未亡人と既婚者の刑事のラブストーリーっていっていいのかな、まぁハリウッド映画でよく見るシチュエーションです。ちょっと違うかもですがゲイリー・オールドマンの蜘蛛女とか。
中盤真相が明らかになるまでは結構丁寧に描かれていて、あれ、まだ時間結構残ってるなと腕時計を見ながら思っていたら急に展開が雑に感じる展開でぶん回しておしまい!って感じでした。タイトルの意味はまぁなかなか皮肉が効いてるなと思いましたが。
霧のように掴めない話
転落事故の捜査をする刑事ヘジュンが、死んだ男の妻ソレに惹かれていく。
惹かれていく過程が掴みづらいが、刑事が容疑者に惹かれていくその背徳感は良い。張り込みという名のストーキングの中でまるでその場にいるような描写をしたり、好意の変態性が良い。
それと、韓国映画特有のわざとらしい笑いも随所にあって、シリアスとの緩急が効いていた。
また、前半のカメラワークが印象的で視覚的に飽きなかった。
何度も何度もソレが惑わし、ヘジュンが耐えようとするが崩壊していく展開は私には難解で霧のように掴めなかった。
分かりにく、、
何となく、全部理解出来たのか。不安が残る、汗
凄く長く感じて、本当に2時間なのかと思ってしまった。
現実シーンと回想シーンに境が無い演出なんだろうけど、どったかわかなくなった。
ラストは凄かった。ああいう方法思いつくのは凄いね。バケツじゃ無理だろうけど。景色と相まって凄いと思った。
男の願望としての「崩れて・壊れる」
パク・チャヌク監督らしく、ねちっこい語り口が病みつきになる本作。どこかヒッチコックの「めまい」を彷彿とさせる質感と世界観でした。実名では決して言えないことですが、世の男どもには「主人公のようになりたい願望」があるのです(きっと)。わかっちゃいるのにドツボにハマっていく快感といいますか。その辺りも「めまい」と重なる部分なのかと。
脚本が優れているのでしょうね。余計なことは台詞にしない。カメラワークと役者の表情や仕草だけで伝え切る潔さ。編集と音楽も秀逸。ちょっと間抜けな脇役たちの存在が作品にテンポを与えていたと思います。
これまでパク作品とちょっと違いました
クリエイターは勿論進化する物ですが、今までのパク作品を求めて見てしまったのですごく退屈に感じてしまいました。山と海って言われても、はぁ?って感じでそれぞれに関係あるオブジェクトを入れられても、そうなの?って感じでした。考えさせられる作りかというと、語ってしまう部分があったり中途半端な作品と1回目の鑑賞では感じました。
相変わらずラブストーリーを作り続けていますが、意地悪な見方をすると日和ったのかなと。また2回目見たらまた感想が変わるかもしれませんが。
日本人じゃないが為に,面白味を感じ取れた気がしたぁ〜( ͡° ͜ʖ ͡°)
以前、話が逸れちゃうかなぁ⁈ 岩井俊二監督作品の「チィファの手紙」を観た時の感情が生まれた。(話は全く違っていて,何も重ならないが)
やっぱり人種の違いと価値観が全く違う❗️
この作品を日本人が演ったら、詰まらんものに思ってしまっちゃっていた様な気がした。
がしかし,終わりには安心しちゃっていたのか?寝ちゃっていて従業員に起こされる羽目になっちゃったが…
ぷにゅぷにゅお手々
男性が山で滑落死した事件を嫁による殺人と疑う刑事が、その嫁にハマって行く話。
韓国語は得意ではないという中国移民の被疑者を疑うもアリバイがある中で、監視し面着で話しと繰り返し距離感が変わって行く感じ。
タバコに五月蠅いし嫉妬深そうな妻には嫌気がさしていたんですかね?w
そしてこれはソレの策略?
なんて思っていたけれど…。
崩壊から流れが変わり、そっちからの恋愛有りき!?
恋愛が主だから細かいこと言うなよってことなのかも知れないし、わざとボヤかしているのかも知れないけれど、事件のサスペンス性の部分が結構雑でなんだかね…。
このオチも自分には不完全燃焼な気がしたけれど、恋愛映画としてはこれが良いということなのかな…。
崩壊(後悔)先に立たず
刑事が容疑者になぜ出会った瞬間から心奪われていってしまったのかに共感できず、多分それが原因なのだろうけど、繰り広げられる推理ゲームに感情移入できず、モヤモヤとしながら終焉を迎えてしまった。
音声メモやスマホなどを駆使した謎解きは面白いのだけれど、どうも互いに惹かれ合う気持ちに疑問符がついて、それを打ち消せなかったのが自分の中では高評価に繋がらなかった。
ギミックの嵐
シナリオは一度観ただけではかなり分かりにくく、話も目を引くようなものではない。
パク・チャヌク監督作品らしく大胆な話運びでそれ何ってシーンもスルリと入ってくる。「お嬢さん」のときもそうだったが二か国語を効果的に使っている。
今作は何と言っても映画のギミックが多い。最低ワンシーンに一回は出てるる。単調になりがちなシーンもこのギミックを使うことにより集中しなければならず面白く観れた。
パク・チャヌク監督史上最高に切ないラブストーリー
スタオベまではいきませんが、かなり余韻の残る良質なラブストーリーでした。
被疑者の未亡人と既婚刑事との全く違う世界を歩む2人の関係性。追っていた/追ってきた相手を好きになるというのはよく耳にする話ですが、この2人の接点が《殺人》という出来事でしか生まれないとなると。
まあ…ですよねー、という展開に。
疑う/疑われる。
女の方は疑われることで、男との関係性を保とうとする。
男は女から距離を置こうとするも、いつの間にか女のことを考えることで泥濘にはまっていく。
ラストは本当に切なかったです。
なお、予告編はシリアス一辺倒のように思えるつくりでしたが、わりと笑える場面も多かったです。
特に大量のスッポンを追いかける場面。
あれ、入れなきゃダメだったんだろうか…。
全149件中、101~120件目を表示