別れる決心のレビュー・感想・評価
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愛にひたむきな女、事実にひたむきな男
登場人物の自宅と職場、そしてその間の移動が主な舞台。生活感がなく、無機的で硬質な雰囲気が漂う時間だった。
登場人物達の交流において、一つの感情を表現するのにどの言葉を使ってどの言葉を使わないか、という台詞の言葉選びが大事なポイントのように感じたが、自分は韓国語に明るくないので確信を持つまでには至らなかった。
そういう意味では時間を使って深掘りすればますます楽しめそうな作品である。
えー😱気持ちは分かるけど…
禁断の恋の結末
どこまでが現実なのか?そしてどこまでが愛なのか?
パク・チャヌクはやっぱり狂ってる
タン・ウェイに恋をした
先鋭的演出でお届けする奇怪な昼ドラ
「なんだこれ……」
シナリオはそこまで風変わりでもないのだけど、演出がとにかく個性的、というか変。
途中までは「うわーすげえ、なんだこれー」って嬉々として見ていたんですが、途中からストーリーが少し冗長になってくる感じも相まって「なんなんだこれは……」となってくる。特撮みたいな急なズームアップとかも織り交ぜられたりして、面白いんだけど、正直受け止めきれてない。
シリアスなんだかコメディなんだか、もうよくわからん、な感じはとても最近の韓国映画的で。シナリオもサスペンスかと思いきや、デロデロの昼ドラ展開。すっごい昼ドラ。こんな愛憎劇、久々に見た。
なんか『クリストファー・ノーランが昼ドラを撮ったら』みたいな感じ?
先鋭的な演出と古典的な昼ドラの融合。
テーマソングもしっかり歌謡曲というか演歌やし。
頭バグる。
伏線だらけのロマンスミステリー
予告編の時から重厚なミステリー感で非常に気になっており、ようやく鑑賞。
いやー、面白かった!ミステリーだけではなく、ロマンス要素も大人っぽく、さらに主人公の素朴な面がコメディ要素となり、一つの映画で非常に楽しめた。
寝不足でいったので、寝るのを覚悟していったのだが、緊張と、緩みと、ドキドキで、飽きさせない工夫が随所に組み込まれていて、ずっと観ていられた。
そしてなにより、伏線?の数々。
靴紐、スマホ、スマートウォッチ、写真、リップクリームなどなど、前半で出てきたものがほぼほぼ出てくるんじゃないかというくらい。笑えるくらい伏線が出てきて、お腹いっぱいである。
パラサイトでもそうだったが、韓国映画は映画のカテゴリというものを壊してくるから面白い。
2023年劇場鑑賞44本目
3.5) 変態的カメラワークで見せる艶めかしい男女
複雑なミステリー構造が、終わってみれば一組の不倫劇に集約する。
複雑な犯罪プロット、最新ガジェットの多用で古典的な話を新しく見せる。そこは面白いんだけど、逆に本流である二人の心の動きに集中できなかったような。韓流『花様年華』になれそうでなれず残念。
構造は、最近の映画で言えば『イニシェリン島の精霊』の逆パターン。あちらが単純なプロットから多種多様な解釈を産み出すのに対し、本作は複雑なプロットの全てがワンテーマに寄与するという作り。私は前者のほうが好きかな。
アカデミー賞のノミネートを逃したのは、東洋人の表情から感情を読み取るのがアメリカ人には難しかったのかな。
「私はあなたのxxxxxになりたかった」
このソレの台詞を聞くと、本作が『めまい』ワナビーと分る。思うに、このエンディングから逆算して積み上げた作品か。
猫のお土産は主人の前に並べられる。
3.2嫌いじゃないけど。。。
五感で楽しむパク・チャヌク
ある山で山頂から男が転落する事故が起きる。
自殺か。他殺か。
容疑者として浮上したのは男の妻であるソレ。
捜査を進めるほど妖しくも美しいソレに次第に惹かれていく刑事ヘジュン。
それぞれの想いが交錯し、2人の愛は思わぬ方向へと進んでいく。
待ってました!パク・チャヌク監督最新作。
なんだかんだで映画館でパク・チャヌク映画を観るのは初めてだったので公開前からかなり期待していた作品。
覚悟はしていたけれど、やはり難解だった。想像の10倍難解だった。あらすじは分かったけれどどこか納得がいかない。
ただ、彼の映画はいつも後味が最高だ。
この難解さゆえに、そこに隠された真意を少しずつ読み解いていくとなんとも言えない味わいがある。
今回もそうだった。
観賞後すぐは「面白かったけどちょっと微妙かな」なんて思ってしまったけれどとんでもない。
おもしれ〜!
山に始まり海に終わる。
この山と海の二項対立が素晴らしい。
水が山から海へ注ぐように、2つの事件は愛を運ぶ。
この物語をただの浮気映画として片付けたくはない。
愛し合ってはいけない2人の間にあったのは純粋な愛だ。
不敵な笑みも幸せ溢れる微笑みに変わる。
魔性の女によるサスペンスロマンスかと思えば、刑事と容疑者によるスリリングなラブロマンスではないか。
韓国語と中国語という言語の壁も、2人が交わることのないはずの禁断の関係であることを印象づける。
翻訳アプリで翻訳して言葉を伝えるシーンには微妙なニュアンスの違いなども表れていそうでさらに深めがいのある演出であった。
そして、この映画の最大の特徴といってもいいのが監督の映像表現の巧みさだ。
独特なカメラワークは1番に印象に残るし、その端々に巧さが光る。
パク・チャヌク監督といえば、過激なエログロが得意なイメージがあるが、今回はそういった直接的な描写をほとんど省いている。
にも関わらず、ひたすらエロい。
ヌードやグロテスクなカットは目を惹くが、それをなくしてここまで官能的に描けるのにプロの技術力を感じる。
リップクリームにそんな力があるとは。
目、鼻、口、耳、手、足……
体のパーツがフォーカスされるカットが何回もある。
見つめ合い、匂いを嗅ぎ、食べ物を味わい、音を聴き、手を重ね、歩み寄る。
五感を研ぎ澄ませるうちに自らも映画の世界に飲み込まれていく。
まるで張り込み中のヘジュンのように。
愛は苦しくて心地良い。
甘美な香りに誘われて迷い込んだ愛のラビリンスからは永遠に抜け出せない。
パク・チャヌク、危ない沼だ。
胸に刻まれるラストの情景。
必死になって踏み固めた靴紐を結ぶ足元。
波が攫う砂の山、地平線の向こうに沈む夕日。
それぞれは何を思いこの結末を迎えたのか。
様々な解釈の出来る結びに未解決のままで良いのかもしれないと思った。
眞島秀和にしか見えないパク・ヘイルとオーラのオンオフが恐ろしいほど美しいタン・ウェイ。
この2人にしか出せない空気感、素晴らしかった。
これだけではとても語り尽くせない。
138分と確かに長めの映画ではあるが、カンヌ監督賞も大いに頷ける傑作。
再鑑賞を検討したい。
なにがなにやら……
心臓
渦を覗いている様で物語に吸い込まれていって見応えがあった。
正直これはハッキリ好みが分かれそうな作品だけれどこういった男女のもつれたギリギリを攻める話が好きなんですね。ヒッチコック的な感触で、映画の演出の仕方、独特のカメラの使い方、見応えがありました。
容疑者と被疑者であり、男と女。
出会わなければこんなふうにならなかった。
それでも出会ってしまった。
気付いてしまったら、もう戻れない。
そんな男女の機微がエモーショナルに絵が描かれていて、こんな恋に溺れてしまいそうになる。
決心ってのはどれだけ悩んで決めていてもやはり後悔は残るし、後ろ髪引かれるものがある。それでも決めたからにはやらないと気が済まない事に吸い込まれていく。山頂に辿り着く様な、美しい波に吸い込まれるような。さようならを伝えなければならない時、自分がどれだけ大切にしていたかを気付くし、また、自分が思っていた以上に大切にしてもらえていたことに気付く。
気が付いたとしても戻れない。
もし今後2回目見た時、台詞の意図がまたぐるぐると変わりそうでそういった見方が出来そうで楽しみ。
パンフレットがびっくりするデザインでオシャレでした。珍しいスタイルなのにお手頃価格なので驚きました。
パクチャヌク監督はJSAしか見た事がなかったので他の作品も見て見たいと思います。
オールドボーイと、お嬢さん見ます。
映画は終わっても、物語の迷宮からはしばらく抜け出せそうになることでしょう。
刑事と容疑者が、男と女としてひかれ合う。いかにも陳腐な話が、パク・チャヌク監督の手にかかるとこれほど面白いのかと驚きました。
サスペンス、ブラックユーモア、ミステリー、ハードボイルド、アクション。様々な顔を持ちながら、それらはすべて切なく出口の見えない大人のロマンスに収束されていく。練りに練った脚本と凝りに凝った編集、そして巧妙な語り口。まさに鬼才の逸品です
。
「オールド・ボーイ」など、暴力や官能描写が際立つ刺激的な作品で名高い人ですが、今作では「古典的スタイルの映画」を志向したというのです。
物語は、ある男が岩山から転落死する事件で始まります。男の妻ソレ(タン・ウェイ)が夫の死に全く動じないことに、刑事のヘジュン(パク・ヘイル)は疑念を抱きます。
取り調べが進む中で、お互いの視線は交差し、それぞれの胸に言葉にならない感情が湧き上がってくるのです。いつしかヘジュンはソレに惹かれ、彼女もまたヘジュンに特別な想いを抱き始めます。やがて捜査の糸口が見つかり、事件は解決したかに思えました。しかし、それは相手への想いと疑惑が渦巻く“愛の迷路”のはじまりでした。
妻がいて仕事熱心。生真面目に生きてきた刑事が、美しく謎めいた女に魅了されて深みにはまってしまいます。運命の女に人生を壊されていくのです。
女のアリバイを刑事が崩そうとする推理劇的な面白さもあります。情感たっぷりの韓国歌謡が流れ、韓流フィルムノワールとしての見どころは多いとは思います。ただそれだけではありません。細部が実に面白い!
例えば、何げないセリフが後になって重要な意味を持ってくるのです。セリフに限りません。刑事の革靴、ポケットに入れたリップクリーム、取り調べのときに出前でとる寿司、スマホの翻訳ソフト、緑にも青にも見える女のドレス。
それらは繰り返し登場し、場面によって意味が変わることで、愛の迷宮に入り込んでしまった2人の複雑な心模様を雄弁に物語るのです。その見事さに舌を巻きました。
なかでも中国出身で韓国語が苦手な女との言葉のすれ違うところは出色です。
本作の主人公たちの間で重要な役割を果たすのが、「言葉の壁」です。もともとは、中国出身のタン・ウェイを起用するために生まれた設定だったそうですが、見事に物語に活かされたと思います。
パク監督は、「言葉の違いは、大きな障壁だが、逆の効果もある。相手が言わんとしていることがよくわからないからこそ、きちんと耳を傾け、表情にも注意を払う。不慣れな言語を使うことにより、言葉遣いに独特のユーモアや感動が生まれたりもする」と解説しています。
特に、翻訳アプリを使う場面では、相手が言葉を発してから、その意味がわかるまでの「時差」が劇的な効果をもたらしたのでした。
さらに本作では「マッチカット」という技法を効果的に用いています。
連続していない二つの場面を同じような映像でつなぐ手法を「マッチカット」というのです。例えば、ジャングルの猿の目の大写しから、都会の人の目へと場面をつなぐような場合です。
この作品ではマッチカットに次ぐマッチカットが続きます。それが、そこはかとないユーモアや笑いを生んでいるので、鮮やかな対比を見せて、物語をリズミカルに進展させるのです。
あり得ないアングルだったり、現実と想像が入り交じっていたり。話は深刻でも、刑事の心の中を視覚的に表現する映像は奇妙でおかしかったです。
事件の捜査が終わると刑事は女と別れます。しかし第2の事件が起こって再会するのです。破滅に向かって進むしかない2人の恋の行方は切ないものでした。ラストは暮れゆく海辺の風景。映画は終わっても、物語の迷宮からはしばらく抜け出せそうになることでしょう。
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