劇場公開日 2023年2月17日

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「寿司で愛情表現は万国共通」別れる決心 ジョンスペさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0寿司で愛情表現は万国共通

2023年2月18日
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鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

知的

あらゆるシーンの画作り、人物の行動とセリフ、かかる音楽、舞台の設定、物語の構成…。とにかく全部が全部、確かな意図と意味をもって練り上げられている、と思われる。1回の鑑賞では作品すべてを咀嚼して味わい尽くせず、完全に理解ができていなくとも、そう言うほかない。

マジックミラー越しの取調室で、実際の人物とミラーに映る人影、さらにモニターへの写し込みを入れたりで、どれが本物なのかわからない(という表現?)とか、ストーカーまがいに被疑者を双眼鏡で監視する刑事が部屋の中のタン・ウェイの背後にいるイメージとか、遺体の眼球の内側から見た蟻の姿とか、そんなアーティスティックでアクロバティックでエキセントリックな映像を観せられるだけでクラクラする。スマートウォッチでの録音や翻訳アプリを使った会話の仕掛けもいちいちうまい。

パク・チャヌク監督作を全部観ているわけではないが、ミステリアスな雰囲気はイノセント・ガーデンに近いと思う一方、妻役の戸田恵梨香似イ・ジョンヒョンの不倫場面にスッポン出すとか、取調べ中の食事が寿司からアメリカンドッグになるとか、ギャップのある笑いどころがあるのがまたすごい。

ストーリーのおもしろさより、緻密に構築された世界を見逃さず楽しむ作品だが、惜しむらくは、中国語と韓国語ができない自分は字幕で読んで理解するしかないところ。しかもその発音が本作のひとつの肝にもなっていて、すんなり頭に入ってこないのが実に悔しい。吹替版で観た方がスッとわかったかも。

朝から眠かった一日の終わりにレイトショーで観て大丈夫かと心配だったのだが、目薬使わずとも目が覚める傑作だった。オレに言われるまでもなく、パク・チャヌク天才。

ジョンスペ