逆転のトライアングルのレビュー・感想・評価
全149件中、81~100件目を表示
口論、議論と逆転のサバイバル
映画はレストランでの食事代をどちらが払うのかを巡りモデルの美女とイケメンカップルの口論で始まる(男が払うのが当たり前となっている風潮、社会のあり方に低収入の男性モデルが疑問を呈している)。ここではモデル業界の女尊男卑が語られる。ロシアの資本家である大富豪と船長(この船長、セレブ達の相手に嫌気がさしたのか船長室からなかなか出てこない)との共産主義と資本主義に関する議論。豪華客船でのセレブ女性の客室乗務員達への傲慢な振る舞い。これらの口論、議論、やりとりはなかなか面白い。傲慢さや口論の中身は日本映画にありがちなステレオタイプの描きかたではない。風刺とユーモアと皮肉たっぷりで、議論では政治家の発言を引用したりで興味深い。
そして豪華客船が転覆沈没し、10人ほどの乗客、乗務員が無人島?に漂着。そこではサバイバル(火起こしやら海での漁など)に長けた客船では底辺の存在であったであろうトイレ係の中年女性(小柄なアジア系)がリーダーシップを握る。豪華客船上でも日常でも考えられない、逆転した立場のなかでのサバイバル生活を送る。島でのこのリーダーと美女とイケメン、大富豪、船長など上級乗務員達とのやりとりもまた面白い。島で起きる逆転状態は滑稽であり可笑しい。
静かな観察型ブラックコメディ
「テーブルの真ん中に置かれたCheckに気づかなかったのか?」
「カードが使えなかったのなら、持っている現金だけでも渡す姿勢は見せるべきだろ?」
「お金の問題ではないんだ、君とは対等でいたい、性別に左右されるステレオタイプな関係ではいたくない」
そして、Uber運転手のセリフ
「闘うんだ、でなければ奴隷になるぞ」
序盤から大きな社会的テーマがのってくる
女性が男性に、男性が女性に何を期待して付き合うのかという、ジェンダーのあり方
本作はほとんどパンとティルトのロングテイクであり
客観的に物語を追う演出が施されている
登場人物全てのセリフや様子を静かに観察しながら
“トライアングル”の意味 (グローバルな社会的平等や階層/性/思想/価値観等)を読み解き
それがどう逆転していくのかが最後まで気になる作品だった
想像力は駆り立てられたけど…
予告編でがっつり鑑賞意欲を上げてくれたのに終わってみれば特に印象も残らず3日も経てば忘れてしまってそうな残念な作品でした
それにしてもゲロや汚物って最近流行なん?
ダメな方にはホラーよりキツそう💦
富豪や権力者をとことんコケにし笑い者にしたい痛快さはニンマリと楽しめてたが豪華で高価な美酒美食もお腹に入れば全てゲロの素〜と
ちょいと下品な悪戯が過ぎたかなぁ
SNSや格差社会…現社会を映す設定は興味もあるし共感出来るだけに風刺の活かし方や方向性が勿体無い気がした
実際、途中退場された方もいらっしゃいましたし…
他の方もおっしゃる通り3パート目に重点と時間をかけて描いていれば評価も違っていたかも知れません
アカデミー賞候補でありますが人にはススメないなぁ…多分
妖艶な美しさヤヤ役のチャールビ・ディーンさんのご冥福をお祈りします
どこを面白がるのか?
デートにはオススメしません
船長とのディナーから自由自在全開作品
お金持ちはなぜ権力が強いのか。なぜなら、大抵のことはお金で解決することができます。しかし、無人島に漂流されるとその権力も無意味になります。お金を使うところがなく、自然とサバイバル能力が強いものが新しい権力者になります。前半はお金持ちが豪華客船のクルーズを楽しむ話。後半は客船のクルーが王様になり、新しい階級を気付きあげ、サバイバルしていく話です。147分もある割には、話に対する?が多すぎてなんでとどうやっての連続です。監督の世界観がわかる作品であり、自由自在に撮られていたことがわかります。お金持ちは早くこの生活を早く終わりたいと思いますし、権力を手に入れたクルーは大変だけど今の生活を終わらせたくないと考えている。権力一度入れると手放せない怖いものですね。
「流されて・・・」を思い出しました。
2022年カンヌのパルムドール受賞作。
本作の監督リューベン・オストルンドについて自分はよく知らなかったがこれが2回目の受賞だとか・・・。
貧富、ジェンダー、人種、職種なんて別の社会に置かれると何の意味も役にも立たないという事を皮肉まじりに描いた映画。
個々のSDG‘Sへの意識が定着しつつある先進国において、そのテーマ性から一部の支持層や運動家などから評価されたというのは頷ける。
一方、表現がストレート過ぎて観るに耐えないシーンが多かったことは残念でならなかった。
自分勝手なセレブの乗船客達が船酔いで嘔吐するシーンがもしカウンター狙いでスカッとさせる効果を期待してのことだとしたら、鑑賞者の寛容さを過大評価し過ぎだと思う。
キャストを見て知ってる俳優はウッディ・ハレルソンのみだったが、主役のハリス・ディッキンソンを見て「ザリガニの鳴くところ」でいけすかない男を演じていた俳優だと言う事がすぐにわかり少しだけ嬉しかった。
ウッディ・ハレルソン演じる船長のキャラクター背景への説明がもっと欲しかった。
清掃のおばちゃんが無人島で何もできないセレブに対しマウントを取り、主従が逆転するというプロットはイタリア映画の「流されて・・・」思い出したが、現実社会に戻っても自分を認め頼ろうとしてくれるモデルの子の一言で犯行を思いとどまったのは唯一監督の良心を感じたシーンだった。
パルムドールってことを忘れていた
遭難して無人島にたどり着き人間関係の序列が変わる。ありがちといえばありがちな設定。サバイバル能力のある人間は強いってことでしょ?的な感覚で臨んだ本作。いろいろとこちらの想像を裏切る展開が待ち受けていた。いいのか悪いのかは微妙だ。
そもそも遭難するまでが長い。冒頭のモデルカップルの話なんてあんなに必要?って思ってしまう。でも、不思議なことに遭難するまでの話が個人的には好きだったりする。レストランの支払いで揉めるカップルの話も面白いし、船の上で繰り広げられる人間模様も結構好きだ。富豪たちと、チップを目当てに従うスタッフたち。それぞれみんなイカれた感じが出ていた。武器商人が語ることやロシアの富豪のわがままとか、現代社会への皮肉がつまっていた。そして遭難しての立場逆転。キャプテンが救命ボートに誘うシーンとか、動物をハントするシーンとか、人間の本性・本能を描くシーンなのにちょっと笑ってしまう。それなりに楽しんでいた。
ただ、最後がどうしても受け入れられない。こうだったのか?と自分なりに想像することしかできない。どこかに考証したページでもあるのかもしれない。そこらへんをわかりやすく描くのはアート的にありえないんだろうか。パルムドールのわりに面白いなと思っていたのに最後で裏切られた。これだからカンヌってやつは!
哀しき我ら
人間の滑稽さが胸くそ悪く炙り出されて面白い
カタルシスのための皮肉
社会的立場が人間を変えてしまう
冒頭の撮影シーンで「ニッコリするのは安いブランド。高いブランドは人を見下すように無愛想にしなければダメだ。」とカールはテレビの司会者からいわれ、ニッコリと無愛想の顔を交互に繰り返す。なるほど、いわれてみれば、ファストファッション、ハイブランドの広告を思い浮かべると、ブランドによってモデルの表情に違いがあったなということが目に浮かんだ。監督の批評精神に感心した。
こういったファッション業界やルッキズムへの風刺からはじまり、金銭至上主義の消費社会の虚しさと滑稽さの描写、果ては階級社会を大転換してしまうというストーリー展開がダイナミックで刺激的であった。
無人島においてお金はなんの役にも立たない、一番大切なのは食料である、食料はお金では買えない、自ら獲得しなければならない、それを獲得するにはサバイバル精神が必要だ。
そこで階級社会の頂点に立ったのはトイレの清掃婦アビゲイルだった。社会的立場が人間を変えてしまう、アビゲイルは無人島においてキャプテンとなった。
社会の中で不遇な環境で虐げられている人にとって拍手喝采の出来事、状況さえ変われば自分だって優位に立てるのだという希望、自分も元気が出てきた。
人間社会の縮図の詰め合わせセット
レビューを見ると賛否両論だったので心配していたが杞憂だった。
苦手な人がいるとは思うし、その部分がかなり宣伝では隠されている。しかし、それを補って余りあるほどに楽しませてもらった。
合わない人はストーリーを楽しみにしていたのだろうが、社会風刺コメディであればこそ、その過程とやりとりこそが面白い。だから結末もそこまで気にならなかった。
社会風刺にしては直接的でわかりやすい形だが、モデル業界をテーマにして、「女性優位」になっている点、そして女性優位の中での男性の見た目、性についても描かれているのが新鮮である。
3部作になっていて、どのエピソードでも、格差社会と人間の欲にまみれた構図が描かれており、笑いながらも、人間ってどうしようもないなと感じざるを得ない。
邦題と原題(Triangle of Sadness、眉間のシワ)が異なっているが、逆転ばかりがフィーチャーされている作品でもない。原題のままの方が作品をよくあらわしている気がするが、改めてこの手の映画を日本に持ってくるのは非常に難しいとも感じる。
オープニング、そしてエンディング通じておしゃれでよかったものの、ただ、3部目がちょっと長いかな。
ハリス・ディキンソンは、「キングスマン」「ザリガニの泣くところ」と観ていて最近見るなあと思っていたが、今回のが一番ハマり役。
英語ネイティブの人のほうがより面白く感じるのだろうか、劇場に外国人の観客がいて快活に笑っていたので、そのおかげか、とても劇場全体が笑いやすい雰囲気になっていた。
ふと、これも映画館で観る醍醐味であるとともに、コロナも収束して海外の人が増えた流れなのかもしれない。
2023年劇場鑑賞37本目。
全149件中、81~100件目を表示