「皮肉の詰め合わせ」逆転のトライアングル uzさんの映画レビュー(感想・評価)
皮肉の詰め合わせ
クリックして本文を読む
3章すべてに登場するのはカールとヤヤのみで、その変遷も皮肉の一部なのだが、故に一貫したものはありません。
クセの強い2章のキャラも大半は使い捨てで、極論、3章それぞれ全く違うキャストでやっても“話”は成り立つのです。
中盤、トイレに駆け込む者もなくみんながギリギリまで我慢した挙げ句、噴き出すように吐く。
地獄絵図の中、平然と議論を交わす船長と『クソの王』。
船酔いにしては違和感が強く、船長たちがあらすじにある海賊の一味で一服盛ったか、と勘ぐるが、何もなし。
元々沈みかけの船に、武器商人への皮肉のためだけに手榴弾が投げ込まれる。
すべて“皮肉”のための演出でしかない。
本番と思われた島に漂着してからは、正直薄味。
『キャプテン』以外での蹴落とし合い出し抜き合いなどもなく、更なる下剋上を狙う者もいない。
弱者の切り捨てや短絡的な暴力なども起こらない。
描きたい事の範囲外なのか、起こりうるべき駆け引きや醜い本性などは描かれず、無駄に上品。
そしてラスト、ヤヤの台詞はアビゲイルに希望を見せるのか、それとも逆撫でしたのか。
あれだけストーリーそっちのけで“皮肉”を描いておいて、主張を明確にせず観客に委ねるのは個人的にナシ。
予告にある『バレンシアガ』と『H&M』の一幕は面白かったが、映画である必要性は感じませんでした。
コメントする